理不尽
楽しんで貰えたら嬉しいです。
咲とアルトはレイスティア王国の数名を連れてトゥレス王国へと向かっていた。
そのレイスティアの人間の中には勿論、シアもいる。
少し複雑な気分になりながらも咲は道中を進んでいた。
そして、その道中で一つ気がついた事がある。
獣人は、人間をもの凄く嫌っている者とそうでもない者で分かれているのだ。
因みにオレルはそうでもない者だ。
道中人間を嫌っている者の視線が咲とアルトに突き刺さる。
アルトはこの二ヶ月の間、咲が嫌な思いをしない様に守っていてくれたのだ。
だから、今まで気が付かなかった。
何か不吉な予感を感じながらも咲はアルトの温もりに体を預けていた。
トゥレスに到着した。
王国に入り、城に着くと入り口には偉そうな将軍っぽい人が立っていた。
その人はアルトと咲を不快そうに見やると鼻で笑った。
「貴様の様な人間が女王の計らいとは言え、トゥレスの軍を引き連れるとは世も末だな。」
その言葉に咲はムッとしたが、アルトは涼しげな無表情であった。
「女王様に呼ばれておりますので、これで。」
そう言って横を通り過ぎようとした時、咲の腕をその偉そうな獣人が掴んだ。
そして、驚くべきことを言い放った。
「待て、レイスティア王国の戦犯を何故、女王の元になど連れていくのだ。」
その言葉に咲もアルトも目を見開いた。
「何を言っているのですか?彼女は戦犯ではありません。彼女は私の大切な人です。」
その言葉を聞いて、その獣人は可笑しそうに嗤った。
「その女は敵国の兵士の傷を癒し、崩れかけていた軍隊を立て直し、我が軍に大きな痛手を与えた。それをやった人物を戦犯と言わずして何になる。」
舐める様な視線で咲を見つめるその獣人に寒気がする。
アルトはその視線から咲を庇う様に立つと珍しく激昂した。
「そんな暴挙、女王様が認める訳がない!」
その言葉を再び獣人は鼻で笑った。
「女王以外の全ての臣下は我に賛同しておる。いかに女王とて、それを無下にはできん……戦犯共を牢に放り込め。」
咲は強引にアルトから引き離された。
「咲!離せ!咲は戦犯ではない!やめろ!離せ!」
アルトは暴れるが他の兵士によって押さえつけられている。
咲は兵士たちに引きずられて行きながらも、又もやアルトと引き離される悲しみに涙を零したのだった。
咲とアルトの移動手段は馬です。
説明が無くてすみません。
次回も読んでくれると嬉しいです。




