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67話「魔界から幻獣界へ行くぞーっ!!」

 紫の夜空の下、モヤがかかった大きく巨大な黒き城……。

 それは数多の魔列車が行き交いしていく魔界最大規模の駅。そこまで着くのにオレたちは魔列車で十日間かかったぞ。


「もう百六十年……しばらくご無沙汰していたが、まさか行く事になろうとはな」

「うへー、天井が見えねぇ……」


 魔列車から降りると、天井が高すぎて闇に覆われているほど。無数の柱がそこまで伸びている。浮いているシャンデリアや柱や壁の灯りで広々としたタイルの床を照らしている。

 そんな混んではいないが魔族たちがぞろぞろと交通していた。


「指定された路線へ乗り換える。付いてこい。はぐれても知らんぞ?」


 ジャオガさんの後をついていく。

 何もかもスケールがデカい駅だ。広い廊下、階段、大きな窓。吹き抜けの広場ではいくつもの階層が見かける。天井まで何十階あるのか分からない。

 異世界の、それも魔界最大の駅へ訪れるとは夢にも思わなかった。


 地球では決して有り得ないような壮大な建造物…………。


 想像でしか有り得ないような無駄に広い空間とデカい規模の建物。それが今、オレの視界に映っているのだ。頬をつねっても夢なんかではない。

 誰がこんな大変な建物を造ったかなんて想像し得ないが、これだけ巨大なスケールの建物にはワクワクが沸き起こる。


「こ、これが異世界かー!!」

「いっせかいー! いっせかいー!!」


「何をはしゃいでいる」


 クックさんとハイテンションになっていると、振り向いたジャオガさんが呆れてきた。

 歩きながらキョロキョロ目移りして飽きない。

 洗練された見た事のない装飾や壁画、そして彫刻。等間隔に並ぶ観葉植物。あちこちで今にも動きそうなガーゴイルの像も佇んでいる。



 指定される所へ向かうほどに段々と魔族たちが少なくなっていく。しまいに無人の建物に入ったかと思うほど静寂に包まれてて不気味に感じた。

 ……一体何があるんだろう、おっかなさそうな気持ちで竦む。


「お待ちしておりました」

「お待ちしておりました」


 虹色にラインが走る魔列車の側で白ウサギが二匹、おしぎしてきた。

 見た目はただのウサギが人間のように黒いポンチョを纏い後ろ足だけで直立している。鏡合わせのように二匹のウサギは片前足を魔列車の入口へ差し出す。

 思わず息を飲む。ただのウサギじゃないのが見て分かる。


「うっわ────!! ウッサギさんだ────────!!」


 目をキラキラさせたクックさんが飛び出そうとしたので、慌てて引き止める。

 あの丁重な仕草から見ると、ただの小動物と見ては失礼な気がする。


「ジャオガ殿、ナッセ様、ヤマミ様、クック様、こちらへどうぞ」

「ジャオガ殿、ナッセ様、ヤマミ様、クック様、こちらへどうぞ」

「これから幻獣界へ直行便で参ります」

「これから幻獣界へ直行便で参ります」


 全く数寸狂わない左右対称のポーズに二重にハモる言葉。


 異質を感じながらもオレたちは催促されるままに、魔列車へ乗り込んでいく。

 中身は普通の列車と変わらない。空いている席が並んでいて不気味に無人なのがぞわぞわする。適当な席に腰を下ろすと、次第にガタンゴトンと景色が流れ始める。


「ここから全く違う次元空間へ跳ぶ。あまり取り乱さない事だ」

「取り乱さない事だ────!」


 席の上で立ってジャオガさんを真似るクックさん。子どもだなぁ……。

 ヤマミは「こら! 土足で立たない!」とクックさんを抱えて一緒に座った。ポンポン頭を叩く。うにうに!

 まぁ、まだ人間としては二次性徴来ていない年頃だしな。


 モヤが溢れる出口へ魔列車は突っ込んで、巨大な黒き城を抜け出して空を駆けていく。

 普通の魔列車と変わらず、自ら刻印(エンチャント)の線路を敷きながら駆けているように見えた。しかしグングンと上昇していく。まるで大空へと飛び立つかのような勢いだ。

 しかも段々加速していって景色が怒涛の勢いで流れていく。やがて眩しい光の中へと突っ込んでいく。


 そして「あっ!」と見開いた。クックさんも窓に張り付いていく。

 上下左右斜め等間隔で浮くブロックみたいなのが絶えず変色と変形を続けている。四角形かと思ったら六角形になったり三角錐になったりウニョウニョ……。色も青だったのに緑になって黄色になって赤になって……その繰り返しだ。

 それが遠景にまで途方もなく並んでいた。


「なんかウニョウニョしてる────!!」

「パソコンのスクリーンセーバーみたいな動く模様だなぞ」


 ウニョウニョを眺めながら「触ったらどうなんかな?」と思っちまった。

 クックさんは足をバタバタさせながら眺めている。


「あの立体模様が視えるか? 人族では物質界の光を識別する機能しか持たないから真っ暗に見えるだろうがな……」

「じゃあ、この空間は??」


 腕組みしたままのジャオガさんは窓の風景を眺めながら口を開く。


「物質界とは隔離した異次元。宇宙を包む膜の()()。地上界と魔界の狭間とは比べもんにならないほど遠い幻獣界を隔てる狭間の次元空間。そもそも幻獣界とは宇宙を包む膜の()()()()だ。別名、宇宙の果て。故に精神世界由来の生命体のみでしか通り抜けられない場所だ」


 難しい事を言っているが、要するに宇宙は風船(ふうせん)みてーなもんだ。

 で、今通っているのが風船の膜の中。幻獣界はその風船の外側の表面っつー事だなぞ。

 もちろん物質界()の世界なので、妖精王みたいな種族なら渡って行けるって事だ。


「じゃあ人間は膜を通り抜けられない?」

「……緊急の場合を除いて不可能だ。多重次元の中の魔界とはワケが違うからな」


 ヤマミが「緊急?」と目を細める。


「世界崩壊レベルの大災厄で人族に逃げ場が無くなった場合のみ、幻獣界の妖精王様が()()()()を施してくれる。だが戦争や環境汚染などの場合は該当しない」

「大災厄……“聖絶”とかみたいな?」

「そうだ」


 塔の魔女が『大祓祭』にするほどの、あの大災厄レベルかぁ。

 もしもの時は人間も救済してくれるんだな。

 いざとなりゃセロスもアクトもリョーコも幻獣界へ行けるんだよな。安心した。


「ってか、人間は幻獣界で暮らせるの?? 息できる?」

「本来なら人族が幻獣界で生存は不可能だが、人族用のコロニーを設置する事で住居が可能だ。ただ生き残るべき人族は選定されるだろうがな」


 後の世代へ継げるに相応しい個体以外は見捨てるという事らしい。

 なにしろ数が多い。元々数にモノを言わせて未来へ繋げていく生態だから、一定数の人数さえ確保できれば充分との事。

 ……全員とまではいかないかぁ。アクトたち入れっかな?

 

「お前たち妖精王のように、貴重で数が少ない種族は選定対象外だ」


「その通りでございます」

「その通りでございます」


 いつの間にかウサギ君が頭を下げていて、思わずビックリしたぞ。


「ジャオガ殿、ナッセ様、ヤマミ様、クック様を保護する事になっております故」

「ジャオガ殿、ナッセ様、ヤマミ様、クック様を保護する事になっております故」

「こちら幻獣界でしばらく暮らすようお願い致します」

「こちら幻獣界でしばらく暮らすようお願い致します」

「これはイリリス聖域地方の妖精王様の意向でございます」

「これはイリリス聖域地方の妖精王様の意向でございます」


 ジャオガさんは「何っ!?」と立ち上がった。


「どうぞ納得されるようお願い致します」

「どうぞ納得されるようお願い致します」


「どういう事か説明しろ! 一体何があった?」


 ジャオガさんが戸惑うのは初めて見る。一体全体なんなん??


「詳しい事は妖精王様が直々に話されるので、ご心配なきよう」

「詳しい事は妖精王様が直々に話されるので、ご心配なきよう」


 思わずヤマミと顔を合わせた。

 なんか緊急事態みてーな雰囲気に見えなくもない。そもそもジャオガさんも同行するよう言われてたしな。

 何が起きているのかオレたちは分かんねーけど、幻獣界(あっち)の妖精王様が説明してくれるんだよな?


 ドスンと席に腰を落として腕を組むジャオガさん。どことなく落ち着かない様子だ。

 ってかどうせなら四魔将も一緒に呼べばいいのに……。


「なぁウサギさん? いつ着くんだ?」

「あと四十分でございます」

「あと四十分でございます」


 こちらへ二匹揃って振り向いて答えてきた。片耳をピピピンと震わせる。


「ウッサギさん、かっわい────────!!」


 クックさんが目をキラキラさせて叫ぶもんだからビックリしちゃった!

 同じく驚いていたヤマミは「もぉ……静かに」と不機嫌だ。


「我ら精霊。案内役でございますので、触れ合いは御遠慮したく」

「我ら精霊。案内役でございますので、触れ合いは御遠慮したく」


 飛びかかるクックさんをひょいひょい飛び退いて、薄らと光になって消えていった、

 キョロキョロ見渡して、不機嫌そうにブ────たれるクックさん。しかしただのウサギじゃなかったのね……。


 再び溢れてくる光に魔列車は突っ込む。


 薄らと巨大な惑星があちこち浮かぶ澄み渡る黄緑の空。そして下方には泡ブクブクがたゆたう雲海。泡が一固まりの雲のようなのもある。

 そして奥行きに土星を彷彿する巨大な球状の浮遊物が見えていた。その周囲に粒々の岩みたいなのが膨大な数で浮いていて輪状に並んでいる。


 巨大な球体と言っても、あちこち亀裂が走っていて中には遺跡みたいなのが窺えた。

 部分的に割れた殻で覆った巨大遺跡みてーな感じ。頂上にはストーンヘンジみたいな環状列石があって、緑で覆われている。


「うお────っ!! これが幻獣界なのかっ!?」

「ってかデカ過ぎない!!」

「でっかい(ほっし)だぁ────────!!!」


 黄緑の大空、泡の雲海の上で土星みてーな巨大遺跡が浮いている異質な光景! すっげぇガチでファンタジーな世界だ!!

 漫画やアニメでしかお目にかけない摩訶不思議な世界!!

 異世界来てよかった!! マジで!!




 ────ナッセたち、幻獣界イリリス聖域へ到着ッ!!

あとがき雑談w


 十日間も魔列車に乗っていた時────!


ナッセ「魔境の所とは別方向だなぞ?」

ジャオガ「ああ。魔境のはキョムス地域。今度はグリゴアハート地域だからな」


 二日目、天を突くような巨大な塔が聳えていて、その麓に多くの建物が明かりを見せている。


ジャオガ「ハゴナ地域。魔王塔と呼ばれ、魔界でも有名だ。ララバ魔神官が破壊王ンドーを崇めているって話だ」


 四日目、渦巻き状に窪んでいて何か掘ってる感じの作業現場っぽい。


ジャオガ「エアシロント地域。濃密度の瘴気が染み込んだ魔石を掘り当てている所だ。一攫千金を狙って魔族たちが挑戦している」

ナッセ「あ、ワームっぽいのが暴れてる!」

ヤマミ「モンスターもいるから危険地帯なのね……」


 六日目、なんか裸山に墓石がいっぱい敷き詰められている。


ジャオガ「チョウガデ地域。地上界の死骸を持ってきてゾンビにするのが趣味の魔王の領地だ。むろんあのネクロレースだ」

ヤマミ「実は生きてたって聞いたわね」

クックさん「ホネホネ魔王さんの所っだー!!」


 他にも小さな町とか村とか、数え切れない程の駅が通り過ぎってたけど、そこまで話すとキリがないので割愛なw



 次話『幻獣界の王様と出会う!?』

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