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13話「クエストクリア! 報酬はクックさん!」

 全てが済んだ後、リエーラの小屋前でオレとヤマミは先輩と向かい合っていた。

 クックさんは小屋の中へ入っていってる。


「お前ら、まだなんか隠してるだろ?」


 ショボンとしている邪教徒二人を拘束したままで、ティオス先輩が納得いかなさそうな顔をしている。

 ……なんか、コッソリこちらの戦いを見てて、オレたちが三大奥義を撃ってた事に驚いてたみたい。

 しかしヤマミは憮然(ぶぜん)とした顔で「盗み見だなんて悪趣味ね……」と言い返す。


「てかさー、マジやばかったんだから助けてくれたっていいのによー」


 ティオス先輩はバツが悪い顔をしながら後頭部をかく。


「な、なんつーか、なんとかなりそうな気がしてな……」

「そうなのかぞ?」

「他の後輩ならともかく、あんたらはどこかシッカリしてそうなイメージあるからな。大魔王まで倒したって言うし、なんか歴戦の経験があるから格上にも勝てそうな気がするんだよ」


 オレは目を丸くする。先輩はそこまで見てるんだな。


「お前らより高い威力値の後輩でも、今の邪教徒を相手じゃ一分持たねぇって」

「あの邪教徒をあっという間に倒せるのか!? すげーな!!」

「バカ! 逆だ! 逆! 劇薬二錠状態のこいつらの威力値は六万以上だぞ!? 攻撃力ってだけなら俺より上だぞ? 後輩ソッコー死ぬわ!」


 オレは「ええっ!?」と驚いた。

 なんかスゲー強いなってくらい思ってたけど、そんな威力値だったのか……。

 ってか、前から思ってたけど目算で威力値見極めれるもんなのか?


「万全な状態で合体してたら約一〇万。大爆裂喰らってだいぶ弱体化したとは言え、奥義一発で沈めやがって!」


 スカウター先輩、ブスッとしてて不機嫌だなぁ……。


「うグッ!!」「おぐアッ!?」


 突然、二人の邪教徒が苦しみ始めていく。血眼で震え始めて口から泡を吹いていく。

 なんか軋むような嫌な音を立てながら「ギィヤアアアアア!!!」と地面に転がってバタバタ苦しみもがいていく。

 最後にビクンビクン痙攣(けいれん)して意識喪失……。


「な、なんだっ!?」

「こりゃ劇薬の反動だな……。二錠だけでこれか。もう助からねぇな」


「どきなぁ!」


 おののいていると、急にリエーラが割り込んできて邪教徒二人の口に薬をムリヤリ飲ませた。ぐいっと顔を動かして水を飲ます。

 そしてクックさんに「運びなぁ!」と命令すると「はい!」とキビキビ動き出して、二人を小屋へ運んでいった。看病する為の広間に寝かせて安静させた。

 先輩は「手際が良いな……、まるで治療班(ヒーラー)だ」と驚いていた。


「魔女の末裔だけあって、膨大な知識量と技術力は相当なものね」

「そうみたいだな……」

「先輩はどうするんだ?」


 するとオレの両肩をガシッと掴んできて、すごい剣幕で「三大奥義教えろ! 俺も会得する!」と言い出したぞ。正直戸惑う。


「な!? そ、そんな一朝一夕で会得できるもんじゃ……!」

「ナッセの言う通りよ」

「ふざけんなよ!! お前らにできて俺にできねぇったらバカじゃねぇか! もし三大奥義会得できたら『五輝騎士(シャイン・ファイブ)』の仲間入りじゃないか!」


「そういう心構えじゃあアンタにはムリだよぉ。いいから今日は泊まりなぁ。明日、治ってるからコヤツら連れて帰んなぁ」


 リエーラがドアを開けるなり、突っぱねた事を言い出して再びドアをバタンと閉めた。

 魔女の末裔にもダメ出しされて絶句するティオス先輩。次第に「ぐぬぬ!」と悔しがり出していく。ヤな予感がする。


「ナッセ!! 会得しやすいヤツでいい! 教えてくれ!」


 そうだった! 先輩はムキになると、意固地になって中々納得してくれないんだよな!

 ヤマミを見ると、汗をかきながらコクリと頷く。




 日が沈みかけの夕方になってるけど、小屋よりずっと離れた位置の開けた森の平原でオレとヤマミはティオス先輩に三大奥義の全貌と概要(がいよう)を教えた。

 まずはさっきオレが炸裂させた『賢者の秘法(アルス・マグナ)』、そしてあと二つは『無限なる回転インフィニティ・スピン』、『超越到達の領域トランセンデンス・ゾーン』で三つ。


「その中でも会得がしやすいのが『無限なる回転インフィニティ・スピン』だぞ」

「……ああ。さっき説明してたが、武器とオーラなどを上手く回転させて無限に威力を高めて炸裂させる奥義か」

「ええ。それでも私とナッセで合体技繰り出さなければ完成できなかったわ」


 怪訝に眉をひそめティオスは首を傾げた。


「『賢者の秘法(アルス・マグナ)』は単独で完成させたんだろ?」

「ああ、それは……」

「時間的にもムリ! あれは毎日欠かさず『心霊の会話(スピリチュアル)』をしないとダメよ! 数年瞑想(めいそう)続けないと自然霊の声が聞こえてこないから!」


 さすがのティオスも「うっ!」と尻込みする。

 ヤマミが説明すると説得力あるなぁ。さっすが頭脳明晰。


「じゃあオレの見せるよ……」


 光の剣を生成して、その切っ先に星型の風車を更に生成。

 前まではヤマミとかに回してもらったけど、今は念力組手を応用してギャンッと高速回転させた。凄まじい旋風を巻き起こし、森がザワザワ騒いでいく。

 ティオス先輩も「うお!」と驚きつつ、腕で顔を庇う。


「ヤマミ! 頼む!」

「ええ!」


 なんとヤマミは合掌した。すると草原からボコボコッと大岩がいくつも浮き出してきた。それらは急にナッセへと殺到していく。

 容赦なく押し潰してズズンと積み重なっていく。

 しかし幾重の亀裂が走り、バゴォォォンと細切れに岩を四方八方に砕き散らした。


「うおおおおおお!? こ、これが奥義かっ!! い、威力値が……一気に約四万……!? 信じられん!!」


 オレは振り返って「オレだけじゃ、こんな未完成だけどなー」と苦笑い。

 実は前々から時間さえあれば、これの特訓はヤマミと一緒に続けていた。単独でも完成させればいいし、二人で繰り出す奥義も更に強力になるかと思った。


「なぁ先輩。聞いていい?」

「なんだ?」

「オレの銀河の剣(ギャラクシィセイバー)は威力値どれくらい?」


「…………八万以上……。基礎威力値が二万以下と考えても破格の数値だ」


 汗を滲ませて苦い顔で答えてくれた。サンキュー、スカウター先輩。

 ってか威力値計測室行く必要ねぇんじゃないかな? これ?



「じゃあ一緒に……」

「待て! 大体分かった! ここからは俺が奥義を編み出す!」


 なんと制止の掌を出して、自分だけでやると言い出した。

 言い出したら聞かないなって感じなので、オレとヤマミは肩を竦めて大人しく去る事にした。



 リエーラの小屋へ着いた時は日は沈みきってて、空は紫に滲みつつ暗くなっていた。

 ドアの前で座ってたクックさんはこちらの姿を見るなり立ち上がって、「おっかえりー!」と笑顔で手を振ってくれた。そのまま一緒に小屋へ入って、晩飯を食べて腹を満たした。

 幼いクックさんは少しオレたちと遊んでから、いち早く寝床へ行ってしまった。大爆裂魔法の事もあるし、今日はだいぶ疲れてるだろうなー。



 リエーラはテーブルに小さなビンを置く。


「もう邪教徒の体は治ったよぉ。後は寝て体力回復だねぇ。その治験は成功したから、アクト用に作っといたよぉ」

「……邪教徒に飲ませたのとは違うの?」

「飲ませたのはカプセル状だもんな。全然違う」


 リエーラは首を振る。


「あったりまえだよぉ? これは厳密に言うとナノレベルの修復ウイルスって感じねぇ。液体は体に運び込む栄養だよぉ。アクトの体は傷んでるからねぇ、修復する為に必要な栄養をウイルスを使って直接ブチ込むのさぁ」

「ウイルスって悪いイメージだよな」「ええ」

「正確に言うとウイルスとも違うわぁ。けど似たようなもんだからねぇ」


 何言ってるか分からないぞ??

 するとリエーラはそのビンを懐に戻してしまう。まさか今になって拒否……?


「アクトは私が直々に行くわぁ」

「は?」「え?」

 オレとヤマミは首を傾げた。


「ええっ!? ち、ちょっと待った!!」

「アクトは今、地球にいるのよ??」

「フン! 分かってるさぁ。オオサカってヤツに行った事あるよぉ。オコノミヤキやタコヤキ美味かったねぇ。って事で行かせてもらうさぁ。クック頼んだよぉ」


 そう言うなり、よこらしょっとと腰を上げて寝室へ行ってしまう。取り残されたオレとヤマミはポカンとしていた。テーブルに置かれたランプの灯りが寂しげだ。



 ────翌日。朝日が眩しく森の隙間からこもれ出ている。


「…………またな」


 なんかボロボロになっているティオス先輩は疲れた顔で、二人の邪教徒を連れて去っていった。

 あれから色々試してみたけど、すぐには会得できなくて悔しそうだったぞ。


 しばししてからリエーラは身支度を済ませたらしく、昼頃に「じゃあ後は頼んだよぉ」と去っていった。

 なんか妙にアクトと会いたがっているような気がしてならない。

 彼との間に何があったか知らないけど、速攻で薬を作って助けに行くぐらい大切な存在なのかもしれないな。

 仲が悪かったら、そこまで動きは早くないはず。


 残されたのはオレとヤマミとクックさんの三人だけになった……。



 後日、クエストの残りの日数が終わろうとしても帰ってこないので、どうしようと困り果てた。

 何かないかとリエーラの小屋へ入ってみると、テーブルにオレたち宛てに手紙が残されていた。いつの間にか現れていたのだ。


『済まないねぇ。この手紙はクエスト最終日に現れるよう時空間魔法かけといたよ。それはそうと、クックはアンタらで世話してくれないかねぇ。一緒に森を出て広い世界へ連れ出して欲しいよぉ。これはその為のクエストなのさ。報酬はお金以上のモノをいただいただろ? さ、お行き』


 一見、押し付けられた風な書き置きだが、クックさんの為に用意されたクエストと思えた。

 期間があったのは依頼人にクックさんが懐く為。

 おそらくオレたちに懐いてたから、安心して任せる事にしたらしいな。うん。


「クックさん、ライトミア王国いっくぞー!」

「うん! いっくぞー!」


 ノリノリで拳を振り上げると、クックさんも楽しそうに拳を振り上げた。

 オレとヤマミはクックさんを連れて森を出たのだった……。

あとがき雑談w


 ティオス先輩は邪教徒二人を連行していた。


ティオス「やけに大人しいな。タマタマ潰されたからか?」

テンチュ「あああ! 僕はなんと愚かな事したんだ。盗撮や痴漢は犯罪だから自首しよう! それに身勝手で傍若無人だった! すみません!!」

ボホモ「セクハラしてきた罪が苦しい!! すみません! すみません!」


 終始、こんな有様だった。

 尋問でも素直に知っている邪教団の事を洗いざらい喋ってしまった。逆に尋問してた人が驚いてたくらいだった。


ティオス先輩「改心はやくねぇ?? 牢屋でも懺悔し続けてたぞ」



 次話『クックさんを加えて、異世界初の三人パーティだー!!』

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