表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/200

32話「最高戦力で魔境を攻略だ!!」

 オレたちは『深淵の魔境(ディープダンジョン)』へ潜る前に、王様やギルドに報告を済ませ、デパートなどであらかた必要なものを買い揃え、翌日の待ち合わせで勇者たちとティオス先輩と集合した。


 セロス、ファリア、メーミの勇者パーティと、クックさん、ティオス先輩の異世界友人と、オレ、ヤマミ、アクト、リョーコの懐かしいパーティ……。


 初めての試みとなるが、これも最高戦力で挑む為の混合パーティだ。



 見上げると、『深淵の魔境(ディープダンジョン)』の赤黒い結晶山は思ったより巨大だ。


「よし行くぞ……!」


 広く裂けている出入り口へ入り込む。水面に沈むかのような波紋が広がる。トプン。

 もちろんオレの世界に存在する『洞窟(ダンジョン)』と同じ仕組みだ。


 だが、ここは洞窟(ダンジョン)って言うより地下空洞とも言える広大な空間が窺えた。

 オレたちが立つ荒地の地面も遠くまで道となって行き届いていて、所々地表水が見える、赤黒い結晶がこびり付いた黄土色の鍾乳洞(しょうにゅうどう)だ。(おく)()きは真っ暗でどこまで空間が広がっているのか分からない。

 なんかあちこちで赤い発光が不気味に鍾乳洞を照らしている。


「うおお……!」

「うーわー!! すっごいすっごーい!!」

「知ってる『洞窟(ダンジョン)』とは違うな……」


 セロスは見通しながら呟いていたので、オレは「違うの?」と聞いてしまう。頷いてくる。

 クックさんははしゃいでいる。


 彼が言うには異世界の洞窟(ダンジョン)はそれそのものが巨大なモンスターのようなもので、地下に潜伏して冒険者を誘って食らっているのだという。

 もちろん魔族が莫大な利益を得る為に創られた罠タイプのモンスターだ。

 それ自身の素材や、犠牲者の持ち物などを生成した宝箱に入れて更なる獲物を誘う。しかし最下層のボスを倒されてダンジョンコアを破壊されたら、まるごと失ってしまうリスクも持つ。


 とは言え、闘争を重んじる魔族にとってはそのリスクを承知した上で人類に挑戦するものでもある。

 そうやって歴史は繰り返され続けてきたのだ。


 ……と言うようなのを、歩きながら話してくれた。


「ここはとどのつまり『ロープスレイ大祓祭』の為の『洞窟(ダンジョン)』なんだよな」

「ああ」


 二人の魔女は世界を滅ぼすレベルの『聖絶』を『星塔(スタワー)』システムを介して『洞窟(ダンジョン)』に作り替えて、オレたちに砕いてもらうという浄化方法を取っている。

 クリアする事そのものがマリシャスへの対抗策となる。

 魔族の創る『洞窟(ダンジョン)』とは似て非なる物だろう……。


 むしろ世界の崩壊を食い止めるアリエルの『魔界オンライン』と『洞窟(ダンジョン)』に近い。



 一時間くらい歩いた頃か、目の前でいくつか血のような液体が地面に湧き出して中から異形のモンスターが抜け出てきた。

 赤黒い結晶が結合されている赤いスライムと大ネズミだ。

 思わず緊張して身構える。



【ヒガンスライム】(スライム族)

 威力値:12000

 花びらのように赤黒い結晶の膜を纏う球根の形をした真紅のスライム。その体当たりは時速300kmを超え、建物を崩すほどの威力。群れて襲いかかる為、実際の威力値よりも厄介なモンスターだ。中級下位種。


【テロマウス】(獣族)

 威力値:17000

 赤黒い結晶のツノを生やす真紅に染まった凶暴な大きなネズミ。群れで襲い掛かり建物や生き物を食い散らす害獣の王。数百匹で襲いかかられたら国も滅びかねない。まさにテロと名がつくモンスターだ。中級下位種。


 弾丸のようにビュンビュン飛び出してくるスライムと大ネズミに「うおっ!」と驚かされた。


「油断するな!! 第一階層でこのレベルだッ!!」

「おお!」「ええ!!」


 メーミが補助呪文でオレたちに守備力強化と速度強化を同時にかけてくれる。

 次にファリアが頑強な盾をレンガのように形成して、しかも敵の攻撃を吸い寄せて進撃を(くじ)く。体勢を整えられる前にセロスとティオス先輩が剣を振るって数匹を斬り散らす。


刻印(エンチャント)(メイク)星光の剣(スターライトセイバー)』!!」


 オレも手の刻印(エンチャント)を浮かび上がらせて、握った杖から星を象った光の剣を生み出す。

 襲い来るスライムの嵐に剣戟を振るって、幾重の軌跡が次々斬り裂く。

 撃ち漏らしたスライムをヤマミの爆発魔法(バクボ系)でドッカァンと迎撃。クックさんも負けじとウニメイスを振るってことごとく吹っ飛ばしていく。


 アクトは刀で数十匹のスライムを斬り裂き、先にいたネズミを両断する。

 そしてそれでも怒涛の群れて襲いかかるネズミにリョーコは「いっせーの……」とオーラを溜めて、大地を揺るがしながら稲光を迸らせた。


「ブレイク・ストライカーッ!!!」


 オーラを纏ったリョーコは斧を振りながら超高速で突進。いっぺんに多くのモンスターを肉片に散らして爆破四散。余波で吹き荒れた烈風でオレの髪がバサバサ揺れる。


「おお! いつの間に新技を!?」

「あァ……、ヤツも進化してるぜ……。俺もな!」

「それだったらオレたちもだ!!」「うん!」


 オレもヤマミも負けないと胸に秘める。


 それでも群れは次々と襲いかかってくる。オレとヤマミはキッと見据えて火魔法(ホノ系)氷魔法(ヒェラ系)の『衛星(サテライト)』を浮かばせた。その大きさに勇者たちも「おお……」と見張る。


「ホノビ連弾(ブリッド)!!」「ヒェピラァ連弾(ブリッド)!!」


 絶え間のない弾幕で次々と射ち貫いて殲滅(せんめつ)させていく。ババババ!



「凄いわね~。ヤマミはともかくナッセ君まで魔道士(マジシャン)遜色(そんしょく)ない威力を出せるなんてね~」

「アクトと組んでた時に多用してたからなぁ」


 ……ヤマミと食い違ってた並行世界(パラレルワールド)魔道士(マジシャン)としてアクトを相棒に戦ってた経験があったからなぁ。苦い思い出だったが剣でも魔力でもなんでもできるぜ!



 モンスターを殲滅(せんめつ)し、再び足を歩めた。

 ヤマミは掌の上から立体のダンジョンが投影される。その中にある緑の点がオレたちを示している。

 元々はスミレが持っていた探索系スキル『地図作成(マッピング)』だったが、ヤマミも会得していた。これなら例え複雑な迷宮でも位置や場所を把握できるぞ。


 一時間から三時間、そんな間隔でエンカウントして戦闘を繰り返す感覚だ。

 ほぼ一日かけて広大な一階層を探検し続けた。いくつか宝箱もあったが罠だった場合は無視。



 ようやくたどり着いた最後のフロアは側にワイバーンの像を両脇に据えた大きな扉が結晶壁に備えられていて、なんかの祭壇(さいだん)のように床に紋章が書かれた巨大な四角いパネルとそれを囲む四つの柱が立ってある。

 かなり広大で小さな村がすっぽり入りそうな空間だ。

 そこで双頭の赤い狼が十匹。赤い麒麟(きりん)を二頭従えた赤いヒドラがボスとして出てきたようだぞ……。


「シャギャアアアアア!!」


双頭狼(ツインウルフ)】(獣族)

 威力値:22000

 胴体に赤黒い結晶の鎧を纏う二頭の狼。群れて狩りを行う。状況整理する頭と戦闘処理する頭で的確な動きで敵と戦える強敵。中級上位種。


血潮の麒麟(ブラッドギャロップ)】(獣族)

 威力値:43000

 赤黒い結晶のツノと胸板の麒麟。単体で行動する事が多い。放つ雷魔法(デンガ系)は範囲攻撃なので全滅させられやすい。攻撃も魔法も得意な猛獣。上級中位種。


厄災の多頭竜(ディザスター・ヒドラ)】(ドラゴン族)

 威力値:145000

 第一階層のボス。これ一頭だけで王国を壊滅させるほどの力を持つ。七つの頭で吐く赤黒い光線の『アビスブレス』はただただ脅威。超級中位種。



「一階層でこれかよ!」


 流石にオレも汗を垂らす。

 なんか勇者さんが言うに、異世界の『洞窟(ダンジョン)』はいくつかの階層に分かれていて、下の階層へ行く前にボスを倒さなければ行けないというシステムのようだ。

 アリエルの『洞窟(ダンジョン)』は通気口の役目もしているから階層は必要ないかも……。



「……万覇羅弐(マハーラドゥイッテ)!!!」ドンッ!

 

 アクトいきなりの変身!?

 天然パーマの黒髪が逆立ち、歌舞伎(かぶき)で言う隈取(くまどり)のように目の周りからこめかみに及ぶ。

 全身の筋肉が膨れ、筋肉のラインが装甲に見えるように浮き上がり、そのラインに沿って剣と同じ赤い煌めき、黒く染まった刀の輪郭(りんかく)が更に赤く輝く。

 髪から色素が少し抜けたかの様に所々赤い毛の塊が現れ、腕や胸の中央にはヒビ割れの様な紋様が浮かぶ。

 全身を纏うような湯気も透明な赤色に変わり、激流が凄まじい熱気を放ち噴火のように噴き上げ続けていた。


 シュゴゴゴゴゴォオ────────ッ!!


 大地を揺るがすほどの圧倒的な威圧に勇者たちも目を丸くした。

 オレは頼もしく思えた。あの最強の執事ダクライをも下し、大魔王ともやり合えたアクトの完成した最強形態だ。久々に見た。


 双頭狼(ツインウルフ)や麒麟は殺気立って一斉に襲いかかる。それだけで目にも止まらぬ超高速の襲撃。しかしアクトの目には止まっているようにも見えた。


心剣流(しんけんりゅう)!! 黒蛇道(こくじゃのみち)ッ!!」


 アクトの殺気漲る形相で剣を突き出すと、黒い光線が超高速で飛び出す。それは手前の双頭狼(ツインウルフ)の体に風穴を空けた後、幾重も屈折(くっせつ)して他のモンスターをズドズドズドドドッと貫通していく。断末魔と共に弾けるように血飛沫が舞う!

 吹き荒れる余波だけで台風以上の乱気流がこの場を駆け抜けていった。


 さながら黒い大蛇が敵を喰らうがごとくの恐るべき刀剣波の派生技だった。その圧倒的な速度と攻撃力にティオス先輩も汗タラタラで驚愕。


「ば……バケモンかよ……!?」



 恐怖した多頭竜(ヒドラ)は無数の頭で一斉に赤黒いブレスを吐く。扇状に広がって大地を抉りながら破壊が撒き散らされるが、アクトはニヤリと笑う。


「オメェ厄日だなァ……! 心剣流(しんけんりゅう)!! 羅刹剣(らせつつるぎ)ッ!!!」


 ドン!!!!!


 天地を断ち割るかと思うかのような巨大な三日月の刃がブレスはおろか大地と壁と天井をも斬り裂き、ついでのように多頭竜(ヒドラ)は真っ二つに割かれて粉々に吹き飛んでいく。

 大地が大きく振動し、吹き荒れる嵐で勇者たちも「うわああああああ!!」と悲鳴を上げた。

 オレは咄嗟に「攻撃無効化ッ!!」とヤマミとクックさんとティオス先輩をかばって防いだ。


 つか洞窟(ダンジョン)が壊れるかと思ったぞ……。ズズズズ……!


「そんな負担の重い技使って大丈夫か?」

「大丈夫だァ……問題ない!」


 縮んでいくアクトはニッと笑い、その後ろで開いた扉から逆光のように溢れ出した。

あとがき雑談w


セロス「ああ!! アクト知ってる!! 強いと聞いたが、これほどとは!」

メーミ「聞いてた噂より強すぎない~??」

ファリア「確かにな! ううむ、負けてられんな!」


ナッセ(まぁ……オレが死んで諦めきってたアクトの方だもんな。今は活き活きとしてるから、ずっと強いのは当たり前か……)


ダクライ「また対戦したいものじゃのぉ……」

ティオス「誰だよっ!? このじーさん!?」ビクッ!


ナッセ「ってか第一部キャラ出るなら別のにしろよ!」(汗)



 次話『第二階層へいざ!! 未知の領域へ!!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ