101話「世界の終焉! 最後の始末!」
宇宙中全ての銀河がチリとなっていく最中、優越感に浸るように笑むマリシャス!
そして致命傷を負ったナッセは意識を失い、同じくヤマミも薄れる意識を必死に堪えていた!
攻撃を受ける瞬間、ナッセが前に寄って庇ってたのがヤマミは見えていた!
そのおかげで僅か数秒程度の命を得たッ……!
「ナッセッ……!!」
そんな命の暇を使って、ヤマミはナッセを掴み、崩壊しつつある巨神像へギンとひと睨み!
黒い花吹雪が二つ渦を巻いて共々吸い込まれて消える!
幻獣界の土星のような神殿の上で黒い花吹雪の渦から流れ出すように、巨神像の頭部とヤマミとナッセがズザザザッと地面を滑って粉塵が舞う。
マイシはナッセが死んでいるのを察してワナワナ震えていた。
アクトとリョーコ、クックさんが駆け出して「ナッセ! ヤマミ!」と叫ぶ。
横たわる血塗れのヤマミはゲホゲホッと夥しい吐血をしながらも!
「ナッセだけは助け……て……!!」
息も絶え絶えに吐き出すと、ヤマミも事切れた…………。
アクトが羽ペンを取り出して歩み寄るが、魔王ジャオガが「待て!」と呼び止める。
オレ、意識が戻った時は量子世界にいた。
そして運命の鍵ことヒカリがいた。ヤミザキの気になる人。懐かしい、けど……。
「死んじゃったんだな…………」
気分が落ち込む。
《アレはホント無理ゲーだもんね》
「なんだよ! 威力値66兆ってありえねぇだろっ!!」
概念の存在だったはずのマリシャスが肉体で現れてきた時は、宇宙を破壊するほどものすげぇ強さだった。ありゃ努力とか知識とかでなんとかできるレベルじゃねぇ……。
さすがに星獣でも敵わんなー。
方法はないワケじゃないけど……、うーむ。
……そーいや大事な事忘れてた!!
「オレ、魔王化すんじゃん!!」
うわあああああって感じでオレは慌てた!
無限に因子を溜め込んでて限界ギリギリだし、これ以上は……ッ!
って、なんともねぇ?? 増えてる感覚ねぇぞ??
《それは……?》
運命の鍵に指さされて、オレは首にかけてある漆黒の剣を象った首飾りに気づく。
「ああ。魔界で魔境をクリアした時にタッドから譲ってもらった『無断の首飾り』。確か所有者に降りかかる無限の概念を断ち切り、その再発が不可能……だったっけ?」
《それで止まってたんだね……》
「あーそっか……。無限に因子が増えるから、それを断ち切られたっけ」
タッドからもらった時に光ってたけど、あれは効力を発揮してたんだな。
《ってか大魔王を浄化した時に銀の世界樹『ユグドラシール』が並行世界含めて存在してるから魔王化の概念はなくなって、役目を終えた『鍵祈手』は妖精王アマテラスのいる天上界へ行く事になってるよ》
そういやそうだったな! って待て待て!
「じゃあ、溜まらないんならオレはどうなるんだぞ?」
《……死ぬ度に延々と転生し続ける事になるね。時間を逆行して、また一から……》
オレはぞわっとしてしまった……。
再発が不可能ってたから、オレは永遠にこのまんまだったな。
《所有者ってたから、誰かに譲れば戻るんじゃない?》
「それはそうだけど……、あのマリシャスの野郎を放っておけねぇ」
《でももう無理じゃね…………》
「あ、うん…………」
でもさ、ヤマミも一緒に死んでるから転生後に再結成して、やり直すのは容易だ。
星獣は召喚できるし、人造人間の大侵攻もイージーだ。隕石なんて星獣や秘術『タイムマジック・インテグレーション』で余裕だしな。
四首領ヤミザキは『鍵祈手』の役目を終えてるから、きっと別人になるかもしれない。
それでも同じく秘術で余裕だしな。
大魔王にならないなら……、いやなったとしても勝てる!
「問題は異世界へ行った時、マリシャスをどうすっかって事だよな。あるいは悪魔の教皇の息の根を完全に止めて『聖絶』を防ぐとか」
《遅かれ早かれ、また別のルートでやってきそう》
「うーん、それはそうだよな。……あ!」
そういや忘れてたけど、因子が増えねーんならよ!
「また『運命の鍵』でマリシャスを挿せば、ワンチャンかも!」
《命を代償にしてるから、死ぬよ?》
「なーに! 一度きりさ! 一旦マリシャスの野郎にぶち込んで友達にするなりで願いを叶えてしまえば、後の並行世界は平和だぞ」
そうと決まれば……!
と思ったら、足元に赤く輝く逆五芒星の魔法陣が浮かんできた!?
すると魔王ジャオガさんと四魔将アマリビグ、ホノヒェラ、ソネラスのエネルギーが流れてきた!?
徐々に生命が蘇ってくるのを感じる!
《生き返るんだね……》
「ああ。そうだったな。オレ四魔将になってんだよな。逆五芒星の力によって復活できるシステムは適用される。すまねぇ……」
《ううん。また会えて嬉しかったよ》
オレだって嬉しいよ! 懐かしい量子世界でヒカリとまた話せてさ!
そして……、いつかきっと!
「ああ。きっとヒカリに戻してやっからなー!」
《うん!》
バイバイ手を振りながら、オレは魔法陣からの光の柱で上昇していく。
そして眩く閃光が視界を覆った。
「はっ!」
上半身を起こすと、表情を綻ばすジャオガさんと四魔将の三体に囲まれていた。
ここは幻獣界の神殿の上……、マシュ様が鎮座する広間。
オレの寝かされた床には赤く灯る逆五芒星。
「ふう、こんな時の為に四魔将にしておいてよかったぞ」
「ヒヤヒヤさせるよね! ホンット!」
「魔族以外にも逆五芒星システムが適用されたようで良かった」
「……ナッセ無事! 安心!」
「ジャオガさん! ホノヒェラさん! ソネラスさん! アマリビグさん!」
魔界のメンツが揃ってて安堵させられる。
すると「ナッセ────!!」とクックさんが飛び込んできて抱きつく。
泣きじゃくって喚いているのを聞いて、よしよしと後頭部を撫でた。
「ヤマミは…………?」
「大丈夫よ!」
ボロボロに破けた衣服だが、至って無傷だ。オレもボロボロだけど。
「ああ。間一髪、時空間で幻獣界へ逃げたもんね」
「違う。私も死んでた……」
「え?」
するとアクトがやってきて太い羽ペンみたいなものを見せてきた。白い羽は毛先が朱に染まっている。ペンの部分は瓶になっていて、中は空っぽだ。
これって……確か!!
「あァ……。死人すら、万全の状態で蘇る『女神ウィング』だァ……」
異世界でアクトと初めて会った頃に見せてもらったっけな。
オレを生き返らそうと手に入れた秘宝……。
「そうよそうよ! 危うくナッセに使おうとしてたから魔王さんが止めたのよ! で、あんたは変な魔術で生き返らしてもらって、このアイテムをヤマミに使ったのよ!」
今度はリョーコが出てきてそう言い出す。
ヤマミを見ると、コクッと頷いてくる。そっか……生き返れたんだな。
思わぬ伏線回収で九死に一生を得たんだな。
「でもさ……」
気が沈んでいくオレが言い出すと、周りも静かになる。察したアクトはため息。
「残念だが、マリシャスの野郎はどうしようもねぇなァ……」
「この宇宙はもうズタズタだから帰れないし、マリシャスいるし!」
「……『星塔』でなんでも願いを叶えてもらうってヤツで元に戻したかったんだがなぁ」
ジャオガは首を振って「あの世界は諦めるしかない」と言い出す。
その諦めの言葉に誰も反論はできない。黙るしかなかった。それくらいどうしようもない状況だった。
マイシもチッと悔しげに舌打ち。不機嫌だ。
するとセロスが「待てッ!」と割って入ってきた。
「あ! セロス! 無事だったんか……」
「あ……ああ……。アンタもな!」
他の初顔の勇者たちもいるし、なんなら残骸っぽい巨神像が斜めで倒れてら……。
ヤマミの時空間転移で一緒に避難できたんだな。
どうりで四魔将もいるワケだ。状況把握っと!
「それよりマリシャスをどうするんだよ!! 異世界に逃げたって狙ってくるだろッ!」
セロスの言葉で緊迫感を抱く。
そうなのだ。いつやってくるともしれない恐怖……。
あの規格外をどうにかしないと、また他の異世界を破壊されかねねぇ!
「……ふふ! よく分かっているじゃないか!」
重々しい声に振り向くと、幻獣界の黄緑の空に赤黒い渦が拡大してきてマリシャスが姿を現した!
傲岸不遜に笑んでいて、戦慄させられるほどの圧倒的な威圧。
ズオオオオオオオ…………!
「大災厄の円環王マリシャスッ!!!」
「侮蔑を改めぬ不逞な輩どもよ! 余は厄介事を捨て置けるほど甘くないぞ!
必ずや汝は大きくなって余に牙を突き立てかねん! そういう芽は早々に摘むに限る!」
「ぐっ!」
抱きついているクックさんがマリシャスに怯えて震えているのを感じ取っている。
くそ! こんなヤツに環境も将来も奪われてたまるかよッ!
魔王ジャオガさんが真紅に染まって肥大化、アクトも変身、リョーコも日章紋を発現、セロスたちもフォースを噴き出す。
マイシも最強形態である“灼熱の火竜王”へと変貌し、長く伸びたフサフサのロングが舞って、ウロコを模すスパークが全身から荒々しく迸る。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
いずれも凄まじいフォースを噴き上げて、その鳴動で神殿を揺るがしている!
しかしオレも含め、束になった所でヤツには敵わない……。
無残に皆殺しにされるのがオチだ。
「ならば『運命の鍵』で……ッ!」
「それは私が許さない!」
覚悟を決めようとしたら、ヤマミがオレの肩を強く握ってくる。
「そ……そうだった……!」
またヤマミを置いてけぼりにするワケにもいかねぇ。クックさんもな。さて共に生き残れるって前提で、絶体絶命ってヤツかぞ……。
再びマリシャスは両腕を左右に伸ばし十字の体勢を取って、背中から光輪が生まれ、放射状に閃光を散らす。
「フッ! 観念して消滅るのだな!」
あとがき雑談w
サラカート「見事に宇宙真っ暗ね~!」
エムネ「残骸だけ漂ってる……、何もない世界…………」
クッキー「この『星塔』だけ無事なのは“概念”だからね……」
特別な条件でしか入れない『星塔』は次元をも破壊する衝撃の影響は受けない。
さしものマリシャスさえも入ること能わず……。
しかし破壊されずとも何にもない宇宙では意味もない?
サラカート「永遠にこのままなの…………?」
エムネ「……だろうね」
サラカート「」(絶句)
次話『重い代償!』




