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48話「魔界で始まる異世界生活!?」

 魔界は基本的に永遠の夜────。

 夜空の真紅染まる満月を起点に、周回するそれぞれの星の速度で季節や時刻の指標(しひょう)としていた。


 そして時計の針は朝の七時相当を指していた。



 もう朝飯を済ませたオレはヤマミとテーブル越しに向かい合っていた。その眼下にはゲーム盤。

 クックさんはその横から「ふんふーん」と楽しそうに眺めている。


 ゲーム盤には四角のタイルで()()められている。ヤマミ側からは城下町、中心部は草原から渓谷(けいこく)、オレ側からは魔王城のフロアで構成されている。

 その上にはコインみたいなチップが置かれていて、その上にチップに記されたキャラクターが浮かんでいた。


「……勇者のパーティを進軍」

「じゃあこっちはモンスターで囲むぞ」


 ヤマミが動かす勇者パーティは四人構成で、勇者、戦士、魔法使い、僧侶だ。

 オレが動かすコマは魔王側のモンスター。ワイバーンだ。ギャオー!


 これは魔王ジャオガさんが買ってきてくれた一つ。魔族のゲームで、色んなキャラのチップをデッキに組んでゲーム盤で対戦する。

 大まかに言えば勇者と魔王の二種類にテーマデッキが分かれている。


 勇者デッキは同時に行動させるキャラが少ないもののレベルアップが可能で、多彩な魔法やスキルが使える少数精鋭タイプ。

 魔王デッキは同時に行動させるキャラが多く特殊能力も豊富だが、難点は回復魔法が少なくレベルアップがない点。


「ワイバーンで攻撃だ」


 ワイバーンを動かして、発動コストとしてチップを墓地に送って炎ブレスを発動させる。ヤマミもチップを墓地に送って「僧侶の防御魔法でダメージを軽減」と対抗してくる。


 トロルもワイバーンも次々やられて魔王城へ到達されると魔王を召喚せざるを得なかった。


「魔王は二回行動でスキルを連続で使えっぞ。闇波動と暗黒魔法ロストデスで攻撃だ!」

「戦士の挑発スキルで引き受けて防御。次、勇者で必殺スキルを発動! ギガ・セイントソード!」


 魔王の猛攻で勇者たちを全滅させようと思ったら、逆にやられたー。

 くそー! 用意周到すぎる!

 まさか戦士のスキルで魔王の攻撃を引き受けて墓地送りにして、魔法使いの強化魔法、僧侶の祝福、戦士の死によりパワーアップした勇者の必殺スキルでワンキル狙われるとは!


 ヤマミ側に「WIN!」と花火が上がって華やかにエフェクトが現れた。


「ルークゴーレムを事前に召喚していれば、身代わりスキルで守れたわよ」

「それもそうか。うーん」

「そもそも同時行動できるモンスターが多いからって、後先考えずに召喚したら勇者を強くするだけだもの。ポイズンイーターやアーミーバチなどを設置すれば毒や麻痺で弱らせて、ワイバーンなど火力の強いモンスターで集中砲火すれば瓦解するから」


 ヤマミの方が把握してた! ゲーム強ぇえ!! ガチ勢かよ!?

 クックさんは「ヤマー強すぎー!」と両拳を突き上げる。


「それにしてもジャオガさんって、色々なデッキ買っているとは思わなかったなぁ」

「そうね……退屈させないように、って(いき)(はか)らいね」


 カッコイイからと『闇魔界の魔王』を使ってたが、他にも色々な魔王があって炎や海に適するタイプもある。

 勇者の方も色んな勇者と豊富なクラスの仲間があって、スキルもその数だけ違う。

 キャラチップだけでも数万種類もあって、レアモノは高額で売買されている。ゲーム盤は一つだけじゃなく、色んなフロアを組み合わせて楽しめる仕様だ。

 魔王と勇者に限らず、魔王と魔王、または勇者同士でゲームも可能なので、飽きさせない。


「あったしもやるー!!」

「誰と??」

「ナッセとー!」

「へいへい。ご指名とあらば受けて立ちましょう」


 デッキとなるチップの構築。舞台となるゲーム盤のフロアの組み換え。

 ノリノリなクックさんと向かい合ってゲームスタート!


 ヤマミは一息を付いてコーヒーっぽいのをすする。


「しかし他にも魔王がたくさんいるなんてね……」

「うむ。ジャオガさんはライトミア地域だけど、他の魔王はそれぞれ各国の地域を担当しているんだよな。スライムを一〇体召喚っと」


 世の中は本当に広い。知らない事だらけだ……。

 魔王はジャオガだけじゃない。他にも魔王勢力があって、人族へ侵攻するよりも魔族同士で争う頻度の方が多いらしい。定期的に“戦祭(せんさい)”として試合みたいな戦争を行ってると言うのも初耳だ。


「囲んだギガントで獄炎魔王を集中砲火で攻撃! 更にダークドラゴンの必殺スキルでダークメテオ!」

「むきー!! もう一度ー!! もーう一っ度ー!!」


 負けたクックさんがムキになってきて、やれやれと準備し直していく。

 ヤマミが「相手してあげるわよ?」と微笑むと、クックさんは「鬼強いからヤダー!!」と首をブンブン振る。


「…………ッ!!」


 ショック受けて固まるヤマミ。




 城を降りて、城下町を散策────────。


 魔界の衣服は漆黒が多く裾が破けたようなギザギザのデザインが多い。

 オレは闇の剣士風で軽装の服にマントを羽織(はお)っている。ヤマミは短めのマント、オフショルダーで首と肩が露出していて裾がギザギザのミニスカ、腕には長手袋で足はハイソックスで(なまめ)かしい。

 クックさんはマントと裾がギザギザのワンピース。


 闇の衣を纏う魔族になった気分だ。クックック……!



 広い道路を歩いていると、行き交いするのは魔族だけではないのが分かる。ちらほら御獣(ミケモ)、エルフ、ドワーフ、ホビットとか割と多く混じっている。更に褐色のエルフであるダークエルフまでいる。

 黒いフードをかぶった骸骨のリッチまで悠々(ゆうゆう)と歩いている。驚いた。


 賑わっていて、血気盛んなヤツらは路上でストリートファイトして盛り上がっている。

 酒で酔っ払ったり、賭け事したり、喧嘩したり、無法地帯っぽい。


「おう! オメェもやるか? あぁん?」

「いや止めとくよ」

「ちぇ、強そうなのになぁ……」


 大男の魔族が吹っかけるケンカを断ったら、大人しく引き下がってくれた。

 どちらか言うと決闘の申し込みに近い。

 ただケンカを吹っかけて暴れ散らすのではなく、路上でサシの戦いをする。だが、相手の同意がなければ踏み込んでこない。

 ルールのある競技のようなものだった。


「……ってか五回くらい吹っかけてきたな」

「断って正解ね。相手にならないもの」

「あったしもやりたいー!」


 要求不満かクックさんはウズウズしてるようだった。


「おおー! そこのチビやるか?」

「うんやるやるー!」


 代わりにクックさんにケンカふっかけてきたぞ。ヤマミを見やると呆れてきた。

 案の定、クックさんにボコボコにされて魔族泣きっ面で降参。


「お、オメェ強すぎるぜ!! 敵わねぇな!!」


 他の魔族がワイワイと物珍しそうに寄ってくる。


「あんたらエルフか?」

「……妖精王だけど?」


「どっひゃ~~!! マジかよ~~!! 道理で強いワケだよ!」


 歓声を上げて驚く魔族たち。

 ドヨドヨ騒ぎ出して「あ、教皇と戦ったヤツだ!」「見た見た!!」「見た事があると思ったら、本人かよ!?」「スゲーな!!」と歓喜してるようだった。

 人族が抱いているようなイメージとは全く違っていた……。


 魔族と言えば、残酷な事を好む悪魔ってイメージが強い。

 でも実際は気楽で奔放(ほんぽう)でケンカして勝ち負けを楽しんでいるようだった。そこに悪意や欲は感じられない。

 シンプルに強さを競い合うのが好きな感じ?


 オレたちが妖精王って種族だからこれだけど、もし人族だったら同じようにはいかないだろうなー。




「そこのボウヤー! 初回無料で本番三発までサービスしてあげるわよー!」


 なんと三体の女淫魔(サキュバス)が露出度の高い衣服で色仕掛けアピールしているぞ。

 吸血鬼(ヴァンパイア)族と同じく亜魔族。頭上に一対のツノのようにコウモリの羽みたいなのが生えていて、尻からは尻尾が生えていて先っぽがハートみたいになっている。


「どんな姿がお好みかなー? むひひひ」


 なんとナイスバディのお姉さんが目を光らしたと思ったら、ロリっぽく縮んで可愛さを増したぞ。

 ヤマミに手首強く(つか)まれて「行きましょ!」とツカツカ去っていく。途中でオレに似た長身銀髪イケメンの男淫魔(インキュバス)がヤマミを誘惑しようとするも、恐ろしい形相で睨まれてスゴスゴと退散……。


 ひょえー、姿変えれるんかな?


「……男淫魔(インキュバス)女淫魔(サキュバス)は見た者の願望を肉体に具現化して性的行為を誘う性欲魔! 二度と近づかないでっ!」

「あ……!」


 相手の性癖を映し出してしまうのかっ!?

 やっべー! あいつらやっべー!


 更に話を聞くと、人族だろうが御獣(ミケモ)だろうが竜だろうがゴブリンだろうが、生殖可能な生き物となら子作りが可能なトンデモ種族。

 魔界だけではなく、人族の国や他の種族の国にも(まぎ)れるから、結構活動範囲は広いとの事。


 ちなみに生殖機能を持たない魔族ではなく、訪れてくる他の種族をターゲットに店を構えている。

 魔界だからと欲求不満になっている種族が割と多いからである。



 魔界レストランは何時になっても余裕で空いていた。


 魔族は貯め食いするから食事の回数が少ないからだろうか?

 こちらは生活リズムを崩したくないので、通常通り三食しつつ腹に少しずつ余りを貯蔵(ちょぞう)していく。

 やはり見た目はグロイ料理が多いが、味は人族の料理にも負けず劣らず美味しい。人族は食べられんだろうけど……。


 城に帰った後はシャワー浴びてスッキリして、晩飯食って、談笑して、消灯して就寝……。




 ────そしてついに約束の日がやってきた。


 大気の振動で空を見上げると、無数の竜が翼を羽ばたかせて下りてくるのが見えた。

 招集(しょうしゅう)されたオレたちは魔族の衣装を纏って四魔将と一緒に魔王の後方で(ひか)えながら、竜族の団体を迎え入れようとする。


 巨体だった竜の団体は揃って縮んで人型になった。

 魔王は竜人の代表と握手して、不敵な笑みで一言二言交わす。


 無数いる竜人の中に見慣れた赤い人が気になる。赤いセミロングで強気そうな顔。衣服が他の竜人と同じだが間違いない!


「マイシ!!?」

「あ! ナッセェ!?」


 視線が合って思わず叫び合ってしまう。

あとがき雑談w


女淫魔(サキュバス)「また来てねー!」


アクト「…………ヤりすぎたァ……!」ヨロヨロ……!

リョーコ「朝帰りだなんて、いい身分ねー!」

アクト「精力増強で絶倫にしてくるから余計搾り取られるァ……」


女淫魔(サキュバス)男淫魔(インキュバス)

 容易に自分の姿を変えれる為、ほぼ美男美女。

 相手の願望を読み取って魅力的な容姿を変えれるので万人受けの種族とも言える。

 一応亜魔族として部類されているが、人族の社会も寛容に受け入れている。

 通常の飲食による食事以外にも、性交によって相手の精力を摂食も可能。つーかこれがメイン。

 生殖によって繁殖ができる知性生物なら、種族を問わず出産が可能。この場合、優性遺伝子で女淫魔(サキュバス)男淫魔(インキュバス)が高確率で生まれる。

 ※ただし受精の確率は人族の数百分の一と、かなり低確率。なので絶倫&性欲旺盛。ヤバい。

 ※親近交配でも遺伝子異常や遺伝病が起きないのでヤバさに拍車をかけている模様。


 ちなみに離婚率もダントツで、三年~五年で冷めやすい。生態的に多くの異性と交配して子孫を残す為である。浮気もホイホイやるので、一番修羅場を起こしやすい種族とも言える。

 万年夫婦を望むなら避けた方がいいだろう。


 女淫魔(サキュバス)男淫魔(インキュバス)は成長が早いので、生まれた直後で歩け、一歳で言語を理解し、三歳ぐらいで出産が可能な体に成長する。安全に出産が可能な推定年齢は八歳以上。

 それでいて寿命は二〇〇年に及ぶ。

 種族的特性として多くの性病に耐性がある。


 あんまり強くないので戦闘タイプはほとんど見かけない。性交特化w



アシナン「よー! お父さーん!!」ぷりぷりw

アクト「ん? 誰だァ?」

アシナン「こないだ前にお母さんとヤってたでしょ? 見て見て! 母に似て美人っしょー? 一晩ヤろかー?」ぷりぷりw


アクト「おっふ……w」

リョーコ「娘に欲情とかヤバw」



 次話『まさかのマイシと出会った!? それぞれ違う世界で??』

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