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103話「ゼロの決着!! そして大災厄の終焉!!」

 秘術が発動されてナッセとヤマミが閃光に覆われた。


『聖絶奥義! コズミック・ディバインパニッシュメントッ!!』


 それでも容赦なくマリシャスは輪を描くように両腕を踊らし、溜めた莫大なエネルギーを爆発させ、一気に天文学的な破壊を四方八方に撒き散らした。

 宇宙の最果てである幻獣界を踏みにじろうと怒涛の破壊余波が覆う。

 しかし轟音も震撼もしない事に、マリシャスは違和感を抱いた。


 幻獣界の様子は爆発の余韻で覆われて見えず、未だ溢れる閃光は光柱となって天高く伸び続けているのみ。


 その時、冷や汗をかく程の畏怖(いふ)が胸中にゾワリと湧き上がる。

 威力値で越えられぬ程の力を得たマリシャスにとってはたわいもない脅威のはずだった。確かに威力値の多寡(たか)で勝負は安易に決められない。多い分だけ勝率が高いだけで、絶対に負けないのではない。

 しかしマリシャスの66兆6000億という規格外の威力値は如何(いかん)ともし(がた)い圧倒的な力を誇る。


 例え、千年を費やして血の滲むような修行をしたとて敵うはずがない。

 マリシャスはそう(たか)(くく)っていた。


 ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ…………!



 マリシャスの無慈悲な蹂躙(じゅうりん)が無かったかのように静寂が続く。

 余韻や閃光が収まっていくと、ナッセとヤマミらしきシルエットが頭から浮かび上がってくる。マリシャスのみならず誰もが言葉を失った。

 所々、純白に灯る蝶々が飛び去っている。


 成人男性と思わしき長身の青年。銀髪ロングで綺麗に整った中性的な顔立ち。色白の肌。耳が尖っている。瞳には六方の星型が灯っている。

 全身を幾重(いくえ)の白い羽を巻きつけるようにして衣服代わりに覆っている。

 背中から白い羽が放射状に開いている。まるで花のようだ。


 かたやもう一人は姫カットの美女。冷淡そうな表情。色白の肌。耳が尖っている。瞳には星々と三日月が灯っている。

 青年と同じく全身を幾重(いくえ)の黒い羽で巻きつけてドレス状に形状を整えている。

 背中から黒い羽が放射状に開いている。


 そして白と黒の花畑が足元から咲き乱れていって広範囲に広がっていく。緩やかな花吹雪が辺り一面を覆うかのように吹き荒れていく。


「あれが……、千年後のナッセとヤマミ……!?」


 マシュ様は「まさか……信じられない……」と声を震わせて呟く。

 アクトもリョーコも呆気に取られる。

 ティオス先輩は息を飲む。


 一目見てわかる。もはや人族とはかけ離れた神秘的な風貌……。





 それを『星塔(スタワー)』から見ていたサラカートとエムネは強張(こわば)ったまま立っている。

 まるで美しくも幻想的な妖精王……。

 見とれるほどの洗練された風貌と穏やかなフォース。心を奪われそうだ。


 それゆえにサラカートとエムネはザワリと凍りつく!


 今からナッセとヤマミが数十年ほどの人族としての生を終え、成体となった妖精王として数百年もの長い年月を経て行き着く境地。

 それを()()という()()でたどり着いてしまった。

 取り返しのつかない代償を払って……!


「私……バカだ……!!」


 サラカートは身を震わせ、強い後悔の念に駆られ始める。

 エムネも察してか「君は悪くないよ……。不可抗力だよ……」と(なぐさ)めにもならないと分かった上で呟く。


「また……またッ、同じ過ちを……繰り返した…………!」

「サラ!」


 サラカートは震えたまま涙を流していた。


 初めて会った時は正直になれず、つい煽って戦った。

 あまりにもエムネと二人きりで寂しいあまりに、懐かしい感じさえ覚えるナッセに構いたくなってきたからだ。

 減らず口を叩いて打ちのめした時は少しばかり罪悪感があったものの、立ち上がってくれる確信はあった。


 なぜならマロ姉さんとあまりにも()()()()だったからだ……。


 どんな障害にも負けず、純粋でひたむきに夢を追いかける。

 それでいて自分の大切な人を守る為になら、自分を犠牲にしてでも越えられぬ困難に立ち向かう。

 似ているなんてもんじゃない。同じに見えてしまっていた。

 でも最初は認めたくなくて、真似(まね)ているだけ、と意地を張ってしまった。


「なんで素直になれないのかな……私…………。もう……いやだぁ…………」


 涙を流すサラカートは両膝をついた。それをエムネも泣きながらも背中から抱きついた。

 嗚咽(おえつ)が悲しげに響く最中、ソファーで鎮座するクッキーはなおも静かに見守っていた。






 心地良いそよ風さえ吹いてくる穏やかな幻獣界。

 オレとヤマミは神殿の上でセロスたちに見守られながら、マリシャスを穏やかに見据えていた。そして浮いたままマリシャスは冷や汗いっぱいにこっちを見下ろしている。


「貴様……、何を……したッ…………!!?」


 破壊が成されぬ事に、マリシャスはギッと睨む。

 それに対して掌を突き出す。


「オレは自分の能力を勘違いしていた」


 マリシャスは「何!?」と身を竦ませるが、オレは構わず説明を続けた。


 師匠であるウニ魔女クッキーも妖精王。彼女も攻撃無効化という特殊能力を持っている。

 一切の破壊を無効化する点ではオレと同じ。

 しかし、クッキーのは破壊を無効化した後、破壊された分だけ癒しや回復に変換する追加効力を持っていた。それはオレになかったもの……。


 クッキーは『生産』の性質を持つ緑属性。オレとは違う。


「そう! オレは『秩序』の性質を持つ光属性。そして破壊を無効化する際に、敵の能力も無力化してしまう効力があったぞ」

「なっ!!?」


 ついでに補足しておくけど、オレが今まで奥義を繰り出して炸裂した際に敵は無力化されていた。

 それは妖精王としての効力の一端が付加されたもの。

 妖精王状態で撃っている攻撃無効化も、もし効力範囲が敵に及んでいたら能力ごと無力化していただろう。

 オレは攻撃に向けて撃ってたから今まで気付かなかった。


 だが、千年の時を経て効力範囲が幻獣界を覆うほどに広がった今、理解できた。



「攻撃無効化改め、『ゼロフィールド 絶対無力化』だぞ!」


 その効力は敵がいかにどんなチートを持とうが例外なく無効化する。

 威力値に関しても、例え(おく)(ちょう)(けい)(がい)(じょ)……と、どれだけ天文学的に高かろうとも関係ない。()()()()に塗り替えられる。

 マリシャスはゾクッととてつもない恐怖に襲われ、焦りのままに両手を差し出て必死に叫びだす!


「時を巻き戻せ──ッ!! こやつが秘術を使う()までに──……」


 周囲の風景が流れていって、時空の巻き戻しが加速していく! このように概念の存在だった頃より、幾度もなく自らの危機の度に発動して未然に防ぎ続けた無敵の能力の一つだ!

 そうやってマリシャスは一方的な殺戮と略奪をしてきて巨大な存在へ成り上がってきた!

 これまでと同じように、ナッセとヤマミを秘術を使う前の状態に戻して殺す算段に目論(もくろ)んだ!


「今度は喋る間もなく殺す!! 気付く前に殺す!! 自覚させずに殺すッ!!」


 しかし、超高速で流れていく風景が逆流してズズズズズズッとオレの掌へ吸い込まれて蝶々の群れに散らせて溶かしてしまう。

 マリシャスは絶句して言葉を失う。



「な?」


 陽気に笑ってみせる。


 マリシャスは恐怖に全身を震わせ、うろたえて、後退(あとずさ)っていく……。

 今の彼はただの人間に等しく、未だ邪悪なフォースを内包している以外は完全に無力だ。


「あんたがそんな同じ事を他の異世界に強いてきたんでしょ? 皮肉ね」

「う、ぐ……!」


 冷淡に笑うヤマミにマリシャスは冷や汗たらたらで狼狽(うろた)える。


「そんじゃ、お前ン中の邪悪なフォースを浄化させてもらおっか」

「これで詰みよ! 観念なさい、大災厄の円環王マリシャス!」


 オレとヤマミは片手を上げて、一瞬にして黄緑だった空は夜空に染まって、無数の星々が煌めいていた。

 星々はゆっくりと蝶々のように群れをなして四方八方から羽ばたいてくる。それらはオレとヤマミの間で次々と球体状に張り付き合って凝縮されていく。


「あ……ああっ…………!」


 マリシャスは冷や汗を垂らし、かつてない恐怖に震え上がってしまう。


 手元で純白に輝く『開闢の秘法(ビッグバン・マグナ)』が錬成され、光輪を放っていた。

 それを、次に形成した鈴に重ね、眩い閃光が爆ぜて広がった。

 その輝きの中から引き抜き、神々しく煌く純白の巨大な鈴が現れる────。


 掲げた鈴から、キラッキラッと音色を目視化したような放射状の輝きを灯らす。



「ま……待てっ!! 待つんだっ!!」


 恐怖におののいたマリシャスの狼狽(うろた)え様に、オレは柔らかく笑む。


「痛くしねぇって」


「こ、この余を、この余を失えば世界の損失となるぞっ!! 完全なる平和を守れる唯一神がいなくなったらどうする! この高潔な慈悲深い神を──……」


「大丈夫。殺さねぇって。邪悪なの(はら)うだけだから。その影響でチート能力消えっかも知んねーけど」


「待て待て待て!! 待てっ!! 落ち着いて考えろっ!! この余こそが、世界を統べる唯一神に相応しい存在! 創世神に成り代わって永遠の平和を作るという使命があるのだ!! そんな余のこの偉大な力を全て台無しにするというのかっ!!」


 しかしヤマミは「(ひと)()がりの御託(ごたく)は後で聞くから」と突っぱねる。


「……ッ!!」


 オレは巨大な鈴を振りかぶって、マリシャスへと跳ぶ。

 何もできないマリシャスは「うわあああああああ!!」と絶叫!



「アルティメットホープ! 開闢(かいびゃく)(すず)!」


 これまでの大災厄に終止符を打つべき、巨大な鈴を振り下ろす。

 キィ────────ンッ!!

 眩い音色の輝きが放射状に爆ぜてマリシャスを呑み込み、光飛礫を舞い踊らせながら光輪が煌びやかに広がっていった。


「あああああああああああああああああッッ!!」


 甲高い音色が波紋のように、幻獣界へと暖かく輝く光輪を(ともな)って広く広く響き渡っていく。

 マリシャスを中心に、大規模で純白に輝く花が一気に咲き乱れていく。やがては幻獣界の雲海を覆い尽くすほどの壮大な花畑へと広がっていった。

 それによって天文学的とも言える膨大な邪悪なフォースは全て浄化された。


 力を失い仰向(あおむ)けに倒れようとするマリシャスを、ヤマミは後ろから抱きつく。


「私はナッセと違って甘くないからね! おしおき!」


 真後ろへ反り投げられていくマリシャスは「うおわああああ!?」とジタバタもがく! 概念だった頃では有り得なかった事に慌てるしかない────!!


 ガガァン!!


 ジャーマンスープレックスによってマリシャスの脳天は神殿の上に叩きつけられた!!


「ぎ……!」


 さしものマリシャスも口から泡を吹いてグッタリ気絶。

 拍子抜けするほどの幕切れとも言える決着に、セロスたちは白目で呆然…………。


「はい終わり!」

「へへ! これで一件落着だぞー!」


 気が済んだヤマミは両手でパンパン払い、オレは満面に笑ったぞ。

 しかしクックさんは一人浮かない顔で寂しそうだ。

あとがき雑談w


クッキー「平和な決着ねー」のほほんw


ナッセ「数話したら次章いくから、もうちょっと続くぞw」

ヤマミ「ラスボス倒したからって、主人公交代とかないからねw」


 まさか新章の舞台は千年後の世界!?

 置いてかれたクックさんはグレてて、敵対関係に!?

 千年もの隔てた時の溝は簡単には埋まらないのかーっ!?


 ……なんて予告風に言ってみたりするw



 次話『ついに『星塔(スタワー)』で願いを叶えられる! さぁ世界を元に戻そう!』

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