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72話「ついにアクトたちと再会だぞ!!」

 午後の九時────、呆れたデスがため息。はぁー……。


「なんか見込み違いだったわ」


 瞑想していたがオレはぎこちなくて身に入っていなかった。

 と言うのも基礎である精神集中の為に瞑想で雑念を消して心を無にする必要がある。余計な雑念を払い、極限に一点集中と精神を研ぎ澄ませれば自ら刹那の世界へ突入できる。

 オレの場合はシャイニングロードってスキルで限りなく刹那へ入れるが、今回の技はスキルに頼る事なく刹那へ入れるか否かって問題らしい。


 ただな、オレにはちょっと難しかったみてーだ……。

 あれこれ考えちまうのってずっと前からそうなんだよな。だから中々…………。



流星進撃(メテオラン)っつー理想に近い殺陣進撃の型だったんだがな……。それ何度も繰り出しているのを見てセンスがあると見込んで、コイツ鍛えれば真の奥義を完成できるって勝手に期待しちまった」

「わ、わりぃ……」

「まぁいいわ。三日間でこの体たらくじゃエァミヤラの方が才能あるわ」


 あぐらをかいているオレの頭上へ木の枝でペシペシ叩いてくる。

 一方、側であぐらをかいているエァミヤラは微動だにせず瞑想の世界に入っている。少しの淀みもなく波紋立たぬ水面のような洗練さを見せている。


「コイツは三日間で形に入って、かれこれ十年でここまで境地に近づけている。これで流星進撃(メテオラン)みてーな技ができるとよかったんだが、まぁ後五年で身につくだろ」

「えぇっ!!? あ、あと五年??」

「あ? おめぇは瞑想ごときで十年どころか五十年経ったって境地にすら近づけねーポンコツだろ」


 まさか、そんな時間が必要なのか、と驚くしかない。


「オメェならエァミヤラより早く、六年ぐらいで境地に入るんじゃねぇかって期待してた。まぁ無駄だったがな。でもま、これまで通り流星進撃(メテオラン)だけでも充分戦力になるだろ」

「うーん、そうか……」

「帰っていい。もう来なくていーぞ」


 しっしっし、と手で払われたのでバツが悪いまま頭を下げて、部屋へ戻る事にした。

 後ろの方でエァミヤラが「いいんですか?」と聞いて、デスは「仕方ねーだろ。ポンコツじゃ話にならねーな」と呆れた声で返すのが聞こえた。それを最後にトホホな気分で去る事にした。



 明かりが灯る薄暗い通路を通って部屋のドアを開ける。


「……ただいま」

「ん、おかえり。どうだった?」

「おっかえりー!!」


 素妖精(フェレイス)たちが囲んでる最中でゲームしてた二人はこちらに気付いて、クックさんは手を振ってくれた。

 オレは首を振って「てんでダメだった。辞めろって言われちまった」と苦笑い。

 ヤマミも「あらあら」と首を傾げて苦笑い。


「ジャオガさんみてーに無心で瞑想できねーと無理だし、十年五年で完成するとかなんとか言ってたから、どの道ダメだったかもなー」

「そうね……。マシュ様の予知夢が気になるし、悠長に事を構えられる状況でもないもの」


 この三日間、マシュ様の映している地上界の映像には、まだ異変は起きていない。

 明日に起きるかも知れないし、数ヶ月後に起きるかも知れない。

 確実に半年以内に事は起きるってマシュ様は言ってたみたいだしなぁ。真の殺陣進撃を取得するまで、全然間に合わねーしな。


「ああ言われたが、今のままでも戦力になるから大丈夫だぞ」

「そうね。今後は幻獣界見て回りましょ」


 急に弟子になれと言われて三日間で辞めさせられたが、これでまた幻獣界を見て回れるとウキウキしてきた。

 クックさんと一緒に風呂入って、寝かせて、ヤマミと一緒に心霊の会話(スピリチュアル)をしてからベッドで横になる。

 素妖精(フェレイス)が営みを催促してたけど応えられない。ごめん。


《ちぇー、明日こそー!》

《今度は音楽でも流したらいいのかな?》

《雰囲気大事だよね! ドキドキしてキスして抱きしめたくなるの》

《よーし! やってやろー!!》


 まだチャレンジするんだ……と思いながら寝た。




「起きて!! 起きてっ!!」


 朝、ヤマミに叩き起されてビックリ飛び起きると「見てみてっ!!」と慌ててるから、大窓の方へ走った。

 幅広い輪をくぐり抜けてこちら大きな神殿へ向かって、遠く小さな魔導列車が走ってくるのが見下ろせた。


「あ、アクトたちが!!」「うん!!」


 ようやくこちらへ来たのか!

 クックさんも起こして、慌てて魔導列車が着くドンブリ型浮遊物へ向かっていった。やはり魔導列車がパラパラと分解されて地面へ溶け込んで、馴染みの彼らが目に入った。


「アクト!! リョーコッ!」


 空洞側へ飛んで浮遊ドンブリへ着地。


「あァ……久しぶりじゃねェか……」

「あんたたち見違えたじゃないのー!」


 ぶてぶてしいアクトと、奔放なリョーコに「そっちこそ!」と懐かしく感激した。

 彼らもまたたくましくなった感じで、ボロボロになったマントで熾烈な魔境をくぐり抜けたのが窺えた。

 そしてティオス先輩も「よっ!」と手を挙げてきたから、手を振って返す。


「あ!! セロス!!」


 後ろの勇者たちも快く手を振ってきた。

 勇者セロス、戦士ファリア、賢者メーミ、魔道士モリッカも健在だ。


「ま~先に着いてたのね~」


 メーミはノリノリだ。相変わらず……。

 勇者セロスはいつになく神妙だ。思わず緊張する。まだ夢の事が脳裏に焼き付いている。


「ナッセ、無事で良かった。しかし魔境を二つクリアしたそうだな」

「あ、ああ……。他のヤツにクリアされちまったけど」


 いつもの調子を装って言葉は選んだ。

 魔族と一緒にやってたなんて言えねー! 絶対言えねー!!


 目配せすると、クックさんの口を何気ない形で塞いでいるヤマミがコクリと頷く。


「魔界の魔境、大丈夫だったか?」

「ああ。魔族どもと競争してクリアを急いでたけど、最後の最後で横取りされたぞ」

「ええ、私とクックさんで協力したけど残念ながらね……」


 うんうん嘘は言ってねー! 確かにタッドと競争してボス倒したし、結果もその通りだし!

 なんか緊張する! 見破られやしないかってヒヤヒヤすっぞ!!


 モリッカは「やっぱナッさんはすごいですね~!」とあっけらかん。

 ソワソワしてたヤマミは彼らの足元に気付く。


「……幻獣界ではクツはいてると無礼だから脱いだ方がいいわよ!」

「ここでははっだしー!!」


 アクトは「そうなのかァ?」とクツを脱ぎ、リョーコも「え? そうなの?」と同様に脱ぐ。

 ティオス先輩は「ここはそういうモンなのか?」と怪訝そうながらもクツを脱いでいく。

 メーミは既に裸足でにっこにこ。

 モリッカは「ええ? そうなんですか~?」とクツを脱いで収納本にしまう。

 しかし勇者セロス、戦士ファリアは脱ごうともしない。


「ここでは脱いだ方が……」「このままで構わんだろう。破傷風になっても困る」


 と、セロスは頑として言ってのけた。

 ファリアは「冒険者として当然だぞ? ましてやここは未知の土地だ! 迂闊に裸足になるな」と諭してきた。

 ティオスは「お、おい!! ここは聖域じゃないのか!?」とあたふたしている。

 思ったより難儀だ…………。

 困り果ててヤマミと顔を合わせて肩を竦ませる。


 ウサギが二匹、やってきた。


「では妖精王様の所へ移転します」

「では妖精王様の所へ移転します」


 オレたちの時と同じように魔法陣で妖精王マシュ様の所へ転移していった。

 聳える巨大な犬にアクトたちも少々驚いた。


「私がロープスレイ星を担当する、イリリス聖域の妖精王マシュです。よしなに」


 なんと勇者セロスが憮然とした様子で一歩踏み出してきた。


「お前が幻獣界の王か?」

「ええ、そうですが……」


 なんかマシュ様から穏やかな雰囲気が消えてる?

 やっぱ土足で上がり込んでいるせいか、ピリピリしてそう……。


「そう遠くない内に、凄惨な災厄が人族界を襲う故、避難の為にしばらくコロニーで過ごしてください。よしなに」

「断る!!」


 セロスの強い語気に、思わずビクッと竦んだ!!


「たかが犬風情が王を騙り、オレたちを保護とは笑わせる!!」


 マシュ様は気にしてないようだけど、勇者セロスなんか気が立っているぞ?


「勇者は人類を守る為に存在している!! 何もしない貴様らに代わってなッ!!」

「それを言いに、わざわざ来たんですか……?」

「ああ! ここに来たのは、安全な幻獣界でのうのうと高みの見物を決め込んでいる役立たずの王に文句を言いに来ただけだッ!!」


 戦士ファリアもなんか憮然と怒ってるみたいな気配する。

 なんとメーミは「あらまぁ~」と困惑してて、温度差があるみてぇだ?


「天上の存在の癖に、魔境や災厄を見過ごすのか!? 人類を守る事さえ、お前はできないのかッ!!」


 我慢ならず「おい!」と飛び出そうとするが「よしなさい!」と逆にマシュ様に止められ、ヤマミに両肩を掴まれて制止される。クックさんもオレの腰に抱きつく。

 セロスはこちらを一瞥し、マシュ様へ向き直る。


「悪いがオレたちは帰らしてもらおうッ!」

「分かりました。魔導列車は組み立て直しておきました。直行で光のライトミア王国へ帰れます。よしなに」


 マシュ様もマシュ様で平然と要望に応えたようだ。するとセロスはフッと嘲笑。


「役立たずの神も、それくらい役に立ってくれんとな」


 感情が掻き回される想いだ。

 本当はマシュ様だって何とかしたいんだけど、人間の手で切り開かねばならないという事で手出しは禁止されている。保護する事しかできないのだ。

 どれだけ「犬ごとき」と蔑まされようとも、いつもの通りで対応している。


 思わず「セロスッ!」と呼び止めてしまう。

 こちらへ真摯な顔を向けてくる。


「もしもの時の為に幻獣界で待ってろ! オレたちは先に戻る!! 人類の希望である勇者(ブレイバー)として、魔と災厄の時代を終わらしになッ!!」


 毅然と振舞うセロスは背を向けてマントをなびかせて去っていった。

 オレは何も言えず、歯痒く見送る事しかできなかった……。


「察してやれァ……。アイツァ真面目すぎて不器用な男なんだァ…………」


 アクトが肩にポンと手を置いて諭してくれた。

あとがき雑談w


 幻獣界の王なのに幻獣王ではなく妖精王のマシュ様とナッセ&ヤマミは話を交わしていた。


ナッセ「人類の歴史が7000億もあるなら、惑星ロープスレイは一体何歳なんだぞ?」

ヤマミ「参考までに言っておくけど、地球側の太陽は100億年までが寿命で、現在が50億歳らしいわ」


マシュ様「ロープスレイ星を擁するエクスマナ恒星は約3(がい)4300(けい)歳の幼少恒星です。そして答えとしてはロープスレイ星は人類住居惑星としては第3200世代に該当し、約1(ちょう)歳です。よしなに」

ナッセ「そ、そんな超長生きなのかぞ……? しかも惑星にも世代っ??」

ヤマミ「うそ……?」


マシュ様「宇宙の現在の年齢は、数の単位である無量大数(むりょうたいすう)をも遥かに凌駕する、約3700摩婆羅(まばら)歳だそうです。よしなに」


ナッセ&ヤマミ「えええっ!? 異世界ってスケールでかすぎィ!!」



 次話『あの普通の人間だったリョーコがパワーアップしていた!?』

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