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56話「第一階層突破! まだ序の口だ!」

 魔界の魔境はなんと人族モンスターで構成されていた!

 されど人族に部類されるも人族に(あら)ざる者!!

 まるで人間と同化したエイリアンのように、獲物を前にして牙を剥くように化け物へ変貌してくる!


 広大な洞窟には貧困層と思わせられる住宅は木の柱と板で建てられている。が、粗末なもので屋根の重みに耐えられず傾いていたり、柱が折れかけたりしている。汚れていて破けた布が出入り口ののれん代わりになっている。

 魔族との戦いで破壊されて残骸が散らばったままの所もある。


 しかし隙を(うかが)うように、影から悪意を滲ませた人族モンスターがあちこち(ひそ)んでいた。

 逆に殺意を剥き出しにハゲた巨人がドスドス駆け寄ってくるのもいた。真っ直ぐ振り下ろされた棍棒が地面を穿(うが)ち、粉塵と破片が飛び散ると共にオレたちは散開(さんかい)

 するとその機に乗じて人族が一斉に影から飛び出してきた。うおおおお!!


【ギガオッサンガー】(人族)

 威力値:30460

 ハゲた巨人のオッサン。太った体型で鈍い。破けた布で腰を巻いている。黒いヒゲがボサボサで歯並びが悪い。弛んだ両目が卑しい感じ。性別はないものの腹に卵を生む器官がある。

 たまにバーコードハゲ種もいる。

 アルコールを求めて暴れまわるという。上級下位種。


【アシュラーム】(人族)

 威力値:16500

 見た目こそホームレスみたいな汚れたオッサンだが、六つの腕が異形さを醸し出している。シャクレたアゴから伸びる二本の犬歯が長い。剣や槍など得物を複数持って、群れをなして獲物を狩る。

 単位生殖で勝手に増えていく。生まれたてでもオッサンの風貌で三歳児並みの知能を有し、二足歩行ができる。五歳で成人となる。中級中位種。



 六つの腕を振り上げて「キシャー!!」と奇声をあげながら集団で襲いかかってくる。嫌悪しかない。

 オレは剣を振りかざし、切っ先に光子を収束。


「スターライト・スーパーノヴァーッ!!」


 剣を振り下ろし、切っ先から放たれた眩い光線が、地面の飛沫(しぶき)を引き連れながら直線上の人族をことごとく貫き去り、ギガオッサンガーの心臓部に風穴を開けた!

 (うな)るような断末魔を上げてギガオッサンガーは風穴から血飛沫を吹き出しながら(かたむ)き、倒れゆく。

 左右から襲ってくるアシュラームを、一瞥(いちべつ)し横一線に薙いで両断する。


 ドドドンッ!! 死骸は全て爆破四散し、金袋と宝箱を落とした。


「おおおおおおッ!!」


 それでも止まらずオレは地を蹴って、並み居るアシュラームの群れを斬り払っていく。


「あったしも負っけないぞー!!」


 続けてクックさんもウニメイスを振るい、魔法少女に変身したヤマミがクールに杖の剣を振るって、幾重に軌跡が踊る。

 怒涛(どとう)と、破竹の勢いで一気に集団を蹴散らしていく。


「こちらも負けてられないね!! ブレイズブリザード!!」


 ホノヒェラは右手に炎を、左手に冷気を、同時にぶっぱなして灼熱と吹雪が螺旋状に入り混じって放たれ、大規模の水蒸気爆発がドゴオオンと炸裂して数十体ものアシュラームを消し飛ばした。

 ソネラスもアマリビグも得物を振るって、幾重の軌跡を描いてアシュラームを細切れに散らしていく。


「冥黒炎・乱轟弾ッ!!」


 ジャオガは複数の黒炎球を両手から乱射して、漆黒の爆炎を連ねていって住宅ごと絨毯(じゅたん)爆撃していく。

 後ろからギガオッサンガーが駆け出してくる。

 しかしジャオガは「フン!」とスネを拳で打ち抜き、前屈みに倒れてくる巨体のミゾオチを高く拳で打ち上げてボゴンッと風穴を開けた。おびただしい肉片と血飛沫が四散し、真紅の雨を降らしながら魔王は不敵に笑う。

 飛散した大量の血は煙となって、跡形もなく蒸発(じょうはつ)……。



 そうやって次々と迎撃して突き進み、ようやく円形の広場へたどり着いた。奥行きの岩壁には大きな扉が見える。

 オレたちはその広場へ踏み入れると、同時に大きな扉から巨大な人族がのそりと現れた。


「ぎはああ……!! うぬら悪魔のせいで村の平和が乱されたわ!!」


多手腕の(サウザンドアーム)大長老(・ビッグエルダー)】(人族)

 威力値:170030

 第一階層のボス。両目の位置から腕が生えていて、掌に目がある。更に手足の指が腕になっている異形。白髪と白ヒゲを生やす細々な老人の風貌をしているが、素早く動ける上に、多種の魔法を同時に撃ってくる強敵。国を滅ぼすほどの巨大な力を誇る。超級中位種。


 両目の腕がギョロギョロ動き、こちらを見るとギッと睨んできて威圧が圧してきた。

 地面が震え、石飛礫が舞っていく。


「後悔するくらい苦痛を徹底的に与えてやるぞぉぉぉお!!」


 そう叫ぶと大長老は両手指の腕がそれぞれ火球、水球、雷球、旋風を発生。それを一気に投げつけてくる。

 無数の灼熱の火柱が渦を巻き、水球によって核融合を起こし、雷球が爆ぜて稲光があちこちを穿ち、旋風が全てを斬り刻んで細切れになった破片を流していく。

 凄まじい破壊力によって都市崩壊レベルのキノコ雲が高々と立ち上った。ゴゴゴゴ……!


 しかしオレたちは煙幕から抜け出し、それぞれの方向から飛びかかる。

 オレの流星進撃(メテオラン)が、ヤマミの『偶像化(アイドラ)』が、クックさんのウニメイスが、ジャオガの拳が、ホノヒェラの火炎と吹雪が、ソネラスのオーラ纏う剣が、アマリビグの巨大な斧が、一斉攻撃と揮われる!!


 ズドドドドドドドドドドドォォッ!!!


 大長老の体を穴だらけにして、細切れに斬り刻んで、一欠片に残った口から「ぎぃあ……ッ!」と(かす)れた断末魔が漏れる。

 オレたちは着地し、雄々しく仁王立ち!

 その背後で大長老は大爆散。明々と爆煙が噴き上げられていく。あっという間の決着だ。


「まだ(じょ)の口だ! 行くぞ!!」


 拳を鳴らし先頭をゆくジャオガさんへ、オレたちは悠然(ゆうぜん)と続いていった。




 二階層まで続く通路の途中で安全地帯(セーフティゾーン)があった。

 とても広大で、魔境の中のオアシスとも言うべき場所。中心部に透き通った赤い湖。捻れた魔界の木々と果樹。天井の赤い月を模した水晶玉。


「お前たちは()人族なのだから、しっかり休め」


 ジャオガさんはそう言うと、座り込んで瞑想し始めた。

 四魔将の三者もそれに続いて静かになっていく。


 オレたちは実を手にかじる。果物のような甘さがあり歯応えも充分。でも人族には食べられないかもしれない。

 腹に(たくわ)えている量も相当なもんだが、()えてリズムを崩すまいと一日三食は意識している。

 こう思うと人間やめてるのが複雑な心境だった。


「ってか、多くの魔族がここに入っていったのに誰もいないのかよ……」

「多分、ボスも二階層へ行く通路も他にあるんじゃないかしら。一階層ですら信じられないほど広大だからね」

「ジャオガさん、他を避けたルート選んでたー!」


 クックさんの言葉に見開いた。

 他の魔族も横取りにならないようバラバラの方向へ散開してたみたいだ。魔境内で魔族同士で揉めても仕方ない。無駄な争いにならぬよう別のルートを進んでいったようなのだ。

 ここにはオレたちがいるから、二階層へ出て行くまでは密閉されている状態だ。出ていけば多分開放されてボスも復活するのかもしれない。

 二人の魔女が作り出したシステムとはいえ、中々凝っている。



 コテージの中で本を読んでいると、コンコンとノックの音がした。

 玄関へ来ると、ジャオガさんが「話がある。来い」と促してきたので外に出る。


「前に相談してくれた事だが……」

「う、うん……」


 闇のダークロス王国の魔城で滞在していた時にジャオガさんや四魔将に色々と事情を話したり、相談したりしたっけな。


「三大奥義が一つ『賢者の秘法(アルス・マグナ)』だったな。そしてその上位互換が『開闢の秘法(ビッグバン・マグナ)』だったか……?」

「ああ! どうやってできるのか分かんねぇ…………」

「今からそれをやってみろ」


 急にそんな事言われて「ええっ!?」と驚いたが「早くやれ!」と(うなが)してくるばかり。

 目を瞑って気力を全身に張り巡らせ、腕を左右に伸ばして世界に祈るように集中していく……。


 古今東西(ここんとうざい)! 過去(かこ)現在(げんざい)未来(みらい)……! 数多(あまた)並行世界(パラレルワールド)…………!

 みんな! オレに力を貸してくれッ!!


 しかしいつもののように(しずく)が収束していって、両手の上で圧縮された玉に螺旋状の装飾を備えていく。凄まじい圧が溢れ、足元がクレーターにへこむ。

 剣を持たない状態で作り出せば『銀河の珠(ギャラクシィオーブ)』になる。


「やっぱ今はダメだ……。これが精一杯みてぇだ」

「ふむ」


 ジャオガさんが銀河の珠(ギャラクシィオーブ)にそっと触れる。ジリジリ……微かに焼ける音がする。


「なるほど、確かに言っていた通り荒ぶる力が自然霊によって安定されているな」

「ああ。いつも毎晩に心霊の会話(スピリチュアル)やってっからな」

「確かに、これでは永久にこのままだな……」

「え?」


 するとカツカツ音が聞こえ「どういう事かしら?」とヤマミが歩いてきていた。

 ジャオガさんは振り向いて「そのままの意味だ」と冷静に返す。


「このままではレベルに比例して多少威力は増すだろうが、(から)を破るには(いた)らん。もはや()(しろ)は打ち止めだ」


 何かこうして聞いてみると、別に方法があるようにも……?

 ジャオガさんは険しい顔でギュッと握りしめた拳を、オレたちに突き出す。


「今度は自然霊の力に頼らず完成させてみろ! ()()()()()ならできるはずだ!」

あとがき雑談w


 塔の魔女たちは本散らかっている円形の部屋でくつろいでいる。


サラカート「暇ぁ~!」

エムネ「あのさぁ……暇なら作業を手伝って欲しいね……」

サラカート「やーだっ!」

エムネ「城路(ジョウジ)ナッセがまた『深淵の魔境(ディープダンジョン)』潜ってるけど……」


サラカート「へーそうなんだぁー! どれだけ無駄にあがいているか見てやろっかなー!」


 るんるん嬉しそうにモニター室へ行ってしまう。

 淡々と半透明パソコンのキーボードを叩きながら「……という建前なのは分かってるよ。うふっ」と見透かす笑みを見せた。


 モニター前でサラカートはリモコン操作で気に入ったシーンをキャプチャー。

 ナッセのありとあらゆる場面の画像がマロハー姉さん特集フォルダの隣にあるナッセ特集フォルダにぽぽぽぽーいと放る。

 その後で画像編集でヤマミが写っている部分に、自分を写した画像に入れ替えて、んふーふっw


エムネ(……ヤマミが知ったらどうなるか……興味あるね……)フフッ!



 次話『二階層はどんなんだろう??』

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