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58話「仰天! 奥義のバーゲンセールだ!」

 コツさえ(つか)めれば、あとは簡単だった!

 妖精王に変身せずとも、なんとか完成できるようになったぞ!

 人間としてやろうとするから失敗してたんだ! 今やオレは人間を止め……身体半分妖精王なんだよな!


 例え人間の制御力でも、妖精王としての集中力さえ加えればカンタンだ!



 両手に(しずく)を集めて荒ぶる激流を抑えこめ────、無事に螺旋状の装飾を備える宝玉“小さな銀河”のように煌めいた! キィン!

 殺気漲らせて襲いかかる騎士たちに向けて光魔法(レヴ系)を込めて放る!!


「喰らえーッ! ギャラクシィ・シャイングリッターッ!!」


 地響きと共に輝く爆発球が大きく膨れ上がって数十体を呑み込み、光柱をドーンと高々と噴き上げていった。

 普通に光魔法(レヴ系)を放つよりスゲー威力だなぞ。


 続いてヤマミも「ブラックホール・ダークイレイザーッ!!」と漆黒の珠を放り、球状の空間が歪んで巻き込まれた騎士たちを螺旋状に引き裂いてズガッと削り散らした。

 これも闇魔法(メア系)を込めて放ってるのだろう。


 ラストに巨大な斧騎士へクックさんもデフォルメされた真紅に輝くウニをぶちかます!


「賢者のウニ────────ッ!!」


 まるで師匠(クッキー)彷彿(ほうふつ)させる奥義が炸裂し、巨大な斧騎士を周囲の建物もろとも爆散した!

 やったぜ!! いえーい!!

 ノリノリとオレはヤマミとクックさんと手でパンと叩きあった。




 呆然とするホノヒェラ、そして感心するアマリビグ。


「あいつら……すごいな」

「……コツを掴む。それで取得。天才。大したヤツ」


 ソネラスも「うむ、まるで奥義のバーゲンセールだな」と頷く。

 ジャオガさんは嬉しそうにフッと笑む。


「人族離れして羽ばたき始めておるのだ。これからもっと大きくなるであろうな」


 幼少期だから、見た目はまだ元の人族と変わらない。

 しかし、この調子で成長を続ければ見た目も徐々に変わっていく。これまで人族から妖精王に変身していたのが、いずれは()になっていくだろう。

 そうやって始めて、俗世(ぞくせ)から更なる高次元世界へ飛び立てる。


 幾星霜(いくせいそう)、これまで巣立(すだ)っていった精神生命体(アストラル)と同じようにな…………!




「あいてて! またヒリヒリしてしまう」


 傷んでる掌に息を吹きかけてから、回復魔法(ナース系)をかけていく。

 ヤマミも掌が傷んでいるのを見て「これから制御が上手くなっていけば大丈夫」とあっけらかん。何故かクックさんは無傷なので解せぬ……。


 元々魔女クッキーの子孫だし、遺伝子レベルで慣れてても仕方ないか。



「邪な悪鬼共を皆殺しだぁぁあ────────ッ!!」

「「「うおおおおおお────ッッ!!!」」」


 稲光纏う鋼鉄の馬にまたがった騎士たちがランスを構えて超高速で突進してくる!


【雷撃の騎馬兵】(人族)

 威力値:37800

 鋼鉄の鎧を纏う馬の背中に上半身の騎士で一体化している。雷魔法(デンガ系)で『形態(フォルム)』した速攻騎馬兵。超重量軍団で突進していかなる敵も粉砕する。ぶ厚い城壁すら容易に粉砕できるという。

 中身はクマよりも筋肉隆々で二重層の鋼鉄みたいなものだ。上級中位種。



 光の剣の切っ先に太陽型手裏剣を形成し、念力で高速回転させていく。

 極限にまで集中し、回転を速めていくと周囲に旋風が巻き起こって地響きが大きくなっていく。


「今度はコイツだぁぁぁあッ!! サンライト・インフィニティ────ッ!!」


 切っ先を向けて太陽手裏剣を撃ちだす。それは後方から尾のように旋風を吹き散らしながら軌道上の騎馬兵をことごとく細切れに斬り散らしていく。そして次々と建物を貫通していって遥か奥まで飛んでいくと球状に爆ぜて破壊を撒き散らしていく。

 しばし地響きを伴って烈風が吹き荒れていく。ドドドドドドド……!


 収まった後は軌道上を遮っている建物は遥か奥行にまで風穴が続いていった。次第に瓦解してガラガラと崩れ去っていく。

 その威力に四魔将もポカンとする。


「三大奥義が一つ『無限なる回転インフィニティ・スピン』もパワーアップだッ!」


 ヤマミと一緒に繰り出せたらもっと威力は跳ね上がるだろうなとゾクゾクしてくる。

 確かに殻を破ってドンドン成長していくのが実感できる。



「ギャラクシィ・シャインクリムゾン────ッ!!」


 赤く滲む銀河を模した『銀河の珠(ギャラクシィオーブ)』を投げつけると、凶悪な灼熱が螺旋に渦巻きながら荒れ狂って騎士モンスター数十人をあっという間に蒸発させていった。なおも地響きが続く。

 火魔法(ホノ系)を込めた銀河の珠(ギャラクシィオーブ)だと、火系上位に位置するホノバーンをすら(しの)ぐ超火力になる。


 これなら様々な属性を込めた奥義もできっぞ!

 並行世界(パラレルワールド)魔道士(マジシャン)としてやってきたからこそ、剣士(セイバー)ながらも撃てる属性魔法攻撃を“奥義”で放つ事もできる!


「賢者のウニ・ファイヤードラゴーンッ!!」


 トゲでウニウニした火竜が火炎球を連ねた身でオレの横を通り過ぎたと思ったら、凄まじい極太火炎柱を噴き上げて騎士モンスターをまとめてドゴーン蒸発させていった。

 振り返るとクックさんがドヤ顔で掌を差し出していた。


「す、すげぇ……! まるで小さい師匠(クッキー)だ……!」


 まるで師匠と一緒に闘っているような錯覚を覚える。なんだかワクワクしてきて嬉しくなってくる。

 人族モンスターだからと陰鬱(いんうつ)してた事もあったけど、これなら元気にならざるを得ない。

 側でヤマミが「私もいるんだけど?」と()ねてたので「わりぃわりぃ」と手を叩きあった。オレたちはみんな一緒!


「おーっし! ドンドン来やがれ────っ!!」

「どんど来────────いっ!!」


 自信がついたオレはクックさんと一緒に拳を突き上げて張り切ったぞ!

 ヤマミはクールに後ろ髪をかきあげた。




 快進撃を続けていると、奥の(そび)える大きな城の大きな扉が開かれ、ぬうっと巨大な騎士が現れてきた。

 全身鎧が軋み、足がドスンと踏み下ろされて地面が揺れる。

 四本の腕には鋭い西洋の槍が握られていた。

 顔はカブトで覆っているが四つの目が赤く灯った。カッ!


「うぬらの進撃など余が食い止めてみせようッ!! この騎士王の名にかけてなッ!!」


【騎士王アサリオン】(人族)

 威力値:237000

 第二階層のボス。全身鎧で身に纏った四本腕の巨人。全長一五mに及ぶ。四本の腕が持つ槍は彗星のようにエーテルの尾を引きながら投擲できる。何故か次の槍が装填されて無限に投擲できる。

 槍で地面薙ぎ払うとその亀裂から青い火炎の壁を発生させて燃やし尽くす。

 左右の腰から流星のようなナイフが連射される。多彩な攻撃を繰り出せる難敵。超級上位種。


 魔王ジャオガは黒いフォースを噴き上げて地面を震わせていく。


「ぬう! 邪悪なる魔王めがッ!! この神聖なる槍で滅殺してくれるわッ!!」

「笑止ッ!!」


 騎士王は西洋槍をブンブン投げつけ、それは超高速でソニックブームの尾を引きながら軌道上を貫通していく。あちこちが破壊し尽くされ破片が飛び散る。

 更に西洋槍で地面を払うように薙ぐと青白い火炎壁が噴き上げられた。


「ブリザードブレスッ!!」


 ホノヒェラは凍える吹雪を横一線に吐いて火炎壁と水蒸気爆発を巻き起こす。そしてアマリビグとソネラスが飛び出して得物を振り下ろして四つの両腕をズバズバ斬り散らす。血飛沫と共に四本の腕が落ちてゆく。


 騎士王は「あぎゃあああ!! お、おのれぇぇッ!」と恨みづらみ吐く!

 腰から流星のように尾を引くナイフが無数、屈折しながら弾幕を張っていく!


 不敵に笑うジャオガさんは上空から「終わりだッ!! ダイナスト・ロードッ!!」と黒炎の飛び火を撒き散らしながら超高速突進!!

 それはことごとくナイフを弾き散らし、騎士王の巨大な顔を木っ端微塵に粉砕!


 魔王と四魔将が降り立つ頃に、騎士王はボガーンと爆砕!!




 オレたちはと言うと、前半飛ばしすぎて息を切らして腰を下ろしたまま、ボス戦を見守るしかなかったぞ。

 クックさんは舌を出しながら「うにゅ~」と、腰を下ろしているオレの背中に背中を合わせてグッタリしていた。

 何故かヤマミは平然と突っ立っている。


「ペース配分を考えず、バカみたいに連発してるからだ!」


 ジャオガさんにも呆れらた。

 奥義が自力でできるからといって考えもなしに連発してたら一気に力尽きちまう。

 ぜーぜーへたばってて、戦える気力がないのが悔しい……。


「……ヤマミの方は温存する為に途中で抑えたな」

「あら、分かる?」

「フッ! 見ていれば大体分かる。ナッセやクックさんはともかく、お前は常に冷静に物事を見ているからな」


 オレは思わず「ええ? そうなの?」と驚き返った。クックさんもビックリ!

 ヤマミは頷くと、こっちをチラッと一瞥してきた。


「ナッセと違って、私はMP(マジックプール)が大きくないからね……」

「ふむ」


 やっぱ根っから生徒会長みてーなモンだからな。

 考えナシのオレとは全然違って計画的だ。


「心配せんでも思いっきりやってもらっても構わん。余たちがいる。それに限界まで使い切る事でMP(マジックプール)を広げていく修練もある」

「それはそうね」


 得意げにヤマミはうしろ髪をサラッとかきあげる。

 クックさんと顔を見合わせた。するとクックさんは立ち上がって両拳を腰に付けて胸を張ってエヘンとする。


「あ、あったしはMP(マジックプール)広げる為にやってたんだー!」

「へーホントにぃー?」


 ジト目で苦笑していると、クックさんに「あー信じてないなぁー!」と両ホッペを引っ張られる。いてぇってば!

 呆れたヤマミはため息ついて「行くわよ」と先へ行ってしまう。


「ま、待ってくれよ! 疲れてヘトヘトなんだぞー!」

「あったしもー!」


 わたわた慌てながらオレたちもヤマミと魔王たちへ続いていった。




 こうして第二階層を越えて、休息を経て第三階層へと挑む事になったぞ……。

あとがき雑談w


支配の神官兵「出番がなかった……!」

破戒の僧兵「…………」


【支配の神官兵】(人族)

 威力値:11700

 神官のローブに簡易な装甲を身につけた神官。戦闘よりも、回復系の魔法で負傷兵を再起させていく後方支援を得意とする。

 神聖なる行為とは裏腹に欲を満たす為に、支援魔法や回復魔法を盾に他の騎士系モンスターを恐喝したりする。そのせいで度々トラブルが起きている。

 中級下位種。


【破戒の僧兵】(人族)

 威力値:24040

 下級僧侶が軽装の鎧を身につけてメイスを持った人族モンスター。戦闘能力が高い他に、簡単な回復魔法も使える為しぶどい印象を受ける。

 上司である支配の神官兵を大勢で守護している。

 神の教えを説きながらも、自ら欲に溺れて酒や博打や暴力を楽しんでいる。

 中級上位種。


支配の神官兵「こういうのもいるよって感じで登場した感が否めん」

破戒の僧兵A「あとがき雑談wですからなぁ」

破戒の僧兵B「……もう出番ないだろうな」

破戒の僧兵C「この作品、不遇キャラ多すぎね?w」


作者「機会があれば出そうと思います」(絶対信用してはいけないw)



 次話『到達者とは!? 突然の強襲!!』

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