24話「異世界も震撼!! これが絆の力だ!!」
教皇こと巨大魔神は「そんな甘ったれた関係などォォ愚かの極みィィ!!」と侮蔑を吐き、ドスドスと巨大な足でこちらへ走ってくる。
オレとヤマミは手を繋ぎ、花吹雪を伴うフォースを噴き上げた。
「見せてやるぜッ!! オレたちの絆をなッ!」
「ええ! 思う存分ッ!!」
《おう!!》
戦意を昂ぶらせて両手をかざして、そこら中から放射状に雫を収束させていく。
地球から生まれた星獣……。
最初は人類を滅ぼす恐ろしい災厄の魔獣みたいなもんだって思ってた。けどオレには『運命の鍵』で完全に消滅させる事はできなかった。地球だって心を持って生きている。だからできるならやっぱ友達にしたいって願った。
付き合ってみると気さくで楽しくていいヤツだ! マジ消さなくて良かった!
「地球さんぶちかませ────ッ!! 地核砲ッ!!」
星獣は口を開け眩い刹那の光を放つ。大地を裂き土砂を巻き上げながらながら超高速光線が一直線と巨大魔神へ突き進む。
「そんなものをををを!!!」
巨大魔神は腕を振るって弾く。逸れた光線は弧を描いて被弾した浮遊大陸を大爆発で欠けさせた。なおも星獣は刹那の光線をドドドドンと連射。巨大魔神はことごとく両腕を振るって弾ききっていき、あちこち大爆発が巻き起こっていく。
巨大魔神の中にいる教皇は見開く。一撃一撃が重い。腕にヒビが入っていく。切羽詰っていく。
オレの隣にいるヤマミ自身を周回しながら踊っている黒い小人。
その黒い小人の『血脈の覚醒者』はオレを殺した時のトラウマが形になったもの。今でこそ強力な武器になってるけど、深く愛したオレを失って血涙流して得たもの。オレとの関係があったからこそ生まれたもの。
ある意味絆から生まれた能力とも言える……。
最初出会った当時はなんで絡んでくるのか分からなかったけど、一緒に戦える相棒はアクト以外にこの人しかいない。それほどまでに心を通わせるほどに関係を深めれた。
途中でなんかこじれて勘違いしたまま関係を悪くしてたのもあったなぁ。
けど、終始オレの事ばかり考えてくれたからこそだった。それにギリギリ最悪手前だったけど気付けてよかった。
そして世の中で愛せる人はヤマミ以外にいない! 大好きだ!
「今だッ!! ヤマミ────ッ!!」「ええ!! 行くわよッ!!」
なんと巨大魔神の周囲から数百もの黒筋が集まってきて次々と黒炎が巨大魔神を包む勢いで燃え盛っていく。
「ぐあああああああああ!!!」
獰猛に燃え盛る黒炎に蝕まれて教皇の叫びが劈く。
しかし「がああ!!」と巨大魔神は両腕を広げて黒炎を払い除けて霧散。しかしその代償で両腕は燃え砕けた。
教皇は「ぐ……! バ、バカな!?」と焦りをあらわにした。
「ナッセェ!! 全力でいっちゃいなさいッ!!」
《ぶちかましたれ!!》
オレは錬成完了した『賢者の秘法』を偶像化の持つ太陽の剣へ込めて、眩い輝きを放つ。
なんと銀河を模したような螺旋状の巨大な白光の剣として長々と刀身を伸ばす。
教皇こと巨大魔神はゾクッと畏怖さえ覚えた。冷や汗が吹き出る。三人の重なった力が途方もなく巨大に感じたからだ。
星獣、偶像化、そして白き銀河の剣が、教皇の見開いた眼に焼き付く!
「うおおおああああ!!! ギャラクシィ・シャインスパァークッ!!」
星獣が超速で疾走しながら、偶像化が振るう銀河の剣が横薙ぎ一線と巨大魔神を通り過ぎる。
放射状に煌めいた閃光が広々と爆ぜた後、巨大魔神は無数の破片を散らしながら上空へ天高く高く吹き飛ばされた!!
勇者も魔王も誰もが驚くような、ここ一番の奥義が悪魔の教皇へ炸裂した!!
「これがオレの繰り出せる最強の奥義だァァァァアッ!!」
世界中が度肝を抜かすような天変地異級の震撼が響き渡る!!
クックさんはそれを目の当たりにし、純真に瞳を輝かせ憧れを募らしていく。心がドクンドクン熱く滾ってくるような高揚感が沸き上がってくる。
すごい!! つよい!! カッコいい!!
さしもの巨大魔神は削られるように粉々と砕かれていって、やがて中から教皇があらわになって「がはっ!!」と大量に吐血。ゆっくりと宙を舞う。
教皇は今でも信じられないと驚愕の顔を浮かべたまま落下していく。
星獣がボンと霧散し偶像化も溶け消えて、オレとヤマミは並んで威風堂々と立つ。
そしてヤマミと揃って拳を突き出す。
「見たか!! これがオレたちの絆が生み出した力だッ!!」
なすすべなく教皇はそのまま大地へドーンと激突。粉塵が舞う。
しばししてから地を這うように教皇は震えながら起き上がろうとする。全身血塗れで「が、がはっ!!」と吐血し地面を濡らす。何度か吐血する。
悔しそうに「ぎ……がが……!!」とオレたちを睨みつけてくる。
勇者は「……決まったな」と呟き、魔王も「これでヤツは終わりだ」と笑む。
意識を取り戻した四魔将、五輝騎士、そして勇者の仲間はしばし成り行きを見守る。
「な……なぜだッ!!? なぜッ……悪魔の方が勝るゥゥゥッ!!? 崇高な目的を抱く我こそ真の正義なんだァァァッ!!」
「偉そうな事言ってんじゃねーよ! 現に負けてるじゃねーか!!」
「ぎ……! ならば貴様はそれよりも崇高な目的でもあるのかァッ!!?」
血混じりに吐く教皇に対して、オレはフッと笑う。
「偉そーなお前からしたら、ちっぽけで下んねーって思う」
「な、なに!!?」
「だが聞かせてやる! オレはこの異世界でワクワクするような冒険をして、どんどん成長していって憧れた師匠のようになるんだ!!」
それが今のオレが叶えたい夢────! 誇らしく胸を張って言える夢!!
誰かにバカにされようとも、己が道をまっすぐ進んでいく!
オレは希望に輝いた目で心地よい笑みを浮かべた。それにヤマミも笑む。
クックさんは「師匠のように……?」となにか心に響くものがあった。
しばし俯いた教皇は次第に体を震わせていく。
「ふ……ふははははッ!! ならばその下らぬ夢を潰してやるッ!! 貴様が冒険するであろうこの異世界とやらを地獄に落としてな────ッ!!」
「な、なにっ!?」
何を思ったか上半身を起こして、上空へ向かって見開いたまま叫び始めた。
「平和神マリシャス様よ!! 我が身を生け贄に、この世界全てを永劫の地獄へ!!」
すると凄まじい濃密度の怨念のフォースが教皇の背後へ収束され、グワッと空一面ほどの巨大な目が開けられた。
オレは思わずゾクッと身震いするほどの悪寒と恐怖が沸いた。
勇者も魔王も言葉を失う。
騎士も冒険者も魔族も「な、なんだ!? コイツはッ!?」と恐れおののいていく。
《余は平和神マリシャスなり!! その言葉聞き届けた!》
「ははっ! ありがたきお言葉! この度、ライトミア王国の制圧叶わずでしたが、この失態この身を捧げる事で償う事とします!」
オレは戦慄した……。
この巨大な目玉だけでも圧倒的な怨念の存在感。概念だけなのに大気が軋むほどの濃密度の存在。大魔王なんかとワケが違う。
初めて『大災厄の円環王マリシャス』をこの目で見たが、恐るべき存在ッ……!
こんなヤツ……どう倒しゃいいんだよ…………!?
《時は満ちた!! 世界を左右する力を持ち、この世界とそこに住む愚か者どもを呪う強き怨念と、余を尊い信奉する忠実なる者を生け贄に捧げる事により、余の『聖絶』が執行される!! これで、ようやくこの世界は永劫の地獄へ沈むのだ!!》
マリシャスの眼がグワアッと見開きして充血。
地面から赤く仰々しい形状のX字架が突き出てきて、イバラが教皇キラリストを引っ張り、手足を縛って大の字に磔にした。
すると今度は教皇の心臓に位置する胸部に、いびつな赤黒い槍がドスッと串刺しにした。
「う、う、うがああああ!!!」
そこから滝のように大量の血が溢れ出す。
やがては間欠泉のように最限りなく大量に吹き上げ続けていった。大地が唸るように氾濫してくる血の洪水で大陸は震え上がっていく。
「こ……これはエンカウント空間が閉じても現実世界になだれ込むぞッ!!! もはや止める手立てはないぞォォォォッ!! ハァーッハッハッハッハッ!!」
「な、なんだよ!! これ!?」
「とてつもない……危険を感じるわ……!」
オレとヤマミは切羽詰って、冷や汗が頬を伝って顎から滴り落ちる。
勇者も魔王も四魔将も、王国の騎士も魔族も種族を問わず、目の前で起きるとてつもない危機を前にざわついていく。
クックさんも「ナッセ……! ヤマ……!」と萎縮していく。
「これが聖絶『死滅の大洪水』だァ────ッ!!!」
赤黒い間欠泉から無限に溢れ続けるソレに底知れぬ恐怖を感じた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!!
あとがき雑談w
ナッセ「そりゃないよ~~~~! まさか自爆してくるなんて!」
ヤマミ「なんとかインパクトみたいだわ!」
勇者&魔王「…………!」(なにもできてない)
次話『もはや世界は地獄化するしかないのか!?』




