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21話「決戦の果てに……!」

 勇者と魔王の全身全霊の激突で、空が真っ白に輝き────────!


 その爆発の規模(きぼ)は想像を絶するほどに膨らみ、浮遊大陸の上方から四方八方へ拡散されていく。吹き荒れる嵐は轟音を引き起こすほどに激しく周囲を蹂躙していく。

 山岳が粉々と分解するように破片を烈風に流していき、木々は根っこごと引き抜かれて吹っ飛び、大地に亀裂が広がって岩盤が捲れ上がり、超振動が浮遊大陸中を伝わってグワングワン揺れる。


 吹き荒れる衝撃波でライトミア王国にも被害が及び、建造物が崩れ去り、城が折れて瓦解。

 吹き飛ばされていく騎士や冒険者がちらほら。魔族側も同じ状況。なおも余震は続き、眩い爆発の余韻は広がり続けた。


 ズズズズズズ……!!



「って、やべぇ! ここがエンカウント空間じゃなかったら王国壊滅してたぞ」

「想像以上ね……」

「うわわー!! すっごい盛り上がるー!!」


 腰を低くして踏ん張っていたオレとヤマミは収まるのを確認して身を起こしていく。

 同じく(かが)んで堪えていたクックさんはピョーンと飛び起きた。

 まだ大規模に濛々(もうもう)と煙幕が風に流れていて、視界は(ふさ)がれた状況だ。しかし既にオレは広大な『察知(サーチ)』を広げて状況は把握(はあく)していた。


 満身創痍で疲労困憊の勇者と魔王はゆっくり降りていくぞ……。




「……くっ! さすがは魔王! 想像以上の強さだ!」

「その言葉を返そう。人間風情がよくもここまで力を付けたものだ」


 立つのさえ辛いのだろうが勇者と魔王は激しく息を切らしたまま、両雄睨み合い。

 すると不穏に振動が大きくなってくるのが地面と大気から伝わって来る。


「ほう? やはり人間どもは不意う……」「まさか四魔将の襲げ……」


 どちらかの軍勢が無粋な横槍かと思ったが、違う!

 煙幕を吹き飛ばしながら仰々(ぎょうぎょう)しい大きな柱が飛び込んできて、思わず勇者と魔王は見開く!!


 柱から膨大な光が溢れ、王国ごと覆い尽くす!! カッ!



 浮遊大陸を飲み込まんとする程の、白光混じりの灼熱滾る大爆発で爆ぜた。その超高熱によって爆煙が巻き上げられて上空へと巨大なキノコ状を象っていく。

 その超破壊力は全てを蒸発させるほどの灼熱の他に、生き延びた生き物の体を構成する元を破壊して絶対的な死へ誘う呪いを周囲に撒き散らす。それこそ紛れもなく最大最凶の滅亡兵器……。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!



「クックック! 神や正義に楯突(たてつ)いた愚か者どもへのありがたい天罰だ!!」


 それを遥か遠くの浮遊島で、教皇キラリストはその上空で浮きながら喜々と凶悪に歪んだ笑みを見せている。

 ご満悦と浸りながら後ろへ見下ろした。

 森林に囲まれた魔導式の敵攻撃基地。大きな柱が並ぶ数基の中で、一基だけ発射した跡で僅かな煙幕が立ち込めていた。


「エンカウント空間ならばこそ、邪魔な奴らを一掃して無傷のライトミア王国を我が手中に収めれる。どうせエンカウントが終われば、この空間は呪いの汚染もろとも消える。再びエンカウントが起きても新しくコピーされた世界ができあがるだけだ!」


 つい追い出された腹いせにと発射してしまったが感無量(スッキリ)だ。

 都合よく主力の魔王軍や勇者含む王国の騎士たちが一ヶ所に集まってくれたから一網打尽にできた。それらが我が神の怒りがごとき一撃で全滅したのだ。興奮せざるを得ない。


 なんという破壊力! なんという光景! なんという快感!

 思うままに踏みにじって苦しみもがく悪を眺めるというのは飽きない!!


 ざまぁみろ!! 勇者も魔王も神には敵わぬのだァァァッ!!


「ハァーッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハ!!!!」



 すると、煙幕を抜け出して光輪を纏う二つの円が旋風の尾を引きながら超高速で飛んでくる!

 バカ笑いしていた教皇は思わず見開く。思わず「な、なんだ?」と上へ逃れると、通り過ぎた二つの円は互い距離を徐々に縮めていき、閃光を伴って光輪が融合されメビウスの輪を象っていく。


「なッッ!!?」


 それは魔導基地へ直撃し、メビウスの輪のような光輪が一気に拡大して、浮遊島をも覆い尽くすほどに極大化。メビウスの光輪はぐるぐる回りながら光輪は複製され、電熱線のように幾重と重なり続ける。やがて輝くような球状を象って超高速回転は繰り返され続けた。


 ドドドドドドドドドドド!!


 台風かと思うほど吹き荒れる凄まじい旋風に教皇は「ぐ……ぐうっ!」と腕で顔をかばい、吹き飛ばされまいと堪える。ビリビリと響く大気の振動でどれほどの威力か戦慄を感じさせた。

 超高密度に加え超高速で循環(じゅんかん)し続けて、基地ごと浮遊島は跡形もなく削り散らされて(ちり)となった。対象を滅した光球は一気に収縮して消滅。

 後に残るは、驚くほど無音の空間…………。


「なっなァ!!? わ、私の基地がァァ……ッ!!?」



 絶句する教皇はしばし呆然した。ワナワナと震え上がっていく。

 怒りに滲んだまま、爆心地となった浮遊大陸の方へキッと睨み据える。未だ爆煙が覆ったままだ。


「死の間際の反撃か……! おのれぇぇ~~……一体どれだけ長い時間と莫大な費用をかけてると思っているのだ!? 正義と平和を守る、こ、この……神聖なる審判神殿ををを~~~~!!」


 ビキビキと血管を浮かばせ、歯軋りして怒りに歪んでいたがほどなく落ち着く。


「……何を怒るか! 奴らの死の間際の反撃など瑣末(さまつ)な出来事に過ぎん! これからもっと強力な基地を建造すれば済む事!」


 邪魔者などいないのだから杞憂(きゆう)する事など何もない。

 勇者か魔王か反撃したのが誰か知らんが、あの滅亡兵器に抗う術などない。仮に生き延びても死に至る運命。こうやって無駄な抵抗してきた異世界の人どもを地獄に送ったではないか。

 そして死した魂は永劫の地獄で転生を繰り返して苦しみもがくのだ。


 ククク、と愉悦に笑おうとする時に視界の隅に光が見えた気がした。

 まだ滅亡兵器による残滓(ざんし)か、と顔を向ける。すると信じられない光景にキラリストは徐々に見開いていく。


「バカな…………!?」


 ワナワナと震え、冷や汗が頬を伝う。

 煙幕を押しのけ、現れるは妖精を象る神秘的な光のシルエット。浮いている。

 徐々にその正体があらわになっていく。放射状に八枚の翼を展開している白銀の妖精。中性的な少年の整った顔。流れるような銀髪に輝くような両目。首を巻いたマフラーの裾が左右に浮いていて散り散りするように花びらが放出されている。

 その少年は浮いていて剣をこちらにむけている。その足元付近で淡い光の花畑がポコポコと咲き乱れ続けて、花吹雪を周囲に吹き荒んでいく。




「ふう……!」


 オレは安堵した。どこの誰かが仕掛けたか分からんけど、なんかヤベーの浄化しきって良かったぞ。

 でなければ王国ごと消し飛んでたなぁ……。


 ────あの時! オレは咄嗟に気付いていた!


 尋常(じんじょう)じゃないほどの怨恨こもる悪意の塊の急接近。疲れ果てた勇者と魔王を巻き込んで王国ごと消し去さらんとする破壊の気配。それらをゾクッと背筋を通る悪寒で確信できた。

 例え視界がろくに見えなくとも関係ない! 忍び寄る危機だけは分かる!


「来るわよ!!」「おう!」


 同じく感知したヤマミがそう声を上げ、オレと掌を重ね合わせた。

 そして共に妖精王へと変身、オレは精一杯と掌を悪意こもる方へと向けた。


「デコレーションフィールドッ!! 攻撃無効化ァ!!」


 白光で爆ぜてきて凶悪な超高熱を伴う大爆発の圧力がのしかかってきた。

「ぐう……ッ!!」

 普通なら耐え切れない。しかしオレにはヤマミがついている。必死に全力の限りを出し尽くす。そして『ワクワクするような異世界の旅が待っているんだ!』と胸いっぱいに希望を溜め込んで負けまいと踏ん張り続けた。


 念願の異世界へ来たのに、まだライトミア王国しか見てないじゃん!

 もっともっと色々な所へ行って、様々なものを見ていきたい! 多くの人と出会いたい!

 これからヤマミと一緒に冒険するんだからなッ!!


「だから終われるかあぁぁぁぁぁぁッ!!!!」


 オレの必死な気持ちに応えるかのように、浄化の暖かい光が拡大していって災厄の超破壊を覆い尽くして完全無効化に届き得た。

 キラキラと神秘的な光礫が粉雪のように浮遊大陸へ降り注ぎ、溶け消えていった……。

 そして、また同じ事は繰り返させまいとオレはヤマミと共に太陽を模した風車を撃ち出した。


「これが私たちのツープラトン奥義『無限なる回転インフィニティ・スピン』ッ!!」

「行っけーッ!! サンライト・インフィニティドッキング(メビウス)ーッ!!」

 

 それは狙い違わず遥か遠くの浮遊島へ被弾し、高速回転球を展開して(ちり)にした。

 兵器特有のなんか殺伐的な気配は消えたみたいだ……。ふう……。



「絶対にバッドエンドにはさせやしねぇ!!」

「うん! 私も!」


 妖精王のオレとヤマミは勇者と魔王を庇う形で、元凶の方へ立ちはだかっていた。

 それを遠くから見ていたクックさんは目をキラキラさせて憧れていく。

 ティオスもオズラッチも呆然。騎士や冒険者たちも魔王軍までも唖然としている。ギルドのおっさんは「まさか、四魔将倒したのはガチだったのかっ!?」と面食らう。

 勇者はポカンと見上げていた。魔王は怪訝な面持ちで静観。


 まだ元凶たる邪悪な敵の威圧は途絶えてない。するとなにか流星のようなものがこちらへ飛んでくる。

 ゾクゾクとするような途方もない悪意が近づいて来る……。

 真紅の長いローブと法衣がバサッとはためく。高く長い帽子、流れるような薄い寒色の髪。手にはトゲトゲを放射状に生やした円のアンクのようなモノが握られている。


 ……ついに来たか! マリシャス教の大ボスッ!



「貴様らァ……! この神の使いである教皇キラリストさまに歯向かうか!」


 ことごとく思惑を台無しにされ、完全に憤慨(ふんがい)している彼の形相(ぎょうそう)は恐ろしげだ。

 忌々(いまいま)しくこちらを睨んでギリッと歯軋りしている。

 なにか懐から取り出したかと思うと、なんと劇薬いっぱい握り締めたまま口へ放る。バリボリ咀嚼(そしゃく)して飲み込んでいく。

 急激に膨らんでいく威圧で大地がビリビリと振動を起こしていく。


「ならば光栄に思うのだな! 教皇たる私が直々に貴様ら邪悪な者共を徹底的に駆逐(くちく)してやる事をなァァァァァッ!!!」


 メキメキとキラリストの体は凶悪な風貌へと禍々(まがまが)しく変形していく。

あとがき雑談w


教皇キラリスト「ちくしょう……! 十年以上かけて建築した基地を移設したのに台無しにされた……」


ナッセ「そんな物騒なの作るからだぞ!」

ヤマミ「全くよ……」

勇者セロス「それはともかく、なんか凄い事してなかったか?(汗)」

魔王ジャオガ「滅亡兵器を無効化したり基地破壊したり、な(汗)」



 次話『次は教皇とのバトルだ!! バトルスタンバイ!』

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