105話「ついに異世界、完全復活だぞー!!」
千年分を統合したためにオレとヤマミが存在ごと消えていた。しかし『星塔』でクックさんが勝手に願いを叶えてしまう。
セロスたちは普通に世界を復活させようとしていたのだが、先を越されては後の祭り。
願いは叶えられてオレとヤマミは秘術を使う前の状態へ戻ってしまったぞ。
「ってか!! 復活できたのはいいけど、どーすんだ!?」
ティオス先輩が声を張り上げるが、一同は黙りこくるしかなかった。
ラルゴもレクロスも曇った顔だ。
セロスは「少なくとも……」と声を出して、一同の注目を浴びた。
「もうマリシャスの野郎に好き勝手されないって事だ!」
みんなも「確かに……」と頷く。
「むしろナッセとヤマミが今回最大の功労者だ。彼らがいなければ絶対勝てなかった。だから個人的でも願いを叶える権利はある」
「それは同意する」
「え、マジかよって思ってたけど、まー仕方ないわ」
ラルゴが言えばウォタレンを始め、みんな納得していく。
それにしても別人かって思うくらいウォタレン変わってない?
マグアは渋々?
オレとしては納得いかないけど、クックさんが嫌がるなら仕方ない。こうして肌身離さずくっついているし、左手はヤマミの手を握っている。
絶対離れたくないって強い意志を感じるぞ。
ふとオレはなんか思い付いたぞ。
「なぁ、マリシャスはもう力失っているんだから、ヤツが支配してた異世界から大災厄パワー回収して願い叶えられねーかな?」
セロスたちは目を丸くしてしばしの間……。
「それだ!!」
オレへ指差しが集中したぞ。
確かにマリシャスの邪悪なフォースによるチート能力があってこそ支配権が握られていた。しかし『ゼロフィールド』と『開闢の鈴』のコンボによってマリシャスは完全に力を失ってしまった。
それに伴って、コントロールを失い無作為となった大災厄パワーを『星塔』で簡単に回収できた。
ズゾーッと赤黒いの吸い込むの、どことなく掃除機みたい。
ちなみにだが、大災厄パワーが消えたので量子力学的に『マリシャスがやってきた“結果”が全てなかった事になった』ぞ。
被害にあった異世界は最初っから普通の歴史を歩んできかたのように、すり替えられてるぞ。
なので、マリシャスの悪行を知る者はオレたちだけになる。
キラキラ────ン!
「またまた満タンになったから、また願いを叶えられるよー!」
サラカートとエムネは上機嫌で、再び輝きだした宝珠へ手を差し出した。
セロスたちも「いえーい!!」とノリノリで拳を突き出す。
「お願い玉、お願い玉、どうか叶えておくれ! 壊された世界を元に戻してくれー!」
宝珠は眩く輝きを放ったぞ!
すると破片だけが漂う壊れた宇宙が巻き戻しされていって、次々と銀河系が復活していって、それに伴ってロープスレイ星を擁する恒星系も完全に元に戻った。
天の川と煌く星々を背景に、白いマダラ模様に青に染まったロープスレイ星はやはり美しい。
ついに念願の異世界は完全復活したのだ────っ!!
「……あれ? 輝き消えてねーぞ?」
「さっき願い叶えてたのに?」
なんと願いの宝珠は依然変わらず燦々と輝いている。
サラカートとエムネも驚いていて「こんなの初めて」って漏らしてたぞ。
大災厄パワーどんだけ多すぎんだよ! マリシャス凄すぎだろ……!
まぁ66兆の威力値だって、支配してきた異世界から搾取して集めてたらしいしな。全部他力本願っぽい。だから今のマリシャスは力を持たない普通の人間になってしまった。
こいつの処分は置いといて、次の願いはどうするかだな……。
するとティオス先輩が頬を指でかきながら苦笑いしてきた。
「お、俺は独身だから彼女欲しいんだけど、ダ……ダメかな……?」
「「「「「当たり前だッッッ!!」」」」
セロスもジャオガもみんな勢揃いで突っ込む!
こうしていると微笑ましいな。
またこの光景も見られるし、これからも色んな思い出が作れると思うとじんと感激が湧いてくる。
ラルゴが意を決して宝珠へ歩みだした。
「お願い玉、お願い玉、どうか叶えておくれ。マリシャスの手下が来てから犠牲になって死んだ人たちを全員生き返らしてくれ」
それに応じて宝珠は周囲に閃光を放つ。
そう、マリシャス自身が破壊して皆殺ししたとは別に、悪魔の教皇によって殺された人もいるからだ。
悪魔の教皇キラリストと限定的に言わないのは、彼以外の手下が侵入している可能性を示唆している。
「おい待て! それだと悪魔の教皇まで生き返るんじゃないのか!?」
「「ええっ!?」」
しかしラルゴは首を振る。
「マリシャスの力で反則的な強さを得ていたに過ぎん。今はただの人間になってるはずだ。それに罪も償ってもらわないとな」
「そこまで考えていたんですね……」
「うむ」
「“極悪人を除いて”は含まなくても?」と言ってみると、同様に首を振ってくる。
「これは地上界の管轄だ。我々が責任を持って解決していくべき事であって、これでズルするのは人類の為にならん」
「ラルゴちゃんのいうとーり! そうこなくっちゃねー!」
「うふっ、賢明だね……」
サラカートもエムネも同意しているみてーだ。
しかしまだ宝珠は燦々と輝いている。まだ余ってるみてーだぞ。多すぎ。
「お願い玉ぁ、お願い玉ぁ、どぉか叶えておくれ~! 対消滅をなくして、二つの宇宙をくっつけてくれるかしらぁ~?」
途端に誰かが願いを述べて、宝珠が眩く輝いたぞ。
突然出現したモニターに映っている二つの宇宙の間でスパークが迸りながら対消滅していた部分が、シュワシュワ元通りになってヒョウタンみたいな形状になってしまったぞ。
これで宇宙消滅の危機は去った。
「誰だっ!?」
一同が振り返ると、なんと漆黒の魔女アリエルと師匠クッキーが現れたぞ!
まさかの二大魔女の共演にオレも目を丸くしてビックリ!
しかもアリエルは寝入っている子どもを抱っこしている?
「はろぉ~お! みなさぁ~ん、お疲れ様ぁ~」
「ナッセ、ヤマミ、久しぶりね」
相変わらずのんきな師匠が手を振ってくる。ホンット久しぶり。
オレも手を振って返す。
するとクックさんは自分と似たような姿の魔女に戸惑ったか、オレの後ろへさっと隠れて覗き見。
「とぉもかく、これでぇ~対消滅は心配いらないわぁ~。ま、でもぉ魔界オンラインシステムは、この世界でも適用するようなったわぁ」
「なんだとっ!?」
「ええ?」
「どういう事!?」
「まさか、ナッセとヤマミが言ってた……魔界オンライン!?」
アリエルは即座に魔界オンラインの要点を説明してプレゼンしてたぞ。さすが頭脳明晰な魔女だぞ。妖精王だから頭良いって事もあるんだろうけど……。
内容としては、カルマホーンが生えた極悪人は魔界オンラインへ送られ、永遠に殺伐と争い続ける事になる。そして各々の極悪人は配下のモンスターを作って闘争ゲームに興じなければならない。
つまりジャオガたち魔族のやってる事とほぼ変わらない。かぶってる。
「魔女殿! 失礼ながら、人類の為にならない事を勝手にしないでいただきたい!」
「待て! 我々はどうなるのだッ!」
「私は悪の魔女よぉ~? 一切の苦情は受け付けないわぁ~」
クスクスと嘲るアリエルに、ラルゴもジャオガまでも絶句。
セロスは神妙な顔で考え込んでいる。
「魔王ジャオガ! 魔族を対象に願いを叶える前に、質問したい事がある」
「……何だ?」
なんとセロスとジャオガが向き合っているぞ。
オレは「まさか……」と頬に汗を垂らす。そう、その気になれば魔族の消滅も叶えられるのだ。
「ちょっ待っ……」
「ナッセ! 口出しは無用だ! ……これは我らの問題よ!」
逆にジャオガに窘められて、引き下がるしかない。
「闘争の理念で、我々人類を襲うのは当たり前と考えるのか?」
「当然だ」
「……見下しているのか?」
ジャオガは首を振る。
「勇者セロスたちのように信念を貫き通し、己で鍛え上げた力を振るう者は種族関係なく敬意を払っている。見下すのはそれさえせず、安全地帯から罵詈雑言吐く臆病者どもだ」
「魔族全体がそうなのか?」
「いや、個人差はある。人族にも下劣なヤツがいるように、魔族にもまた下賎な輩がいる」
セロスはしばらくジャオガと見据え合っていると、アリエルへ振り向く。
「魔女アリエル……だったか?」
「なにか聞きたい事でもぉ?」
「ああ。極悪人は魔族であっても強制ログインするのか?」
「当然でしょうぉ? 差別しない平等主義者だからぁ~!」
せせら笑うアリエルに、クッキーはジト目で「どの口が……」って突っ込む。
セロスはニヤ……とジャオガに笑みを見せる。
そしていきなり宝珠へ振り向いて!
「お願い玉、お願い玉、どうか叶えておくれ! ジャオガたち魔族を、これまでの永遠の復活システムを廃止し、我々人類のように繁殖可能な種族として作り替えてくれ──ッ!!」
「なっ!? お……おいッ!? ま、待てッ!!」
「はあぁッ!?」
「えっ!?」
「……ッッ!」
魔王ジャオガと四魔将が一番戸惑い、叫ぶがもう遅い。宝珠は眩く輝いた。
するとムクムクと股からナニカが膨らんでるのが見えた。
思わず赤面したジャオガはマントでサッと全身を包んで隠したぞ。
「き、きさま~~~~!! なんて事をしよるっ!!」
激昂するジャオガに、セロスは得意げにフフンと笑う。
「これで貴様らはこの代限りになった。さぁ、オレたちと同じように“限りある人生”を味わえ! ざまぁみろだ!」
「か、勝手な事を~~~~!! せめて相談しろ~~~~!!」
「イヤだ! 相談したら絶対断るだろっ!」
「ばかもの当たり前だっ!! 取り消さんか~~っ!!」
「もう遅いっ! フィニッシュだっ!」
ぎゃーぎゃー勇者セロスと魔王ジャオガが取っ組み合いケンカして、煙幕が立ち込める。
ラルゴたち勇者勢もキョトンと目を丸くして呆然……。
そんなコミカルな風景に、オレはクスッと笑ってしまったぞ。
願いを叶え切った宝珠は透き通った水晶玉になってしまった。スンッ!
「お願いタイムは終わりでーす!」「うふっ! これで『大祓祭』終了だね……」
あとがき雑談w
ホノヒェラ「なんか体の具合が変なんだけど?」
ソネラス「こっちも股に変なものが!」
アマリビグ「…………!!」
アマリビグがブルブル震えだすと、纏っていた鎧がバッゴーン四散した。
なんとビキニアーマーの褐色巨乳美女が現れたぞ!?
ジャオガ&ソネラス&ホノヒェラ「ええええ~~っ!!?」
ナッセ「ええっ!? アマリビグさん! 女性だったのかぞ~!?」
そういう空前絶後の現象によって、魔界中に激震が走ったらしいぞ!!
おかげでサキュバスの商売は繁盛したらしいぞ!?
次話『そして最後に……!』




