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40話「恐るべき最深部のラスボス!!」

 うう……、オレ心臓がバクバクいってるぞ。


 なんと最深部には、数個のブロックがくっついている巨大な(かたまり)があった。

 ソレは心臓のようにドクンドクン不気味に波打っている。

 同じく勇者セロスたちもアクトたちも汗を垂らしながら見上げている。


「おぞましい邪悪なフォースね……」


 ヤマミが言ったように、確かにピリピリする威圧感は濃密度の負エネルギーを(はら)んでいる。

 あの魔王ジャオガなんかとは比べモンにならねぇほどの……。


 ドクン!!


 こちらの存在を察知したかのように、大きく胎動(たいどう)した。

 するとパズルを解くみたいにブロックがガシャガシャ()がれていくと共に収縮して消えていく。あれはきっと、これまでフロアボスの部屋へ入る扉と同じようなもんだろう。

 中から凄まじい威圧をこもれ出す()()()があらわになっていく……。


 頭は骸骨を模したような仮面っぽい感じで、赤い結晶郡晶がツノ、肩からの翼を模した突起、背ビレ、そして下半身から尖った突起に生やしていた。

 まるで黒い巨像って感じかぞ……。


「ウオオオオオオオオ…………ンッ!!」


 するとビリビリビリビリと超振動がそこらじゅうに響き渡り、強烈な圧がのしかかってくる。


「ホノバーン!!」「ホノバーン!!」


 メーミとヤマミがすかさず火炎球を撃ちだす。しかし黒い巨像に届く前に、ビキビキッと水晶の障壁が形成される。劈く爆音と共に爆発が轟く。────しかしして黒い巨像は無傷。

 その黒い巨像はカッと虚無な両目から赤き光を灯した。ゾワッと戦慄を(もよお)す。


大厄災の魔王像カタストロフィー・イビルスタチュー】(悪魔族)

 威力値:530000

 骸骨を模した仮面の黒い巨像。ツノ、肩からの翼を模した突起、背ビレ、そして下半身から尖った突起に生やしている。水晶を不定形に展開して攻防一体の戦い方する。これ一体だけで、世界地図は書き換えられ、いくつか王国が滅ぶであろう……。魔王級。


「おおおおおおおッ!!」


 全力全開、と気力を漲らせて妖精王へと変身する。

 バサッと長いロングヘアーがたゆたい、背中から花が咲き、その花弁が拡大化して翼のように滞空する。

 足元に広がった淡い花畑から荒々しく花吹雪が巻き起こっていく。そして同時に凄まじいフォースを噴き上げていく。

 ヤマミも同じく漆黒の羽をいくつか背中に展開し、妖精王になると共に『偶像化(アイドラ)』が威圧を放ちながら巨像として(そび)えていく。


「こっちも────全開だァ! 万覇羅弐(マハーラドゥイッテ)!!!」


 アクトも天然パーマの黒髪が逆立ち、歌舞伎(かぶき)で言う隈取(くまどり)が目の周りを染め、黒い装甲のように全身の筋肉が変質し肥大化、全身を纏うような赤い湯気の激流が噴き上げられていく。


 勇者セロスも「もってくれよ……! 勇者の魂波動(ブレイバーフォース)ッ!!」と眩いフォースを噴き上げながら聖剣で構えていく。


 ヤマミと手を重ね、相乗効果で力を増す。


「行くぞッ!!」


 オレたちはカッと見開き、魔王像へと向かう。

 しかしその刹那、魔王像を中心に水晶障壁が輪状に顕現化され、凄まじい衝撃波が撒き散らされた。


「うわああああああああ!!!」


 それに煽られて粉々になっていく浮遊島。破片が大嵐に流され、ティオスやクックさんらは吹き飛んでいく。

 しかしなんとか宙返りしつつ受身を取って、破片を足場に降り立つ。

 リョーコは「なんて威力なの……」と絶句していた。


「負けてられるか────ッ!! (ダブル)流星進撃(メテオラン)ッ!!!」


 ヤマミとで繰り出す瞬間連撃が次々と水晶障壁を粉々に砕きながら突き進む。しかし魔王像は慌てる事なく目を赤く光らせた。

 分厚くて巨大なキューブ型の水晶弾が連続して突撃してきて、さしもの流星進撃(メテオラン)すら押し切られた。

「うああああああ!!」「きゃあああああ!!」

 そのまま巨大な浮遊島へ押し退けられ、更に後続の水晶弾がゴンゴンゴンと玉突きして威力を増したソレは貫通していく。

 貫かれた浮遊島は煙幕や破片を散らしながら粉々に瓦解(がかい)していく。


 その勢いで吹っ飛ばされたオレたちは、はるか後方の浮遊島へ身を打ち付けて「がはっ!」と激痛と共に口から血を吐いた。

 な……、なんつーパワーだ……!! 四首領(ヨンドン)に近いんじゃないか!?


 セロスもアクトも奮戦するが、幾度(いくど)もなく頑丈で巨大な水晶障壁で阻まれ、弾丸のように飛ばしてきて苦戦している。

 なおも魔王像は周囲に幾重もの水晶障壁がグルグル周回している。

 リョーコは「いっせーの……」と斧を後方に構えて凄まじいエーテルを貯め続け、一気に振るう。


「スラッシュスレイヤーッ!!」


 (はば)む水晶障壁をいくつか裂いていくが、徐々に威力を削がれて霧散させられてしまう。リョーコは「もう一丁……」と二撃目を繰り出すが、再度阻まれて届かない。

 クックさんは両腕を交差して凄まじい魔法力を収束させて、徐々に周囲を振動させていく。


「弾け散れー!! 大爆裂ホノ・エクスプロージョンッ!!」


 交差していた腕を大の字に広げると、膨大な量の火炎球の嵐が怒涛と放たれた。大地を震わせ、阻む水晶障壁を粉々に散らしながら魔王像をも眩い灼熱で呑み込む。

 大規模の大爆発が広々と巻き起こされ、凶悪な高温が爆心地を蹂躙した。

 震撼と共に激しく吹き荒れる熱風に、オレもヤマミも腕で顔を庇う。


「……これで倒せるならいいけど」

「全然ダメ!」


 煙幕が晴れると、しっかり厚くて強固な障壁で囲んでいて魔王像は無傷だった。

 無機質な仮面だが余裕そうに見える。


「あ────も────!! なんっでなんっでぇ────!!」


 クックさんは両拳を交互に突き上げて地団駄(じだんだ)踏みながらプンプンする。


「なら、これでならッ!!」


 ヤマミが軽やかに腕を踊らせて、数百もの黒い小人が生み出されていく。それは浮遊島や破片を伝播しつつ次々と飛び跳ねて、魔王像へと迫る。

 すると水晶障壁がこれでもかと言わんばかりに飛んできて、黒炎が次々と燃やし尽くして霧散していく。

 しかし、こちらの小人よりも圧倒的に多くの水晶障壁で阻んできて全く届かない。

 水晶障壁そのものを伝播していけばいいのにと思ったが、触れた瞬間に逃げ場なく包み込んで誘爆させているのが見えた。


「……チッ! 前のフロアボスのようにはいかないのね!」

「ってか、対策早すぎる!」

「厄介だわ!」


 反撃と大量の水晶弾を超高速で飛ばしてきて、思わず「やべぇッ」とクックさんを抱えて飛び退いた。

 四方に放たれた水晶弾は衝撃波を伴い、軌道上の浮遊島などを粉々に砕きながら破壊を撒き散らしていった。ドドドドド……!


「こんなの……食らったら王国も壊滅するぞ…………」


 息を切らすセロスに、メーミが回復魔法(ナース系)の光を灯す。

 ファリアは障壁を張って、飛んでくる水晶弾を受け止めると()らさせて後方へ流していく。その繰り返しで凌いでいるが苦しそうだ。


 絶えず嵐のように飛んでくる水晶弾に、オレたちは飛び回ってかわすしかなかった。


「実際の威力よりも、問題はあの硬さと物量だぞ……」

「ええ!」


 威力値に換算したら一〇〇万よゆーで超えるんじゃないのか。アレ。

 猛スピードで水晶の大壁が覆いかぶさってきてビックリ仰天! 避けられねぇ!


 そのまま大壁が押し潰してきて、巻き込まれた浮遊島が粉々に砕け散っていく。



 別の浮遊島で、黒い花吹雪の渦からオレとヤマミが吹き飛ぶように抜け出た。ザッ!

 クックさんを抱えたまま「ふぅ~~助かったぁ~」と胸をなで下ろす。

 しかしヤマミはギッと切迫して『偶像化(アイドラ)』の手でオレたちを掴み、飛び退くと水晶弾の嵐が飛んできて浮遊島が木っ端微塵に砕け散る。


 しばらくは『偶像化(アイドラ)』がビュンビュン縦横無尽に飛び回って。ことごとく水晶弾をかわしていく。

 抱えられたまま、自分でカッコ悪いなと思いつつも、それに甘んじる。


 しかし厄介なラスボスだなぞ……。


 あちらさん際限なく連発してくるから休む(いとま)もない。

 こちらが全滅するまで、延々と攻撃し続けるだろうな……。


「ヘヴン・フィニッシュ────ッ!!!」


 なんと勇者セロスは稲妻を撒き散らしながら剣を振るい、数十枚も水晶障壁をスパパパパパパッと斬り裂き続けていく。しかし徐々に頓挫(とんざ)していって最終的に押し切られて、逆に水晶弾を浴びせかけられて「ぐあああああ!!」と吹っ飛ばされてしまう。

 そのまま後ろの浮遊島へ激突して煙幕を立てる。しかも水晶弾がダメ押しと連射されて粉々にしていく。

 煙幕から血塗れのセロスが抜け出てくるのを見て、ホッとした。


「防御は最大の攻撃ってか……」


 ヤマミの『偶像化(アイドラ)』に抱えられながら呟く。隣のクックさんは「攻撃無効化できないの?」と聞いてきた。

 ビュンビュン飛んでくる水晶弾の嵐に向けて「攻撃無効化!!」と掌を向けた。


 するとバシュッと蒸発する音を立てて、角張った水晶弾はふにゃふにゃ丸みを帯びて白鳥に分解されてパラパラと飛び去っていく。

 次々と飛んでくる水晶弾はことごとく白鳥に分割されていった。


「……確かに攻撃無効化できっけど、実はこの状態だと攻撃できねーんだよな。一緒に無効化されちまうから」

「ええ────! そりゃ不便────!!」

「だなぞ……」


 アイツに近づくまで攻撃無効化維持して攻撃って手もあるけど、きっとアッチもその瞬間に攻撃繰り出してくるぞ。

 無効化しながら攻撃ができりゃ、なんとかなるのに!


「…………悔しいけど、ここは退くべきね」


 ヤマミがそう言いかけた所で、ハッと「ま、待ってくれ」と止めた。


「なにか策でもあるの? 退いてから態勢を整えるべきよ? 今のままじゃ────」


 ここで退いたらダメな気がする……。

 なんかもどかしい気持ちが滞ってて、燻り続けている。すると脳裏に悲しげなマロハーが浮かんでくる。そして彼女が杞憂(きゆう)するサラとエムが浮かぶ。


《お願い……!》


 悲痛に訴えてくるその言葉は忘れられない。

 何故だか無視できない。彼女の声を思い出すだけでも心がキュッと引き締まる気がするんだ。


「ここでケリをつけてやる!! やらなきゃ──────!!」

あとがき雑談w


ナッセ「なぁ? 魔王像(アレ)、デザインしたの??」

サラカート「違うよー! 確かに『魔境(ダンジョン)』に変換したけど、あくまで構造だけだよー!」

エムネ「そう……勝手に自動的に機能して、モンスターが生成されてるんだよ……」


ナッセ「難易度設定も?」

サラカート「そうそう! 封印した災厄の大きさによって、ねー!」

エムネ「これだけ強いのは……『聖絶』がそれだけ邪悪でおっかないって事だね……」


ヤマミ「災厄って、地震とか火山とかも?」

サラカート「まぁね! 人類滅亡級の隕石とかもあったから、感謝して欲しいくらいだよー」

エムネ「そう……、その時は百年以上も『大祓祭』長引いてたね……」


ナッセ「ま、マジかよ…………!?」



 次話『逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ!!』

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