表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/200

49話「魔王と竜族の討議!」

 最初は全裸剥き出しで頑丈なウロコで覆われた大型の竜だったのに、人型に縮んでいくにつれて衣服が具現化されてローブみたいなのになった。

 人型と言っても露出しているツノの生えた(いか)つい頭、ウロコや爪が窺える手足はそのまま竜だ。


《間違っても“人型(ひとがた)”と言うなよ? アレは“縮身(チヂミ)”だ》

「え?」


 ソネラスの声が頭に響いてくる?

 特定の人にだけ声を届ける“響音通信”とはまた違う?


思念通話(テレパシー)だ。人族には難しいから教えてもらっていまい。だが竜族や魔族などは普通に精神念波で脳に直接言葉を伝えれる。これに言語の差異は関係ない。なぜなら脳が波長から読み取ってくれるからだ》

《こ、こうか?》

《そうだ。やはり妖精王には容易(たやす)いだろうな》


 なんとなーくでやってみたけど、アッサリ使えた……。

 そーいや同じ妖精王の師匠(クッキー)もウニャン形態でできてたんだし、オレたちも使えて不思議じゃないかも?



「遠路はるばるご苦労……。“征閃の光竜王”バルディマス殿、心待ちにしていた……」

「ふむ。相変わらず健在(けんざい)でなによりです。“暴焔の魔王(マギロード)”ジャオガ殿」

「そちらこそ」


 ジャオガさんと、なんか鳳凰(ほうおう)みたいな立派なローブを着た黄金竜が握手(あくしゅ)した。


《え? 普通に話してる??》

《……全て思念通話(テレパシー)に頼るワケにもいかんからな》


「ではこちらへ」「うむ」


 ジャオガとバルディマスはある場所へ向かい、それに引き連れられるように後続の竜族たちとオレたちも続いた。

 大雑把(おおざっぱ)だが平らで真っ直ぐな道に削られていて、左右には等間隔で街灯が並んでいる。

 細い岩柱の先端にランプを付けた感じの簡素な作り。青く灯るのが神秘的だ。そして向かう先は大きな岩山のふもとにモヤがかかっているファンタジーっぽさを(かも)し出している黒いシルエットだ。


思念通話(テレパシー)できるなら話は早いよ。あそこが訪問客をおもてなす所ね》

《ホノヒェラさん!?》

《初めてだとは思うが大丈夫だ。分からない事があればワシが教えよう》

《落ち着かなければ、我が話し相手になろう》


《ソネラスさん、アマリビグさん、ありがとう!》

《ふふっ……》《フッ》


 こうして黙々と四魔将と歩いているってのに、脳内は和気(わき)藹々(あいあい)だ。


 ヤマミも素知らぬ顔ながら《そういう事ね……》とか加わってくる。


《なんで、アンタたちがここにいるし?》

《つい最近連れてこられたんだ……》


 マイシも思念通話(テレパシー)で加わってきたのも驚いた。これ当たり前のコミュニケーションスキル?


《マイシこそ竜族にいるようだけれど?》

《異世界に来た時に、真っ先に連れてかれたんだし! そもそも最初にナッセと戦った時点で、彼らにマークされてたし》

《あー、あの時から?》


 二年前、あん時はすぐ大阪へ帰ちゃったっけ。

 ところが、異世界に来た途端スカウトされたってワケか……。やはり人族と違う事を教え込む為?


《じゃあマイシも……》

《人族と違う世界って言われてた?》

《ああ……、同じ人族として共存できなくなっていくとか言ってきたし!》


 なんか不機嫌そうだな。

 とは言え、竜王化したマイシは物凄ぇパワーだ。なんかの拍子(ひょうし)に暴れられたら町壊滅しそうだしなー。

 オレと戦った時はギルドはおろか村ごと木っ端微塵にしてたし。


《顔見知りってワケね……。前に幼少期の竜王と妖精王が辺境の村でケンカしてるって伝わってたけど、あんたらか》


 ホノヒェラがオレの頭をポンポンと叩く。おい!


《あの戦い、魔界にも?》

《高次元フォースは滅多に放射されるものでもない。故に我ら魔族も敏感に感じ取っていた》

《うむ》


 アマリビグもソネラスもホノヒェラも会話してみれば、(かしこ)まらなくてもいい雰囲気だなぁ。

 先頭で寡黙(かもく)と歩いているジャオガさんとバルディマスは思念通話(テレパシー)してんのかな?


 ようやく荘厳(そうごん)な大きな岩山の屋敷へ着くと、モヤが薄れて巨大な扉が高々と(そび)えているのが見えた。

 重々しくて頑丈そうだ。半分影に覆われていて不気味そうな雰囲気。


 ジャオガさんが手をかざすと、ひとりでにギギィ……と開かれていく。


 すると魔王城とは違って、立派な巨大な通路が神々しい装飾を伴って視界に入ってきた。

 床の赤い絨毯が高貴そうで、左右の壁と等間隔の柱には複雑な装飾が神秘的だ。遥か高い天井にも壁画が並んでいて煌びやかなシャンデリアが青白い灯りを広げている。


《うわぁ……》

《立派だわ。まるで巨人でもいそうな雰囲気ね》


《元々、巨大な体の訪問客も入れるようにと設計されてんだからね》


 しばらく歩いていると、また大きな扉だ。室内だからか芸術的な装飾の扉だ。これも勝手に開かれていく。

 すると広大な円形型の広間が窺えた。

 高級感のある丸テーブルにイス……。オレたち場違いかって思うくらい緊張する。


 オレたちは四魔将と共にジャオガへ、マイシと竜族たちはバルディマスへと左右に分かれて、互い向き合うように席についていく。


「さて、早速だがこれから討議(とうぎ)を行う」

「うむ」


 重厚に魔王ジャオガが宣言し、竜王バルディマスが頷く。


「今回は『大祓祭』開催によって『深淵の魔境(ディープダンジョン)』が七つ展開された事についてだ」

「うむ。そちらの地域で壮絶な死闘が行われた事についても把握している。あの悪魔の教皇……異世界の者だな」

「そのようだ。大災厄の円環王マリシャスの部下で、それを打倒した後に『聖絶』が行われた」

「ああ。あれはどうしようもないレベルの大災厄だったな」


 いつの間にかワインが注がれたグラスが並んでいて、魔王ジャオガはそれを軽く(すす)る。


「昔からの恒例(こうれい)で『星塔(スタワー)』がそれを封印して、塔の魔女による『大祓祭』が行われた」

「そしてその世界滅亡レベルの『聖絶』を七つの『深淵の魔境(ディープダンジョン)』に変換して、それを世界中にばらまかれたと……」

「ああ。全てを攻略(クリア)せねば『聖絶』の浄化はできない。そして最新の情報だが、そちらの妖精王ナッセたちが勇者どもと協力してライトミア王国付近の『深淵の魔境(ディープダンジョン)』を攻略(クリア)した。……魔境の消滅も確認済みだ」


「おお! そちらが……」


 驚いた風な感じでこちらを見てくる。


「こちらが光の妖精王ナッセ。隣が闇の妖精王ヤマミ。そして目覚めたばかりの妖精王クックだ」

「ほうほう。一気に妖精王殿が三者も……。壮観(そうかん)でございますな」


 ドキリと緊張する。

 ヤマミも緊張しているんだろうけど、顔に出さないのは流石だなぁ。クックさんは前からずっとカチコチ緊張して一言も発せていない。


「最近、魔界へ招待したばかりで知らない事が多いもので、大目に見てもらえると助かる」

「うむ。承知した……」


 ジャオガさん、完全に保護者的雰囲気……。

 粗暴な感じで勇者と死闘繰り広げてたのに、印象がまるで違うや。


「人族にしては純粋ですな」

「それが幸いだ。だから今の内に色々仕込まねばと思った次第だ」

「それは分かります……。我が方もマイシに手を焼いてましてな」


 マイシがムッとしてきた。

 ははは……。まぁ血気盛んだし容易に想像つくや。


《テメ笑うなし!!》

《あ、ゴメン……》


 こちらの口元が緩んでたから、睨まれちゃったか……。


 その後も、長々と魔王と光竜王の討議は繰り返されていった。

 竜族界は意外と人族のいるロープスレイ星に住居していて、その三層の内一番下の『ヘルズプレート』を領域にしているのだという。

 竜族って言うからに、人族よりも上の世界にいそうなイメージだったのに意外だった。


 ソネラスも補足してきたが、ヘルズプレートは三層の内で最も過酷な環境。凍てついた荒野に地震が多く火山活動も頻繁(ひんぱん)だ。広大な海があるが、氷河地域もある。

 人族が生活するには厳しい地域。

 だが、全然平気な竜族にしてみれば、独占できる美味しい土地にしか見えないらしい。


 そして三層の中間となる『ガイアプレート』には人族、御獣(ミケモ)族、竜族と交流が多い地域。その分、無法地帯となってる所もあるらしい。


「『深淵の魔境(ディープダンジョン)』はそれぞれの地殻にある。しかしライトミアの魔境以外は依然(いぜん)攻略(クリア)の兆しが見えない」

「このままでは各地で犠牲者が増える一方だ」

「それに()()()()()も少々……」


 ジャオガさんもバルディマスも深刻そうな顔を浮かべている。

 やはり高難易度の魔境は恐るべきもので、威力値が二〇万を超える猛者(もさ)も手こずるようだ。



「だからこそ、こいつらと一緒に魔界の『深淵の魔境(ディープダンジョン)』へ臨もうと考えている」

「えっ!?」


 思わず声を漏らして、急に恥ずかしくなって「す、すみません!」と頭をペコペコ下げた。


「……とは言え、強制はできぬがな。個人の意思は尊重(そんちょう)する」

「ジャオガさん……」

「ナッセ! 今はまだ基本的な事を教えたいから、ここにいてもらうが、魔境へ挑むかはヤマミとクックと相談していけ」


 そう言われたら断りづらくなるよ……。

 でもしかし、こちらの都合も考えてくれる魔王ってなんだか頼りがあっていいなぁ。勇者セロスは滅ぼすべき魔族って殺気立ってたけど、お互い分かり合えないのかな?


 その後も食事会を含めた討議が数時間ほど続いて、終わった時はすごく疲れた気がした。



 その夜、魔王城のバルコニーの外へ開けた場所で、オレは上空の赤い月を見上げ続けていた。

 アクトや勇者セロスに何も告げずに魔界へ行った事もそうだが、魔界の魔境も無視できない。魔王ジャオガたちでクリアできるかも未知数……。


「魔境行きましょ!」


 なんと歩み寄ってきたヤマミがそう言い出してきた。

あとがき雑談w


 マイシは単独で『洞窟(ダンジョン)』を通り抜けて、辺境の村についた。


マイシ「この村以外に行ってなかったし……。どこ行けばいいか分からないし」


竜族「マイシ殿!」

マイシ「は? なんで名前知ってんだし?」

竜族「では行きましょう」


 いきなり竜族に掴まれ、地面に魔法陣を展開。シュワーンと下層地殻ヘルズプレートまで一気に時空間移転。


マイシ「てめぇ!! なんのつもりだし!」


竜族「あとは頼みました」

バルディマス「うむ!」

マイシ「へっ! こういうことかし! 片付けてやるし!!」


 なんかでっかい黄金竜を見かけるなり、マイシは血気盛んに飛びかかる。

 半日ぐらい格闘続けて周囲が色々と荒らされていく。


竜族(いきなり国へ入れず、適当な荒野で良かったな……)


マイシ「はぁはぁ……強いなし!」

バルディマス「もっと強くなりたいなら、我が国へ来るといい。どうせどこ行けばいいか分からぬのだろう?」

マイシ「…………ちっ!」


 こうして竜族の社会へ入っていったとさ!



 次話『ナッセの答えはもう決まっていた!?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ