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10話「ホントに魔女の末裔だった!?」

 朝日が木々生い茂る葉っぱの間から煌びやかに射してくる。


 オレは太陽の剣(サンライトセイバー)を携えてキッと、目の前のクックさんを見据える。

 クックさんもウニメイスを手に好戦的な笑みで大の字で立っている。その間を風が吹き抜けていく。


「いっくぞー!!」「おし来い!」


 クックさんがエーテルの尾を引きながら飛びかかってきて、オレも同時に地を蹴る。ガァンと得物をぶつけ合い、周囲に衝撃波が広がって木々がバサバサ騒ぐ。

 そしてクックさんと一緒にあちこち縦横無尽に飛び回りながら、攻防の応酬を繰り返していった。


 ガガガガッガガガッガガガガッガッガッガガガガ!!


 オレの光の剣と、クックさんのウニメイスが乱雑に激突し合い、火花散る。


「クックの威力値が四〇〇〇〇なのに、上手く(さば)けるものねぇ」

「ナッセは格上との戦いを経験してるから、それくらい平気よ」


 ふてぶてしいリエーラと冷淡なヤマミは並んで、二人の実戦訓練を眺めていた。


「……聞きたい事があるなら言ってみなぁ」

「分かるんですか?」

「フン! 打算的な雰囲気は見えてたからねぇ。いいさ、聞くよぉ」


「まずはこれを」


 ヤマミは(たた)んである紙をリエーラに渡す。

 その紙を広げて細目で見やる。そこには人体の図解が記されていた。その人体の名前は「アクト」だった。


「アクトかい。異世界でも結構名が知れていたねぇ。死んだ目してたけど、腕は見事なもんだったよぉ」

「会った事あるんですか?」

「ちょい関わってたねぇ、付近のライトミア王国の情報網でもよく聞いてるさぁ」



 ズガァン!


 オレは威力に押し負け、吹っ飛ばされつつも地面を滑って踏ん張る。

 師匠に似てるだけあって強ぇーな! ならばッ!


 構わず突っ込んでくるクックさんに、オレはカッと見開く。


流星進撃(メテオラン)!! 十連星(じゅうれんせい)ーッ!!」


 飛沫を上げて疾走しながら、一撃必殺を超高速で十発繰り出す。クックさんの目には、ナッセの背後に天の川映る夜空が見え、鋭く切り込むような流星が飛び込んでくる!

 それをクックさんはカッと見開く。


「なんの! 爆裂乱舞ミラージュ・ウニメイスだーッ!!」


同じく超高速で突撃しながらウニメイスを渾身を込めて振るうと、爆音響く爆裂と共に複数のウニメイスの残像が超高速で連射された!

 何ッ!? オレは思わず見開いた!


 一撃(ガッ)二撃(ガッ)三撃(ガッ)四撃(ガッ)五撃(ガッ)六撃(ガッ)七撃(ガッ)八撃(ガッ)九撃(ガッ)十撃(ガッ)!!


 最後は苛烈な十撃目を交差させ、共に全身をビリビリと衝撃が突き抜けて、オレとクックさんは苦い顔を浮かべる。

 その激突によって、地面から噴火のように衝撃波を噴き上げた。ドドッ!


 余韻(よいん)が吹き荒れる最中、ザッと互い足を止めた。

 オレとクックさんの間には先ほどの衝突で酷く抉れたクレーターができていた。

 その周囲を砂煙が流れる。シュウウ……。


「お、オレの流星進撃(メテオラン)を……相殺した……!?」

「おお!! あたしの必殺乱舞と互角ー!?」


 し、師匠とそっくりだ……。

 大爆裂魔法を応用して、ミラージュと呼ばれるメイスの残像を超高速で乱射するヤツだ。今のはそれの下位互換っぽい感じか。

 師匠ん時は「全てを打ち砕け!! 大崩壊ミラージュ・うにメイス!!」などと叫んでたが……、ここまで似てると師匠の『分霊(スクナビコナ)』かと思ってしまう。


「あ、そうそう! 大爆裂乱打バージョンもあるっぞー!」


 違うのは強弱のバージョンがある事か。



 それをよそに、リエーラは「フン、無理したツケが来たようねぇ」と仏頂面だ。

 ヤマミも「全くよ……」と頷く。


 アクトは異世界をさまよい、果てにナッセと再会を果たして元の世界へ帰っていった。そして世界大戦の時に、アクトは己の剣術を極める事ができた。

 しかし、その後インドで四首領(ヨンドン)ダウートとの戦いで勝ったものの戦えない体となってしまった。

 それを治す方法がないかと、異世界で探していたのだ。


「ナッセたっての希望で、アクトを治したい。できる?」

「そして、また無茶をさせる気かい?」

「治せる?」


 ヤマミは冷静に疑問を疑問で返す。


 そうと知らないオレはクックさんと得物をぶつけ合って、空中でギリギリ鍔迫り合い。

 反発し、再び、縦横無尽に森を飛び回りながら格闘を繰り返していく。


 ガガッガガガガッガッガガガ!!


 あちこちで打撃が連鎖していく余波で、枝や葉っぱが飛び散り、木々が騒いでいく。



「治せなくもないけど、平穏に暮らさせて欲しいねぇ」

「それは同意だわ。でも『大災厄の円環王マリシャス』の侵略を前にそうも言ってられない」


 あくまで淡々とするヤマミに、リエーラは「ふん」と言いながらも、吟味(ぎんみ)していた。

 冷静沈着で物事を見極め、常に最善の手を打とうとする姿勢。迷いがない。それは深い後悔を経験しなければそこまで至らない境地(きょうち)……。


「さて、聞いてやったんだ。こちらの番だよぉ」

「何でしょうか? 知ってる事までだけど」

「いいさぁ。ナッセとどう出会って、どうここまで来れたのか、経緯(けいい)を話してもらおうかい?」


 ヤマミは「いいですけど……」と頷く。


「あんたたち、もう人間じゃなくなってるのは分かってるよぉ。その事も含めて話すんだねぇ」


 さすがのヤマミも目を丸くし「妖精王の事まで知って……?」と口走る、リエーラは首を横に振る。


「そうか。妖精王かぇ……」

「……アリエルやクッキーに会った事ないんですか?」

「当たり前だよぉ。我が家系代々で先祖を探していた事があってねぇ、ずっとずーっと見つからなかったってねぇ。しまいにゃ先祖なんて尾ひれが付いて誇張された伝説って諦めていくようになったしさぁ」


 ヤマミは「ええ!?」と驚き返る。


「私も探したよぉ? 私だけは諦めきれず数多の異世界渡ってきて、ここまで来たよぉ? 異世界と繋がるライトミア王国を(じく)に、隠れ家で構えてまで待ち構えてたしさぁ」

「…………まさか……依頼はその為に……?」


 リエーラは怪しげに笑み「そうだよぉ。ようやくあんたたちが釣れたって事さぁ」と勝ち誇ったように言い出す。

 するとズズ……と重々しい威圧が溢れ出てくる。

 ヤマミは咄嗟(とっさ)に飛び退き、身構える。


 ズゥン、と地震で森は揺れ、木々が恐怖に震えるかのように激しく騒いでいく。


「なっ、なんだっ!?」

「ひいっ!」


 オレは着地し、威圧がする方へ向けると殺気立ったリエーラがいた。ゾワ……!

 クックさんは青ざめてガクブルしている。

 まさに漆黒に魔女アリエルを彷彿させる闇の威圧感。リエーラの全身から黒いイバラのようなエーテルが(うごめ)()している。ドス黒くて底知れない。


 ズズズズズズ…………!!


「ナッセェ!!」「おう! だが……!」


 するとヘソの『刻印(エンチャント)』が輝き出してガションと自動で開封されていく。

 まさか、婆さんはそれほどまでに……!?


「さて、どう料理しようかねぇ……」


 まさに漆黒の魔女アリエルを彷彿させる、殺気。一歩一歩と歩み寄ってくる度に重々しい威圧が伸し掛ってくる。

 森が今に破裂しそうな勢いで地響きと闇の威圧で怯えている。

 まずい! ヤマミなんか地雷踏んだのか?


「くっ! (スーパー)ナッセ!!」


 足元に花畑を広げ、花吹雪が周囲を常駐的に舞う。背中から花が咲き、六枚の花弁が離れて背中で拡大化して浮遊。オレの後ろ髪がロングに伸び、目の虹彩に星のマークが浮かび、全身から溢れるほどのフォースを噴き上げていく。

 ヤマミもそれに対照的な漆黒の花畑を広げ、羽を広げ、虹彩に月のマークが浮かび、フォースを噴き上げた。


 その凄まじい妖精王の威圧で周囲がゴゴゴゴゴと震撼(しんかん)が増していく。

 緊迫した空気の最中、オレとヤマミは殺気立つリエーラの様子を窺う。


「もういいわぁ……」


 殺気をフッと収め、リエーラは首を振る。オレは()頓狂(とんきょう)に「へ?」と漏らす。


「試したわね……」

「悪いねぇ。妖精王がどんなんか見たくてねぇ」


 睨むヤマミに、悪戯(いたずら)っぽく笑いリエーラはその辺の切り株に腰掛けた。

 オレも「あー……」と察して、常駐する花畑を引っ込めて、妖精王状態を解いていく。


「まさか二人とも本物の妖精王とはね……。それも仲が悪いはずの光闇のセットでさぁ。仕組んだねぇアリエルとクッキー」

「ええ。私はアリエルから、ナッセは師匠クッキーから、です」

「フン! 運がいいねぇ。いや適合すると知って仕組んだかもねぇ……」


 呆然とするクックさんを尻目に、オレとヤマミはリエーラへ向き合う。


「言っておくよ。上位生命体である妖精王になれる『妖精の種(フェアリー・シード)』は誰にでも適合するワケじゃないんだよぉ。私ら家系の人も、どこからか運ばれてきて儀式的に口にするのさ。クックにもね。でも誰も発現はしなかった」

「……先祖って事は、アリエルとクッキーの血を引いて?」

「他にあるのかぇ? 私は漆黒の魔女の系譜(けいふ)。クックはウニ魔女の系譜(けいふ)だよ」

系譜(けいふ)……家系ね」


「ま、まさか!! 師匠は家族を持っていたってたけど、その子孫がいたなんて!」


 リエーラはジロリとこちらを見やる。うっ!


「数千万年前もの昔の話さ。気も遠くなるほど長い年月で私たちは魔女の子孫として多くの異世界へ広がっていったよ。私はこの世界でクックを引き取ってひっそり暮らしてたよぉ」

「な、なーんか聞いてたのよりスケール大きいなぞ……」

「それでも妖精王になれた人は一人もいなかったねぇ」


 遠い目で空を見上げるリエーラ。


 オレはクッキーさんの話で、ついちょっと昔に家族がいたって印象だったけど、かなーり遠い昔の話だったんだな。

 つか同じ血筋でも妖精王が発現しやすくなるワケじゃないんだな……。

 なんというか世界広すぎ…………。



 その日、暮れるまでリエーラとクックさんにオレたちの体験した話をしたのだった。

あとがき雑談w


 色々話してみた後、リエーラは「フン!」と終始愛想は悪かったが、クックさんは目をキラキラさせていた。


クックさん「へー、ヤマミから惚れたんだなー!」

ヤマミ「なっ////」(着眼点そこ!?)

ナッセ「えへへ///」


ヤマミ「ち、違うでしょう! 平行世界は数多あって、それぞれで可能性が違ってるの。魔法が使える世界と使えない世界とか」

クックさん「どうせ行けないんだし、それよりも馴れ初めをくわしく!! ファーストキッスは? エッチした日は? どんな風に愛し合ったのかー!?」

ヤマミ「////////////」

ナッセ「////////////」


リエーラ「初体験済みで未だウブとか情けないよぉ! 堂々とヤりなぁ!」ドキドキ!

クックさん「やっちゃえー////」どっきどきー!


 二人揃って恋愛脳だった……!



 次話『邪教団の刺客がやってきて大ピンチに!?』

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