表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/200

18話「魔王の側近! 四魔将の恐怖!!」

 気を取り直してオズラッチは古城を見やるが、半壊してて呆然と見開いた。


「あ、あはは……! やりすぎちゃった!」


 や、やべー! 古城まで考えてなかったや……。

 なんつーか、この辺りメチャクチャに荒らされてて、木々がなぎ倒されていて、地面ほじくり返されて、所々火の手が(くすぶ)っている。まるで戦争が起きたみたいな焦土(しょうど)となってるよーな……。

 ヤマミはジト目で「バカやりすぎ!」とオレの頭にチョップを下ろす。


「エンカウント空間だから良かったけど、現実世界だったら危ないわよ」

「うん……。そーっすね」

「お前、実は反省してないだろ!」


 苦笑いで後頭部をかくも、訝しげなオズラッチには見透かされたな。


「とは言え、異常なほど配置されたモンスターは多かった。ナッセの『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』でなければ切り抜けるのは難しかっただろう」

「そうね……。野良(のら)の魔族のやる事とは思えないわ」



 すると突然、おぞましい黒い威圧がザワリッと全てを覆ってきたぞ。

 心身ともに押し潰されそうなほど、邪悪な怨念に満ちた圧倒的な威圧感。重々しくて息苦しい。オレたちは絶望に苛まされるほど、悪寒に体が震え続ける。


「こ、これは……ッ!?」

「なに……この威圧ッ!?」


 一般人なら卒倒(そっとう)してショック死するほどの……!


「……やってくれたな…………! さっきので腹心のオニマギ死んだぞ!!」


 声の主へ振り向くと、オズラッチとヨーレンは「ま、まさか!? ありえんっ!!」と動揺して狼狽える。

 禍々(まがまが)しく圧倒的な黒いフォースを(まと)いながら、ゆっくり一歩一歩近付いてくる魔族一人に戦慄を覚えていく。


 ズズズズズズズ……!!


 小柄な昆虫型魔族。異様な模様が走る外甲殻で包んだ全身。背中にはハエの羽が折り畳まれている。頭はリアルなハエの頭を模したカブトのようなもので、顔は人間の少年のような感じだが、目は狂気に満ちている。手足は四本で球体関節のような感じで、指とかは虫のカギ爪。


「貴様らには初めましてかな! 我らが魔王様に仕える四魔将が一人“残虐なる蟲王”ベルセム……」


 オズラッチもヨーレンも、イキナリの大物に絶句。

 オレもヤマミもクックさんもビックリだ! なんせ魔王の四天王みたいなのが来てるからだ。

 全身から禍々しいフォースが不協和音を響かせて溢れている。


 ヘソの『刻印(エンチャント)』が開封された。それほどの……!?



「全力で逃げろッ!!!」


 オズラッチは必死に叫び上げ、ヨーレンは即座に超高速で飛び退く。

 しかしベルセムは瞬時にオレたちを通り抜けて、ヨーレンの足をボッともいだ。呆然するヨーレンは転がって、ピクピク痙攣(けいれん)

 ベルセムはもいだ足をバクンとひと噛みして「獣人の女……、ほどよく美味(うま)いな……。いい馳走(ちそう)になる」と続けてバリボリ食らう。


 頭に来たオズラッチは「うおおおおああああ!!!」と全力のエーテルを振り絞って噴き上げ、水流れる双剣を振るいながらベルセムへ飛びかかる。


「食事中だ。()()は大人しくしてろ」


 ベルセムは軽く小突く。衝撃を受けたオズラッチの肋骨(ろっこつ)がバキバキ砕ける。

「グガハッ!」

 そのまま向こうの森林へ吹っ飛ばされて木の破片を四散し、煙幕を広げていく。


 オレは激情に駆られ、ベルセムの頭を殴る。バゴガッ!

 地面を数メートル滑りながら留まる。悠然とベルセムは口元から垂れた血を手で拭う。ギロッとオレを睨む。


「なんだこのガキ?」

「……まれ!」


 オレは溢れんばかりの怒りを滲ませて歯軋り。


「謝れ!!! オズラッチさんとヨーレンさんにッ!!」



 一瞬見開くベルセムは呆然としたが「ははは!」と狂気に笑む。

 ヤマミは汗を垂らしながらヨーレンを治療している。クックさんはガチガチ震えて茫然自失。

 オレは怒りで拳をギリッと強く握る。


「何を(たわ)けた事を……」

「そんな事したら()()に決まってんだろ!! 謝れよ!」


 オレは激情に吠える!


「ふん! 人間どもの思考は理解できんな。これも性善説というヤツか? 悪い事したら謝罪する習慣か? 全くもって下らぬ! 貴様ら脆弱な人間どもは怯えながら食われるだけでいいのだ」

「なんだと!?」

「力こそ全て! 弱ければ何をされても仕方なかろう?」

「……それでいいのかよ?」

「話にならんな……。所詮うぬらはエサ。(なぶ)られて食われるだけの下級生物よ」


 人を見下す冷徹な悪魔。オレの目にはそう映っていた。

 良心など全くない! 残虐非道を平気でやってのける諸悪の根源! これが魔族!!



「もういい! 黙れよッ!」


 殺気立ったオレは髪を逆立てる勢いで威圧を解放し、大地が震えていく。

 ベルセムは「ほう? そちも相当な強者! まさか『五輝騎士(シャイン・ファイブ)』の一人か?」と嬉々していく。

 オレに合わせるかのように、凶悪なフォースを噴き上げて殺気立っていく。


「面白い! 血が騒ぐわ……!」

「手加減しねぇっ! 全力でブチのめすっ! はあっ!」


 オレの足元から花畑が咲き乱れ続けながら広がっていく。目の虹彩に星マークが入り、後ろ髪がバサッと伸びてたゆたう。背中に花が()き、その中から四つの花弁が離脱すると拡大していって四枚の翼のように羽ばたきながら滞空。

 花吹雪が吹き荒れ、同時に膨大(ぼうだい)なフォースが天高く噴き上げられていく。


「おおおおおおおおッ!!!」


 オレは激情のままに吠え猛る!

 花吹雪を(ともな)って烈風吹き荒れながら、大地が激しく震撼していく。



 ゾワリ、とベルセムは恐怖に見開いて竦み上がっていく。冷や汗がブツブツ吹き出る。

 神の威光とも言える、神々しくて眩しい光のフォースは魔族にとって途方もない絶望を感じるほどのものだった。人間には決して届き得ない至高のフォース。

 足がガクガク震えて、畏怖(いふ)が心を締め付ける。


「な、なぜ……ッ!? こ、こ、こんな……ッ、よ、妖精王がここにッ!? 貴様ッ……何者ッッ!?」

「謝らねーヤツに名乗ってやる義理なんてあるか! ボケナス!」

「くっ!! 極大・(マキシマム・)蟲鳴響音波(インセクトハウリング)!!」


 ベルセムはカッと見開き、大きく口を開いて巨大な咆哮波を吐く。遥か向こうの山を消し飛ばすほど幅広い直線上の全てを吹き飛ばした。


「かあッ! かあッ!! かあッ!! かあッ!! かああああッ!!!」


 何発も凄まじい咆哮撃を連発し、轟音が鳴り響かせて破壊の蹂躙が繰り返される。凄まじい爆風が荒れ狂い、草木の破片と土砂が辺りに吹き散らされ、大地を揺るがす。

 濛々(もうもう)と巻き上がる煙幕に、ベルセムは息を切らしながら「妖精王とて、ひとたまりもあるまい」とほくそ笑む。

 だが、その希望を打ち砕くようにオレは無傷の姿で、煙幕を平然と抜け出した。


「ンなもん痛くも痒くもねーな! 力が全てだって? 所詮何がエサだって? オレからしたらてめぇはいつでも踏み潰せる()()()なんだよ!」

「あ……ああっ…………!」


 ベルセムは顔面蒼白でガクガクと震え上がる。


「覚悟しろッ!! 害虫野郎ッ!!」


 花吹雪を収束させて太陽の剣(サンライトセイバー)を形成。オレは地を蹴った。

 思いっきり振った剣がベルセムの顔を強打。意識が途切れそうになりながらベルセムは高速で吹っ飛ぶ。

 オレは先回りして横薙ぎに剣を超速で振るって、背中を折る勢いで強打。ベルセムはたまらず白目ひん剥いて「ゲボバッ!」と大量の吐血。

 すかさず剣を振り上げて更なる三撃目の強打、血飛沫を散らすベルセムを勢いよく高く高──く上空へ打ち上げた。遥か最頂点まで達すると、今度は加速しながら落下していく。

 それとは逆にオレは大地を爆ぜるように蹴って、超速で飛び上がりながら太陽の剣(サンライトセイバー)を振るい────!


流星進撃(メテオラン)!! 四十連星(よんじゅうれんせい)ッ!!!」


 激情のまま鋭くて重い一撃必殺を同時に等しい速度で四〇連発、ベルセムにメチャクチャ乱打した!!

 音を置き去りに、瞬間数十発が穿つ!!


 断末魔さえ許されず、完膚なきまで細切れに破り散らされたベルセムの肉片は、浄化されてパラパラと光飛礫となって空に流れていく……。


「害虫は滅びるべき!」


 フンスッと鼻息を吹いて、言い捨てた。

 ヤマミはジト目で「ナッセって、どっかズレてるわね……」とボソッと。




 ライトミア王国のギルド────。


 治療室のベッドの上でオズラッチは微かに目が覚めた。天井が見えて、意識が徐々にハッキリしていく。

 おぼろげだった記憶が鮮明に蘇り、魔王の幹部と相棒のヨーレンの事を思い出して、ハッと飛び起きる。

 隣のベッドでヨーレンは安らかにスースー眠っていた。


「よ、ヨーレン……?」


 治療師がやってきて「まだ安静しなきゃ」とオズラッチを諌める。

 ズキッと痛んでオズラッチは呻く。治療師は優しく微笑んで「大丈夫! ヨーレンは眠ってるだけですよ」と落ち着かせる。

 ヨーレンの足を見る。両足ちゃんとあって安堵した。


「……ナッセとヤマミは? クックは?」

「見舞いにきましたよ。ほら」


 治療師の指差す先を見ると、果物を入れたカゴと報酬の金袋が目に入った。


「彼らは無事か!?」

「ええ。三人とも元気でしたよ。クエスト受けるって行ってしまいましたよ」


 そうか……彼らも無事に逃げ切れたのか……。

 しかもヨーレンも背負いながら全員無事で帰還とは……奇跡か……。

 しかし恐るべき事態だ。魔王の側近である四魔将の一人がライトミア王国の近くに潜んでいるのだ。


「ヤバいッ!! なんとかしなければッ……!!」


 クワッとマジ顔でオズラッチは危機感を募らせた。

あとがき雑談w


ベルセム(亡霊のすがた)「……解せぬ!」

ナッセ「ごめw 思わずカッとなっちまったw」


ベルセム「これから魔王の幹部として強烈なインパクト出して貴様らの負けイベントを行った後に、決戦する場で盛り上げようと思ったのに、この一話で退場とかふざけんな!」


クックさん「ですよねー! ちゃんと手順踏んで物語盛り上げないっとー!」

ヤマミ「突っ走る二号がそんな事言っても説得力皆無だから」

クックさん「えー!」

ナッセ(オレは突っ走る一号なのか……?)


ベルセム「大幅なリメイクを所望する!! このままでは死にきれぬわ!」



 次話『ナッセやらかしたせいで魔王げきおこ!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ