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15話「歴戦の冒険者と一緒に冒険だ!!」

 ライトミア王国を出て、東側の通路をオレたちは異世界の冒険者二人に追従して歩いている。

 オレとヤマミとクックさんは、歴戦の冒険者であるオズラッチとヨーレンとパーティを組んで、討伐系のクエストを行う事になったぞ。


「冒険だー! 冒っ険だ──!! 冒っ険────!!」


 明るく楽しそうなクックさんに、オズラッチは溜め息をつく。


「……ナッセとヤマミ。君らはチキューだそうだな?」

「あ、ああ……?」

「ええ」


 目を細めたオズラッチとヨーレンが半顔でこちらを振り向きながら歩いている。


「なぜお前たちがAランク冒険者に高飛びしたか知らんが、()えて詮索(せんさく)はしないでおこう。だが今はオレがリーダーだ。従ってもらうぞ」

「あ、はい……」


 オズラッチとヨーレンは冷静で落ち着いてて場慣れしてる。でもなんか取っ付きにくそう。

 最初はこんな印象だが、後に打ち解けるといいなぁ……。


 ポチャーン、(しずく)が滴り落ちる音がした。眼前の地面に黒い点が!


「来るぞ!」「要警戒よ!」


 腰を落として身構え始めたオズラッチとヨーレンが警告してくる。

 黒い点は円へと広がって辺りを真っ黒に覆うと、次第に薄れて反転空間へと移転されていく。エンカウント現象だ。

 元の世界と同じ風景で、そこにモンスターが待ち構えていた。

 オズラッチ、ヨーレンは得物を抜き放つ。オレたちも身構えるが「待機しろ」と制止の腕を伸ばされてしまう。


「えー!! ずっるーい!」

「クックさん! 任せとこう!」


 ブーブー言うクックさんをオレは肩に手を置いてなだめる。

 ヤマミは「二人の実力を見てみるのも面白いかもね」と言いつつ静観(せいかん)


 でくわしたのは、人の子供ぐらいの巨大なカエルがそのまま二足歩行してて、剣や弓などで武装して群れているモンスターだ。約二十匹はいる。


【ゲコリン】(亜人族)

 威力値:2500~3500

 カエルがそのまま人型になったモンスター。知能が高くてズル賢く、様々な武器を使う。下級中位種。


【ポイズンゲコリン】(亜人族)

 威力値:3200~4200

 毒を持ったゲコリン。ズル賢く、自身の毒で濡らした様々な武器を使う。下級中位種。


【ゲコリンロード】(亜人族)

 威力値:10700~12700

 ゲコリン族を統べる王。リーダー格ですごく強い。ズル賢く、様々な武器を使う。中級下位種。


 後方でゲコリンが弓を構えて矢をつがおうとすると、ヨーレンは「フレイム・ブラストアロー」と弓から火炎の矢を複数撃ちだす。射撃が(けた)違いに速い!

 数多の火炎の矢が屈折して急下降。後衛を火の海に変え、赤々と獰猛(どうもう)に踊り狂う。

 弓持ちのゲコリンは「ゲコォォォォオオ!!」と断末魔を上げながら、焼かれ死んでいく。


 奇声を上げて錯乱(さくらん)したまま前衛のゲコリンが剣を振るって向かってくるが、通り抜けていくオズラッチの二刀の剣で軽やかに斬り散らされて、肉片となって宙を舞う。

 一瞬にして数十匹いたゲコリンがあっという間に全滅だ。


「すっごーい!! 楽勝だー!!」

「あ、ああ……。秒で終わっちまった……」


 あ! あぶねっ!


 オレは咄嗟に光の弓につがったフォトンアローを飛ばす。パキュン!

 遠い位置の(しげ)みを一条の矢が通り抜けると、隠れていたゲコリンが「ゲコッ!」と一瞬跳ねた後、沈んでいった。

 呆然とするオズラッチとヨーレン。


 確認の為に歩み寄ると、スナイパータイプのゲコリンが絶命していた。


「…………なぜ分かった?」


 怪訝(けげん)なオズラッチに、オレは「まぁ気配で……」と後頭部をかく。

 実は一キロほどの広大な『察知(サーチ)』で感触できる、なんて事言ったら驚きそうだしな。ヤマミは言っていたが、そんなバカ広い『察知(サーチ)』を持つ創作士(クリエイター)は中々いないらしい。だから黙っている。

 ヤマミと無言で頷き合う。


 シュ──ンと反転空間が収まって、元の世界へ()()。カエルだけに……。



「とは言え、こういう事はよくある。だが充分対応はできていた」

「余計な事したかな……」

「いや。鋭い気配感知は大事だ。思わぬ事態に備えて頼むぞ」


 すっげー!! さすが歴戦!

 そうやって他の冒険者と組んで、様々なクエストをこなしてきたのかもしれない。


「さすがね……。単なるコネで高飛びしたワケじゃないのね」


 狼の耳をピクピクするヨーレンにも褒められてビックリさせられた。

 ちゃんと見も知らぬ冒険者を認める潔さは歴戦の賜物と言ったところか。


「しかしナッセ。君は本当に『剣士(セイバー)』なのか? どう見ても『弓兵(アーチャー)』ではないか?」

「あ! つい弓使っちまった!」

「言うなバカ! もう! 言っちゃった……」


 ヤマミは頭痛そうに額に手を当てた。ごめ、うっかりしてた。


「ふむふむ、ナッセ君は弓兵(アーチャー)なのかね? 前は剣使ってたのにー!?」


 いきなりクックさんがオレの後ろから首に抱きついて、頭を拳でグリグリしてくる。

 なんか尋問の真似事で「えーい白状(はっくじょー)しちゃえー」と楽しそうにしてくる。やめろって!


「いざという時に弓を使う剣士(セイバー)もいないワケじゃないが、妙だな。あれは的確な狙撃だった。茂みに隠れているにも関わらず急所を撃ち貫く手腕は『弓兵(アーチャー)』そのものだ」

「た、たくさん練習したから!! めいっぱい練習したから!!」


 ホントだ!! だって『弓兵(アーチャー)』として並行世界(パラレルワールド)で練習してたのは間違いない!

 すると厳しい顔のヨーレンがツカツカ歩み寄ってくる。


「クラスを(いつわ)るのは冒険者としてもマナー違反。役割を分担する為に大事な事よ?」

「いや、本当に『剣士(セイバー)』なんだけど、なんつーか特殊な事があって……」

「そうそう! ナッセは剣で戦ってたー!! あたしが言うからマジー!」


 詰め寄ろうとするヨーレンを、オズラッチは手で制する。


「ヨーレン! 詮索(せんさく)は無用だ。冒険者の中には事情があって言えない人もいる。もしかしたら『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』なのかもしれん。先ほどの鋭い感知もそうなのだろう」

「……それなら仕方ないわね」


 オズラッチのおかげでヨーレンは尻尾を振って納得し「また頼むわ」と歩き出していく。

 なんかブツブツ言っている彼の声を拾うと「『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』か。誰にも言えぬくらい凄惨(せいさん)なトラウマを負ったのだろうな」とか聞こえた。


 クックさんを背中に背負ったまま、気まずい顔をする。


 ごめんなさい! ごめんなさい!! ホントはスペリオルクラスの『鍵祈手(キーホルダー)』なんです!

 転生する事で様々なクラスの才能を会得できる特性なんです!

 あんまり本当の事を言えなくてゴメンね!!



 数時間くらい歩いていると太陽の位置が真上に昇りきってて、昼になっていた。


「むむー!! そっちばっかズルいー! あたし戦いたーいぞー!!」


 黙っていたクックさんは(ほお)を膨らましていた。

 オズラッチとヨーレンは怪訝な視線を送ると、また前へ向く。


「今日は抑えてくれ。いつか強いの出たら任すよ」

「やだやだー!! ボコスカやりたーい!!」

「今はオズラッチさんがリーダーだから……」

「どうして!? ナッセがリーダーでいいじゃん! あばれたーい!」

「ちょっ……!」


 ワガママ言い出すクックさんをなだめるのにオレは苦心する。あああ……!

 ヤマミは耐えかねたのか「オズラッチさん、すみません。次は私たちで戦わせてくれませんか?」と助け舟を出してくれた。

 二人はしばし顔を見合わせた後「分かった。危なくなったら加勢するぞ」と言ってくれた。

 するとクックさんは目をキラキラさせてルンルン歩き出した。



 数時間して、再びエンカウントが起きて反転された世界────。


 アンクルコング九匹に、デモンカバが三匹。大型が集団とは……。

 オズラッチは不安げに「大丈夫か?」と聞いてくるが、オレは「大丈夫、大丈夫!」と笑顔で親指を立てた。


【アンクルコング】(獣族)

 威力値:8400

 見た目は爺さんのように鼻下と顎下からヒゲが伸びている大猿。その怪力は凄まじく、大岩をも一撃で砕く。知恵を持ち、集団で行動する。下級上位種。


【デモンカバ】(獣族)

 威力値:15000

 真っ赤な巨大なカバ。背中にコウモリのような小さな翼がある。とてつもなく凶暴で縄張りを踏み入れた生物に容赦なく殺戮行為を行う。筋肉隆々で攻撃も防御もかなり高い。中級中位種。



「よし、いけ! クックさん!」

「うにりゃあ────っ!!!」


 血気盛んなクックさんはエーテルの尾を引きながら爆走。大地を揺るがすほどウニメイスを振るってドッカンドッカン駆逐(くちく)していった。

 哀れ大型モンスターは抵抗もむなしく、ただただ蹂躙(じゅうりん)されていく。その一方的な攻撃にオズラッチもヨーレンも引いていた。


「……つかぬ事を聞くが、クックサンの威力値はいくつか分かるのか?」

「四〇〇〇〇だそうです」


 汗を垂らすオズラッチに、ヤマミはなに食わぬ顔で答える。

 落ち着いていて歴戦風を醸し出していたはずのオズラッチとヨーレンは青ざめていて引きつっていた。

 オレは「あの、クックサンではなくクックだけど、クックさんって呼んでるだけだよ」と付け足すも(うわ)(そら)だ。


「本当なのか?? オレでさえ三四〇〇〇だぞ?」

「私は三一〇〇〇だよ?」


「あ、大丈夫!! オレとヤマミは二〇〇〇〇ぐらいだったよ!」


 うーむ。まだ疑り深い顔してんな……。

 先輩もなんか似たリアクションしてたな。まぁ、色々隠してるからなぁ……。

 実は妖精王で大魔王倒した事がありました、なんてバカ正直に言えるワケない!


「大丈夫って言いながら、自身の低い威力値で慰めてくるなど誰が信じるか!!」


 オレは「ごもっとも……!」と苦笑いした。たはは……。

あとがき雑談w


ナッセ「ふと思ったんだけど……」

オズラッチ「なんだ?」

ナッセ「ヨーレンさんと付き合ってるの?」

ヤマミ(……直球ね)


ヨーレン「仲間ってだけよ」

オズラッチ「ああ。冒険するのに相性が良かっただけだ」


ナッセ「大人だなぁ……。スゲー割り切ってる」



オズラッチ(えっ!? 仲間だとしか思ってないのか!?)ガーン!

ヨーレン(冒険の為だけだったのね……)耳と尻尾がショボン!


 なんか二人ソワソワしてたみたいだけど、まぁいいか。



 次話『ついに初めての魔族と出くわす!』

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