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22話「神の使者を騙る悪魔の教皇!!」

 上空で浮いたまま教皇キラリストの全身から禍々(まがまが)しい赤黒いフォースが超濃密度に溢れ出してくる。

 メキメキと教皇の体が変形して、肌に赤い紋様が走っていく。頭上から大きなツノが一対生え出してくる。二つの目が恐ろしげに輝き、更に額にも目がカッと見開く。

 バサッと元々長かった薄紫のロングが放射状のように伸びていく。


 それを見て背筋が凍るほど戦慄した。

 恐らく数粒の信者のものと違って劇薬をありったけ注ぎ込んで変貌した最大最強最悪の変化。


「悪意をそのまま形にしたかのような……悪魔!」


 つい口走った言葉に、教皇キラリストはギッと睨みつけてきて、手に持つトゲトゲの円のアンクを赤く輝かせて一周させるように振るう。

 すると輪状の衝撃波が巻き起こって、高々と津波のように噴き上げつつ大地を捲れあげて粉々にしていく。地響きが迫りくるに従って王国の騎士や冒険者は戦々恐々(せんせんきょうきょう)と身を竦ませていく。


 ズゴゴゴゴッ……!!!


「やべぇッ! デコレーションフィールド! 攻撃無効化!!」


 オレは咄嗟に両掌を向け、破壊をバシュンと光飛礫に変えていく。それは粉雪みたいに緩やかに散り散りと舞っていく。

 背後にいる勇者や魔王たち及び、王国を覆う無効化の範囲外で凄まじい破壊の嵐で荒れ狂い、流されるように大きな破片がいくつも吹き飛んでいた。なおも大きな振動で王国は震えている。

 騎士や冒険者たちは青ざめて身震い。

 余震が収まりきる頃には浮遊大陸は見るも無残な荒地と化した。煙幕があちこち漂う。


 ティオス先輩は「そ、そんな……!」とワナワナ震えて愕然とする。

「やはりナッセかッ! 四魔将の一人を封印したのはッ!」「ええ! ありえる!」

 と確信するオズラッチとヨーレン。



「無礼な……悪魔はうぬらだ! 我こそ平和神マリシャス様が遣わした神の使者である教皇(ポープ)キラリスト様だ!! 尊敬されこそすれ悪魔呼ばわりする(いわ)れはない!!」


 教皇が偉そうに怒鳴り、それだけでビリビリと威圧が響いてくる。

 

「バカめ! 無粋な横槍を入れただけに飽き足らず、神の使いと騙って我らの決戦を汚すか!!」


 憤慨(ふんがい)する魔王(マギロード)ジャオガがザン、と足踏みしながら吠えた。

 更に勇者も「お前はやはり悪魔の使いだったなッ!」と侮蔑(ぶべつ)を吐く。それに教皇はギリッと不機嫌そうに睨みつける。


「まだ言うか! 人間魔族風情(ふぜい)が! 貴様らも我らマリシャス様の障害となる悪しき存在ッ!! この場で粛清(しゅくせい)してくれようッ!!」


 勇者も魔王も敵対を忘れ、尊大な教皇へ憎悪が募っていく。

 オレは思わず「ま、待ってくれ!! そいつはオレたちが戦……」と呼び止めようとするが、背後からきたエルフの“水仙賢”メーミがオレの肩を掴んで制止してきた。するとオレの腕にブスッとなんか刺してきた。急激にMP(マジックプール)へ魔法力が補充されていくのを感じ取れた。


「……やはり妖精王様でしたか。今度はナッセ様を回復させるよ~。更に二本射します~」

「え? ええ?? 勇者の仲間? メーミさん?」

「は~い! それとヤマミ様も嫉妬せず落ち着いてくださりますか~? 私が回復させた方がそちらの消耗も控えていいのでしょう。これから来るべき前代未聞の邪神への戦いに備える為に……」


 ヤマミはなんか睨んでいた。それをなだめるメーミ。

 エルフは長生きしているだけあって諭す物腰と状況把握はすごいぞ。


「何かしらねーけどここは回復につとめた方がいいぜ? 妖精王様? 無効化したヤツえらい消耗すんだろ?」

「ファリアさん!?」

「呼び捨てでいいって。堅苦しいのナシな?」

「あ、私もね~。メーミでいいから~」


 今度は勇者の仲間である“剛戦鬼”ファリアがオレたちの前に立ちはだかって、半透明の厚い盾をレンガのように積み重ねた障壁を張る。

 彼らが言うに勇者の指示のようである。

 オレたちは先ほどの滅亡兵器の無効化で消耗してると踏んで、回復させてきたのだろう。正直デカイの二発やって半分以上ゴッソリ持ってかれたしな。


「ティオスも凄い後輩持ったもんだな。だが、今はオレたちに任してくれ!」

「セロスさん……!」


 勇者(ブレイバー)セロスは快く笑ってくれた。ホント憧れの塊だわ。

 仲間のファリアもメーミも気さくで取っ付きにくいのがない。最初と印象が変わった気がする。



「おい勇者! ここは一時休戦だ! 無粋なこやつに思い知らさねばならん!」

「同感だな魔王! 気は進まんが、偽善の教皇は許しがたい存在! 打ち倒せねばな!」


 魔王は魔族から回復を、勇者は仲間から回復を施されたのか、両者共に万全だ。


「まぁよい! 手始めに勇者と魔王を血祭りにあげて下等生物どもに神に逆らう事の愚かさを思い知らせてやろう! もう二度と偽善や悪魔などと侮蔑が吐けぬようになッ!」


 教皇キラリストは余裕の笑みでゆっくり降りてきて大地に足をつけて、目の前の勇者と魔王と対峙。

 彼らの間に煙幕が横切っていく……。

 冷徹な笑みの教皇と切羽詰まった真剣な顔の勇者と魔王の構図。


 次第にビリビリと大気が震え上がり、同時に大地も小刻みに震えていく。



「「行くぞ!!!」」


 勇者と魔王は地を蹴って大地が爆発。猛スピードで教皇へ疾走。

 稲光纏う聖剣と黒炎纏う拳が同時に教皇へ炸裂。ズゴッと火山噴火のように大規模で岩盤ごと土砂を巻き上げ、煙幕が広がるも、破裂するように一瞬にして霧散。

 教皇は「ぬあーっ!!」と杖のように長くしたアンクで聖剣と拳を弾いていた。


 弾かれながらも勇者は稲光を散らしながら、魔王は黒炎を吹きながら、教皇へ再び飛びかかる。

 繰り出す互いの猛攻を教皇は一人で捌ききっていく。その格闘だけでも足元の大地がえぐれ、粉塵が巻き起こって周囲に旋風が吹き荒れる。


「おおおおおおおお!!!」

「ぬがああああああ!!!」


 勇者の煌く幾重の剣戟と魔王の乱雑な殴打が入り乱れて教皇を押して行く。が、教皇は笑みフッと背後へ回る。長アンクで薙ぎ払って勇者と魔王を吹っ飛ばして遠くの岩山へ激突。散乱する破片、噴き上がる煙幕。


(おご)れるな!! うぬらなど我らの前では弱き存在よ!」


 高速で飛び、倒れている勇者へ飛び蹴りをかまして高々と土砂を噴き上げていく。

 今度は魔王が飛びかかるが、教皇はすぐさま振り返って器用な捌きで拳をいなして逆に腹へ長アンクを叩き込む。魔王の後方に衝撃波が吹き荒れ大地が一直線に抉られていく。ズゴゴッ!


「ガハッ!!」


 吐血して吹っ飛ぶ魔王を追いかけて長アンクによる乱打を叩き込んで、果てに大地へ叩きつけて岩盤を砕き土砂を巻き上げた。

「グオアッ!!」

 呻く魔王に教皇は残虐に笑みながら「死ね!」と突き刺そうとする。


 すると見てられなかったのか四魔将の三人が「ウワァー!!」と囲むように襲いかかってくる。“重鎮の深淵卿”アマリビグは巨大な斧を生成し、“天空の独裁者”ソネラスは竜を象るフォースを纏い、“氷炎の魔女”ホノヒェラは火炎と氷が混ざる凄まじい水蒸気特大爆発を吐く!!


大魔神破滅斧ハーイビル・アックラッシャ────ッ!!」

天竜魔神闘気(ドラゴンギガフォース)殺界衝(スレイヤー)ッッ!!」

極大・氷河(マキシマム・ブリザー)獄琰爆嵐(ドブレイズブレス)ッッ!!!」


 しかし教皇は巨大な斧を砕きアマリビグを地面に打ち伏せ、顔を殴ってソネラスを大地に転がし、衝撃波を撃って吐息ごと吹っ飛ばしてホノヒェラを後方の岩山にめり込ませる。

 激震が走った後、煙幕に巻かれ三人とも横たわって動かない。


「四魔将ォ!! 貴様ァ!!」


 怒りに滾った魔王は黒炎を纏いながら起き上がり、勇者も奮起して聖剣を振るう。

 しかし教皇は上空へ超速で飛び上げてかわす。それでも勇者と魔王も飛び上がって追いかける。教皇は笑む。


()れ者が!! 神の怒りを恐れぬ愚か者ども! 死ね!」


 片手と長アンクから勇者と魔王に向かって赤黒くて巨大な光球を撃つ。超高速で飛んでくるそれを両者は「くっ!」と必死に回避。過ぎ去った二つの光球は浮遊大陸のそれぞれの端を大爆発で消し飛ばす。

 大きな激震が大陸中を走り、騎士たちは「うわあああああ!!!」と恐れおののき伏せていく。

 なんと大陸が二ヶ所欠けてしまい、誰もが教皇の強さに畏怖してしまう。


「悪魔が神を名乗るなァァァッ!!!」


 それでも勇者と魔王は並んで、気迫の勢いで教皇へ襲いかかる。

 三つの軌跡があちこち縦横無尽と駆け巡りながら幾重もの激突を繰り返して火花を散らす。あちこちで激突の連鎖で彩って、その度に周囲へ余波が吹き荒ぶ。


 しかし劣勢。乱戦の最中、徐々に勇者と魔王は押されていく。教皇の長アンクが勇者を遠くへ吹っ飛ばし、更に続けて魔王も吹っ飛ばす。

 バゴォーンと反対側同士で二つの土砂の噴火が噴き上げられた。


「身の程をわきまえぬ下等生物ども! 神の怒りを存分に受け取れ!!」


 長アンクを赤く輝かせて、渦巻く暗雲から赤黒い雷の嵐を降り注がせる。

 絶え間のない嵐のように赤黒い雷が浮遊大陸を蹂躙し、爆ぜて破片が飛び散る。慌てて騎士たちが障壁を張るも破ってきた流れ弾で何人か命を散らす。

 勇者と魔王は「ぐわあああああ!!」と何度も雷に打たれて破片と共に宙を舞う。

 絶え間のない雷の蹂躙は続き、より多くの命を啜った。


 ようやく止んだ頃には勇者と魔王と四魔将は横たわったまま沈黙していた。哀愁か、荒れた大地に煙幕が流れていく。


「フフフ、ハハハ、ハァーッハッハッハッハ!!!」


 放射状に長い髪を揺らしながら上機嫌に高笑いする凶悪な形相の教皇。



 嘘……だろ…………!? あんな……強かった勇者と魔王がっ…………!!


 ティオス先輩がレベルが違うと言わしめたほどの二人が倒されたのだ。信じられない。

 障壁が一部崩れて膝をつくファリア、そしてメーミも苦い顔で冷や汗を流す。


「さて……妖精王ども! 色々やってくれたお礼せねばな!!」


 ギロリとこちらへ睨み下ろしてきて、思わず緊張が走った。

あとがき雑談w


セロス「魔王と共闘とか夢にも思わなかったな……」

ジャオガ「それは余とて同じ事! 死んでも共闘などしたくなかったがな」


ナッセ「そのまま仲間になってくれるといいんだがなぁ……。某少年漫画にありがちな展開すき」


教皇キラリスト「なんか我が某少年漫画のとある兄貴キャラとかぶってる気が……」



 次話『ティオス先輩怒る!! だが……!』

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