表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

②カードゲーム・ルール解説

 ゲーマー(仮名)が考えた特殊ルールカードゲーム、「考えうる限り最低最弱のクソデッキを作った奴が優勝」。これには四人のプレイヤーを必要とするのだが、不良、メガネ、中華の三人が快く引き受けてくれた。


 では次に、今回の対戦で使用するトレーディングカードゲームについての解説である……が、その前にメガネがゲーマーに声をかけてきた。


「ゲーマーよ、知っているか?」


「はい? 何をです?」


「今回の企画では、登場させるカードゲーム及びボードゲームは完全オリジナルのものを使用しなければならない。お前が大好きな遊が付くアレや、ダイレクトメールと同じイニシャルのアレは使えないのだぞ」


「メメタァ」


「その点、どうなのだ? 対策は打ってあるのか?」


「ええもちろん、抜かりはありません。あるんですよ、完全オリジナルのカードゲームが」


 そう言ってゲーマーが、カードの山札を一つ、皆の前に置く。

 そのカードの裏面には「マモノカードバトル」と書いてあった。



 マモノカードバトル。

 それは、この世に突如として現れた、異能力を操る怪物……という設定の生き物、マモノを題材としたトレーディングカードゲームである。


山札デッキ

・山札はシンプルに40枚。

・同じカードは、4枚まで入れても良しとする。

・試合中に山札がゼロになると、その次の自分のターンで強制的に敗北となる。山札がゼロになったのと同じターン内なら、まだ敗北にはならない。


■コスト

・カードをバトルフィールドに出すには、それぞれコストが必要。

 コストを得るには、コストゾーンに自身のカードを送る必要がある。

 各カードを送ることで得られるコストは基本的に1だが、例外も存在する。

 一度にコストゾーンに送ることができるカードは、基本的に一ターンにつき一枚のみである。ただし、試合中に使用したカードの効果などによっては、その限りではない。


■ライフと攻撃力

・ライフ制、攻撃力制を導入しており、プレイヤーのライフは20点。

 マモノのライフおよび攻撃力は、マモノごとに個々に設定されている。


■カードの種類

・マモノカードバトルには、三つの種類のカードがある。

 一つ目は、シンプルにバトルフィールドに出して戦わせる「マモノカード」。

 二つ目は、いわゆる進化モンスターにあたる「星の牙カード」。

 三つめは、いわゆる呪文スペルカードにあたる「異能カード」。


・マモノカード、および星の牙カードにはそれぞれ、マモノの種族や属性などが表記されており、特殊効果や後述する進化などに影響を及ぼしてくる。


・マモノカードおよび星の牙カードは、フィールドに最大6体まで同時に出すことができる。


■マモノカード

・マモノカードは、いわゆる雑魚モンスター。

 星の牙カードと比べると、あまり強くはない。

 強力な効果もほとんど持たず、ステータスも低い。

 しかし低コストでフィールドに出せるため、対決の序盤で活躍する。

 大人しい草食獣のマモノは、ステータスが非常に低い代わりに、コストゾーンに送ると得られるコストが2に設定されているなど、派手な効果こそ持たないが、マモノカードは戦略的に重要な位置を占めるカードである。


■星の牙カード

・星の牙カードは、いわゆるボスモンスター。

 各々が恐るべき異能力を持つ、超常の怪物である。

 ステータスも高く、特殊効果も強力で、非常に強い。

 しかしそのぶん高コストで、フィールドに出すには工夫がいる。

 弱めな星の牙でもコストは6ほど。下手をすると14とか18とかに達するものも。


■星の牙カードの活用方法

・星の牙カードをフィールドに出すには、二つの方法がある。

 一つは、普通に手札からフィールドに出す。

 もう一つは進化。

 星の牙カードと対応する種族のマモノカードがフィールドにあるとき、そのマモノカードの上に重ねるように、星の牙カードを場に出すことができる。これが進化。進化で星の牙カードをフィールドに出す時、支払うコストは通常の半分となる。


■異能カード

・異能カードは、その場に出すと即座に効果を発揮し、そして失われる。効果はカードによってさまざまである。


■マモノは呼び出してすぐに攻撃できる?

・マモノカードおよび星の牙カードは、フィールドに出た最初のターンは攻撃ができない。ただし例外は存在する。


■マモノの特殊ステータス

・マモノカードおよび星の牙カードには、敵の攻撃から他のマモノやプレイヤーを守ることができる「守者」や、フィールドに出た最初のターンから相手のマモノやプレイヤーに攻撃ができる「猛獣」、自分から攻撃するまで敵に攻撃されない「潜伏」など、特殊なステータスを持つカードも存在する。



 マモノカードの進化で星の牙カードをフィールドに出すと、支払うコストが半分になる。この特徴を利用することで、中盤の差し掛かりから自陣敵陣ともに強力な星の牙カードが入り乱れるようになる。


 コスト+2のノーマルマモノなどの存在もあり、マモノを呼び出すためのコストが増えやすいのも特徴。マモノの進化と、高コストマモノの殴り合いに重きを置いたカードゲームなのである。



「……ルールは、まぁこんなところです。最近発売されて、いま注目を集めている期待のカードゲームなんですよ。(こっちの世界線では)」


 ゲーマーがそう語る一方で、他の三人はそれぞれ思い思いにマモノカードゲームのカードを眺めたり、手に取ってみたりしている。


「ふむ……確かにこれなら大丈夫そうだ。では早速、グループ分けを行なうとしよう」


「二人と二人で別れるんだったよね。じゃあ、グーとパーで分かれましょ!」


 中華の掛け声を合図に、四人はそれぞれグーかパーを出す。

 結果、ゲーマーがグーを出し、残り三人がパーを出した。


「んじゃ、ゲーマー一人対オレたち三人だな。せいぜい頑張れよ」


「待てや」


 仕切り直しである。

 再びグーかパーを出す四人。

 結果、ゲーマーがパーを出し、残り三人がグーを出した。


「よっしゃ決まりだな」


「決めんな。俺がぼっちのままじゃないか」


 その後もグーかパーを出し続ける四人だが、決まってゲーマーがぼっちになる。まるで何かの呪いでも受けているかのように、ゲーマーが常に一人になってしまう。


「このままでは話が進まん。一度ゲーマーを除外し、残り三人で分かれるぞ。二人と一人で分かれ、一人になった方がゲーマーと組む」


「そ、そうだね、そうしよっか……」


 メガネの提案に中華も頷く。


「……でも、俺はずっと一人で違うもの出し続けているのに、三人は同じもの出し続けて、その三人だけになったら延々とグーかパーが三つ揃うようになるんじゃ」


 結果、中華一人がグーを出し、残り二人がパーを出した。


「……皆さん俺になんか恨みでもあります?」


「ふむ……分からないな」


「そこはきっぱり『無い』と否定してほしかったです」


 とりあえず、これでグループは決まった。

 ゲーマー&中華VS不良&メガネのペアである。


 まずは中華とメガネがデッキ作成を担当することに。

 この二人が作ったデッキを使って、それぞれゲーマーと不良が戦ってもらう。


「デッキなんて作るの初めてだからなぁ。しかも初めてのデッキがネタデッキ。うまく作れると良いんだけど……」


「うまく作る必要はないんだよ中華。中華は自分のデッキが負けたら勝ちなんだから」


「あ、そっか。よーし、それなら好きなように作ってみるよ!」


 ゲーマーからの言葉を受けて、デッキ作成に励む中華。

 一方の不良は、淡々とデッキを作成するメガネを見て、苦い表情をしていた。


「コイツが作るネタデッキとか、何持たせられるか分かったモンじゃねぇ……。せめて、まともな勝負ができるデッキになることを祈るぜ……」


「安心しろ。頑張って作る」


「『頑張ってネタデッキを作る』って聞かされて安心できると思うか?」


 その後、二人は無事にデッキを完成させた。

 次回、いよいよ試合開始である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ