番外編、反乱の終わり
レェティエール視点です。
偉大なるこの国の女王の登場に、場は騒然とした。
「どうして、此処に女王様が……」
そんな騒めきを他所に、セキの側に立っていたオレルは民衆に向かって厳かに言った。
「女王の御前である。皆、平伏せよ。」
その言葉に民衆は話すのをやめると平伏した。
メイベルもレェティエールも同様だ。
セキは横たわる咲に近づくと抱き上げた。
「アルトは……間に合わなんだか……姫よ……」
悲しげにそう言う女王にメイベルもレェティエールも目を見開いた。
咲は女王と知り合いだったのか。
セキはオレルに咲を渡すと同時に耳元で何か囁き、それを聞いたオレルは咲を抱いて駆けて行った。
女王は平伏する人々を見つめた。
そして、高らかに宣言する。
「皆のものよ、この街には妾が直々に選ぶ新たな領主を遣わす、それ故に怒りを鎮め反乱をやめよ。」
新たな領主、その言葉に民の間に不安が広がる。
徐々にそれが騒めきとなって広がっていく中でも、女王は毅然と前を向いていた。
「心配するでない。一所懸命な者を選ぼう。何かあれば責任は妾がとる。それに、無能な領主によって苦しい生活を強いられてきた者には国から少しばかりじゃが金を出そう。」
その言葉に安堵したのか、人々は喜びの声を上げた。
「我らが女王!万歳!万歳!万歳!」
レェティエールは人々の女王に対する信用と信頼の高さに驚き目を瞠った。
続いて、女王はメイベルに目を移した。
「そなたが盗賊団の頭か?」
「はい、我らが女王。」
「そなたの罪はとても重い、恐らく死罪じゃろうて。」
「覚悟しております。」
その言葉にレェティエールは目を見開いた。
待って!
「待ってください!兄さんが盗賊になったのは元はと言えば、私のせいなんです。だから殺すなら私にして下さい!」
「レェティ!やめるんだ!」
レェティエールは必死にセキを見つめた。
セキはレェティエールに近付くと頭を優しく撫でた。
「そなたの兄を想う気持ちは良いが、それはできぬ……罪なき、そなたを殺す事はできぬ……」
「……でも、それでも!」
涙が溢れて止まらない。
どうして大切なものはいつも奪われてしまうばかりなの?
そんなレェティエールの頭をメイベルは慈しむ様に撫でた。
「レェティ、僕の望みは君が幸せになる事……ただそれだけだよ。どうか僕の分まで幸せになって……」
「……うっ……あぁぁぁぁぁぁぁ」
幸せになりたい。
苦しいくらい、幸せになりたい。
レェティエールはいつまでも泣き続けた。
メイベルはそんな彼女にいつまでも寄り添っていた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




