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推しの愛しの幻想曲  作者: 雪斗
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運命

異世界不思議ふぁんたじー!

今、咲の両手は異世界不思議ふぁんたじーであった。

咲は最初こそ首を傾げていたが、突如として目を輝かせた。


「これは!あの少女漫画の主人公と同じアレでは!」


少女漫画の物語の終盤、王子は魔王の刃を受け死にかけるのだが、そこで主人公は聖属性のアレ……ま、魔法に目覚めて王子を助け、共に魔王を討ち果たすのだ。

これを読んだ時に感動と、共に一つ思った事がある。

ーーそれでアルトも助けろやぁぁぁぁぁぁ


此処で突っ込む咲は悪くない。

悪いのはアルトを死なせることにした作者である。


まぁ、物語の方は置いておいて。

これが本当に聖属性のま、魔法ならこの少年を救う事ができる。


咲は少年の傍に近づくと光溢れる両手をかざした。

そうして、祈る。


少年の回復と、健やかなる体を。


どれ程、そう祈り続けていたのだろう。

不意に光が掌から消えた。

そして咲は、少年を見て思わず感嘆の息を漏らした。


少年の体から傷や傷痕は全てなくなっており、体の汚れも消えている。

また、少年の額に触れてもあの熱さが感じられず、心地よい温もりを感じるだけだ。


「良かった……」


咲は心の底からそう思い少年の黒髪を優しく撫ぜた。

汚れが無くなり綺麗になった少年は可愛い顔立ちをしていた。

将来が楽しみになりそうな美少年である。


少年のその造形に咲は微かな既視感を覚えながらも、怒涛の一日を過ごした疲れで、気を失う様に眠った。















小鳥の囀りと誰かが頭を撫でる感触に、咲は徐々に意識を浮上させていった。


「……う、ん」


その声で驚いたのか頭を撫でていた人物は手を引っ込めてしまった。

気持ちよかったのに残念。

そう思い咲は目を開くと目の前には綺麗な顔立ちの少年がいた。


さらさらの黒髪にアメジストの瞳

その配色はとある人物を思い出させるものだった。

不意に咲は強い既視感を覚え、まじまじと少年を見つめた。

少年は咲の勢いに気圧されている。


そして、咲は気付いた。

この少年がアルト……私が焦がれて止まないあのアルトに似ていると。


咲は驚きに目を見開いたまま、震える声で少年に話しかけた。


「あなた、名前は?」


少年は口籠もりながらも小さな声で話した。


「……アルトです。ご主人様。」


かくして、物語のシナリオは変わり始める。

巡り合った人々によって紡がれるは麗しい幻想曲。


ま、魔法とどもったのは咲が恥ずかしがり屋だからです。

もうどもりません。

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