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45話「魔王に連れられて闇の王国へ!?」

 ────エンカウント空間。

 魔族やモンスターが人族にしかける戦闘空間。こちらの世界でも魔界オンラインのモンスター化した極悪人との戦闘でも同じ事が起こる。

 通常空間をコピーして展開される亜空間なのだが……。


「反転空間を経由して魔界へ移行する」


 魔王ジャオガが告げると、今度はエンカウント空間が収縮して黒い点へと消えていく。

 すると薄暗い風景が広がっていた……。


 荒野で、黒く濃い目の大地に岩山。毒々しい紫の植物があちこち生い茂っている。あちこち紫のモヤが漂う。

 空は夜空に映える不気味な赤い月が窺える。ドクロっぽい模様してる。


「…………ここがガチ魔界!?」


「やはり問題ないか」

「え?」


 オレたちをじっと見るなり、そんな事を言い出すと背を向けて「ついてこい」と歩き出していく。

 ヤマミと顔をしばし見合わせる。

 別に罠にかける様子もない。そもそも敵意など最初っからない。今は戸惑うばかり。

 クックさんは不安げにオレの(すそ)を掴んだままだ。


「……戸惑うのは無理もないが、妖精王として知っておくべき事は多い。今は我々魔族の社会事情からだ。来い」

「あ、ああ……。ってかオレたちを捕まえて拷問とかしたりしねーよな?」

「人族としての勝手なイメージか? 先入観は捨てろ。そういうのは無い」


 呆れられた。ため息までつかれている。

 こうして突っ立ってるのも仕方ないので魔王ジャオガについていく事にした。


 なんか禍々(まがまが)しい装飾と形状の黒い駅へ来ると、様々な魔族たちがいた。

 思わず緊張して竦むが、こちらを気にする様子はない。オレたち人間が混じっているのも気付かない。魔王ジャオガに「おお! 魔王さま!」と頭を下げる魔族が多い。

 こちらを見て「魔王さまの勧誘(かんゆう)か」「エルフ族の子どもか?」「……極めて人族っぽいな」などと飛び交うばかりで、誰も人間だと気付く人はいなかった。


 別に変身してるワケでもねぇのに? まさか人間見た事ない??




「ここでは人族は住めん!」


 魔列車というモンスターに乗ったオレたちに魔王ジャオガは席でふんぞり返ってそう言ってきた。


「…………人族は絶対に来れない??」

「いや、侵略する意味では何度も来る。しかし交流や移住の意味で絶対に来ん。なぜなら、この大気は人族には毒だからだ」

「え?」

「私たち何ともないわよ?」


 クックさんは毒と聞いてか、オレの腕にギュッとしがみついて顔を埋める。

 ガタンゴトン魔列車が揺れる。この列車も人族の魔導列車と同じように自ら線路を生成(せいせい)して目的地へ向かうタイプだ。


「お前たちが純粋な人族なら、突然苦しみ始めて数分も経たずに死に至る。もうとっくに身体の作りは人族のソレではない。だからこうして平然としてられるのだ」


 ああ、だから「問題ない」ってたのか……。

 しかしまさかオレたちが人間やめてたの何気にショックだなぞ。


「では人族が攻めて来る時は環境適応魔法(テキオーラ)を使っているのね?」

「ああ無論だ。だか、お前らは魔界(ここ)では必要なかろう」


 車内販売員が通ってきたら魔王ジャオガが手を挙げて、いくつか注文していく。

 オレたちにもジュースとパンみたいなものをよこしてくれた。

 クラゲっぽい奇妙な見た目のパンは(うごめ)いていた。うひゃあ……。


「人族は食えんが、お前たちなら問題ないだろう」

「え? でも……!?」

「まさかこのまま飲まず食わずでいるつもりか?」


 うげー、って苦そうな顔でヤマミと見合わせる。

 意を決してジュースを少しストローで飲む。炭酸ゼリーみたいな味がしたが美味い。思わず続けて吸ってしまった。

 クックさんはパンに噛み付いてもしゃもしゃ「うまっ!」と目を丸くした。


 恐る恐る生きたパンみたいなモノを(かじ)る。なんか痙攣(けいれん)して息絶えたのか動かなくなった。だがジューシーな肉汁と食感が美味しく口の中に広がった。ニュルニュしたものが(のど)を通っていくのが気持ちいい。

 見た目キモいけど味は最高だ。

 思わず全部平らげてしまった。魔王ジャオガを見やるとフフッと笑ってくる。


「な、大丈夫だったろう?」

「じゃあ、コレは人族にとってはマズイの?」

「味覚は確実に合わんだろうな」


 人族も食えそうなモンだが、マズイからあっちでは流通してねーんかな?

 なんか世界がまるで違う……。


「これがバイオフードだ。生きている事で新鮮を保ち、長時間の保存が()く」


 この後も説明してくれたが、魔族にはモンスターを生成する魔法があって食用にも応用されている。

 生きたてを所持して食うようなもんか。


「ちなみに人族では毒になりうる栄養も我々にとっては欠かせないモノだ。さっきのモスガ(パンのようなもの)にもたっぷり入っている」

「ぶっ!」


 思わず吹き出す。もう飲み込んでしまってるからポーズだけである。


「マジかよ!? こんなの聞いてねぇっ!」

「ともかく、臨時に備えて栄養は貯めておいた方がいいぞ」

「え??」


 聞いてみると、体内に栄養を貯めて必要に応じて摂取(せっしゅ)できるらしい。

 だから魔族はしばらく飲まず食わずでも活動ができるっぽい。信じられねぇよな。ってかオレたちもできるみたいに言うなよ!


 魔王から、腹を意識して食物を分別したり貯めたりする感覚とか教えてくれた。

 変な感覚だが体内の食物が『感触』出来て、それを自由に分別できる体内機能をすんなりこなせた。消耗カロリーをコントロールできるって感じ。マジだった!

 さすがのヤマミも複雑な心境だったっぽい。


「これならある程度の毒も寄生虫も気にせず生のまま食べれるし、逆に毒を蓄えて皮膚から分泌(ぶんぴ)して武器にする事もできるぞ。これが案外便利でな……」

「えぇ……マジかよ…………」


 なーんか人間止めてるのを実感していくよーな…………。


「ジャオガ……、敵対していない事は分かったわ。だから魔族の味方をしろって事?」

「誤解無いよう言っておくが、別に味方になれとは言わん! 視野が狭いままでは教養としてどうかと思ったまでだ」


 確かに「我々の味方になれ」と言ってはいないよな。(おど)しすらもしてないし。

 人間止めてる自覚をさせた上で、自分で決めろって話らしい。


「お前たちが純粋な人族なら、わざわざこういう事はせん……」

「なぜ人を毛嫌いすんだ?」

「まさか単なる差別や加虐衝動が理由だと思ったか?」

「違うの?」


「答えはシンプル。社会や生態が違いすぎるからだ」


 窓を見やると赤い海が広がっている。なんかポコポコ泡を吹いている。

 まるで地獄にいるみたいな雰囲気だ。


「気分を害するだろうが、人族はゴブリンやオークと近い生物として部類されている。短命(ゆえ)に群れて大量繁殖する事で種族を維持(いじ)している。それに元来(がんらい)戦いに向かんから、すぐ故障しやすい。その癖プライドだけは不相応に高い。弱くて(もろ)い癖にな……」

「人族は……弱くて脆い……?」

「ああ」


 引退した勇者の父を思い出す。

 度重なる冒険と戦闘で徐々に体を傷め、やがて壊して、止むなく信念と技を子孫に継がせて未来を託す。このように長年も代々引き継いで戦い続けているってセロスも言ってたな……。

 アクトも無理して体壊していたなー。今は治ってっけど。


「────で、そこまで分かってて敵対してんのか?」

「そこだ。我々は性悪説として闘争を重んじて社会を築いている。それを頑なな認めぬ偽善の人族とは()りが合わん。それで自然と敵対してしまう」

「だからって、襲っていい理由にならないでしょッ!」


 ヤマミは激情をあらわにする。


「人族が“善”で、魔族が“悪”だと? それこそ思い込みだ!」

「くっ!」

「……確かに人族にも極悪人はいる。オレの元いた世界では醜い争いばっかだった」


 悪意と欲まみれの人間社会で、弱い立場の人が虐げられたのも知っている。嫌というほど醜い部分を思い知らされた。皮肉にも人族も強い力を持つと(ろく)な事にならない。

 これらを善の生き物かって言われると(はなは)だ疑問だろう。


 悔しいけど魔王は正論を述べてるだけに過ぎない。



「そういう事だ。どこの種族にも善悪は存在する。我々魔族も例外ではない。人族感覚の偏見で見てくれるな」

「だが何故“闘争”を重んじるんだ……?」

「闘争は互いの力量を試しあって、競い合って、認め合って心身を(みが)いていく大事な社交だ。そして勝ち負けに関わらず自分の主張を伝える手段にもなる。故に性善説とは程遠いから人族は“悪”と偏見を持ち、討伐対象にしているからこそ我らと対立する」

「ううっ……!」


 確かに勇者セロスは魔王魔族を滅ぼすべき対象として信念を持っている。

 魔王魔族によって人間は苦しめられていると思っているから、滅ぼせば平和になると信じている。そういう人が多いから殺気立っているのか……。


 オズラッチもヨーレンも分かり合えないとキッパリ言い切ってる。

 確かに魔族と人族とでは認識が違い過ぎる……。


「────────それに我々は死ねん、からな……」


 どことなく悲哀そうな表情を見せた。

 魔族は本当の意味で死ねない。何度死んでも記憶をそのままに生まれ変わり続ける。本能ゆえ、ずっと争い続けざるを得ない。ある意味、人族の輪廻(レール)より地獄なのかもしれない……。


「ジャオガさん……」

「フッ、しんみりさせたな。……そろそろ着くぞ」


 なんか次の駅に止まるようで放送が繰り返された。

 降りると、禍々しい形状の駅。それを出ると不気味な王国が広がっていた。魔族がウジャウジャ行き交う賑わった城下町。

 岩山のシンプルな住宅が並んでいて、穴が空いている。カボチャっぽいランプなどがたくさん灯っていた。


 光のライトミア王国とは対照的に禍々しい闇の王国だ。


「ようこそ! 闇のダークロス王国へ!」


 不敵に笑う魔王ジャオガがこちらへ告げた。オレたちはポカンとする。

 敵だと思っていたはずの魔族が寛容(かんよう)に招待してくれるなど初めてだ。夢か(うつつ)か目を疑ってしまう。ほっぺをつねってしまう。いたた。

 


 ────まさか魔界の闇の王国へ訪れるとは思ってもみなかったぞ。

あとがき雑談w


セロス「……魔界へ連れて行かれたかもしれん!」

アクト「マジかァ!? 異空間ってたがァ……マジか!?」

リョーコ「早く行かないと!!」


ファリア「よりによって魔界か……。息するだけで死ぬぞ!」

メーミ「………………」


アクト「クソァ!! なんとしても行かねェと!!」

リョーコ「危険は百も承知よっ! 殴り込みするわ!!」

セロス「待て待て!! そのまま魔界行ったら、あんたらも死ぬぞ? 環境適応魔法(テキオーラ)覚えてるのか?」


アクト「ん? それ美味いのかァ?」

リョーコ「魔法は苦手だから……って! あるなら早く教えて!!」

セロス「環境適応魔法(テキオーラ)を会得するには数ヶ月かかるが……?」

アクト&リョーコ「ええええええっ!!!?(絶句)」


メーミ(んー、まぁ大丈夫だとは思うけどね~)


 エルフ族のメーミはなんか察してる模様w



 次話『ええっ!? 魔界にも冒険者ギルドが!?』

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