表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しの愛しの幻想曲  作者: 雪斗
4/54

出逢い

咲、奮闘します。

子供に対して鞭を振るう。

この世界はそんな非人道的な事が罷り通る世界なのか。

どうして、誰も止めないのか。

憤怒に駆られた咲はカツカツと足音を立てて大男に近づいた。

恐怖なんてものはなかった。


「やめなさい。」


場違いな程澄んだ咲の声が辺りに響いた。


「アァ?」


大男は威圧する様な声をあげるとゆっくりと後ろを振り返った。

そうして、咲の姿を見ると最初こそ目を見開いていたが徐々に舐め腐った様な態度に変わっていった。


「これはこれはお綺麗なお嬢さん。俺に何か用か?」


女だと思って舐めやがってと咲はその男の態度にイラッと来たが我慢した。

私は大人なのだ。


「その子供を鞭で打つのをやめなさい。」


命令口調でわざと言ってやる。

すると男は簡単に苛つき額に青筋を立てた。


「アァ?良い所のお嬢さんだからって調子乗ってんじゃねぇぞ!コイツはなぁ売れ残りの奴隷なんだよ。コイツだけちっとも売れねぇから俺様が教育してやってんの。」


そう言うと男は思い切りその少年を蹴り飛ばした。

少年の体が飛ばされて壁にぶつかる。


「……うっ」


痛みで呻く少年を嘲笑うと男は馬鹿にした様に言う。


「まぁ、魔持ちなんて売れる訳がねぇだろうけどなぁ。」


魔持ち、その聴き慣れない言葉に咲は内心首を傾げた。

少女漫画にもそんな設定はなかった筈。

だが、そんなことより今は少年の方が先だ。

咲は少年に駆け寄ると体を起こした。


ボロボロに汚れ、全身傷だらけ、そして酷く痩せている。

表情は見えないがきっと痛みによって歪んでいるに違いない。


咲は決意し懐を弄ると純白の袋を取り出した。

そして、それを男に投げつけた。


「こりゃ何だ?」


男はそれを拾うと中を覗き、絶句した。


「こりゃ、金貨じゃねぇか!しかもこんなに沢山……嬢ちゃん、その奴隷を買うのか?だが、これは払い過……」

「払い過ぎでは無い。この少年にはそのお金では足りない程の価値がある。お金なんかでは測れない程の価値があるんだ。その程度の端金でこの少年が買えるなら安いものだ。」


冷めた声で話す咲を男はぽかんと間抜けな面で見ていたが、咲が少年の体を支えて歩き出そうとしているのを見て焦った様に言う。


「嬢ちゃんまだ、その奴隷と契約をしてねぇぞ。」

「そんなもの、いらない。」


咲は即答すると少年を支えながら日が沈んだ都を歩いて行った。










咲は少年を気遣いながら元来た森の中に入っていった。

実は都に行く途中で廃れた小屋を発見していたのだ。

お金があったので宿にでも泊まろうと思っていたが予定変更だ。


流石に野宿は駄目だと、鈍い咲でもわかる。

色々と危険がある。

それにこの少年を看病しなくては

さっきから物凄く少年の体が熱い。

きっと熱がある。


暗い森の中を咲は恐怖心を抑えて何とか進んでいった。

そして目的地の小屋に着くと、咲は少年と共に中に入った。


埃っぽい部屋の中でランプを見つけ火を灯し、少年を薄汚れたベッドの上に寝かせた。


さぁ、少年の怪我の手当てと熱を下げる為の看病をしようというところで、気付く。


お金が一銭も無いと。

薬が食料が買えないと。


暫くの間呆然としていた咲だが頭を振って頬をパチンと叩いた。


「大丈夫!気合だ気合!」


一番大丈夫では無いのは咲であると突っ込める人がいないのが悲しい。

そうして、咲は薬草の知識なんてものは無いのに無謀にも薬草を探そうと、無謀にも夜の森に行こうと小屋を出ようとした時、己の異変に気付いた。


「……これは、一体?」


咲の視線の先には、掌から白い光が溢れ出る様子が。

異世界は本当に、不思議ふぁんたじーである。


不思議ふぁんたじーは続きます。

咲の口調が時々男の子っぽくなってしまいます。

次も読んでくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ