アルトの決意
拙い作品ですが、ご容赦を。
右肩に鋭い痛みを感じ、アルトは目を覚ました。
見慣れない天井に戸惑う。
部屋を見回してもやはり知らない場所だ。
「……此処は一体?」
アルトがそう呟くと同時に扉が開いて、少年が入ってきた。
その少年を見て目を見開く。
何故なら、少年の頭には髪色と同じ色の犬耳が付いていたからだ。
少年はアルトに気付くとパッと笑った。
「起きたのか、人間。」
「君が私を此処まで運んでくれたのですか?」
その言葉に少年は頷いた。
「俺の名前はオレル。」
「私はアルト、オレル聞きたいのですが、此処にもう一人、人間が流れて来ませんでしたか?銀の髪が美しい……」
「その話は妾がしようかの。」
突如として現れた気配にアルトは驚いた。
そこにはフードをかぶった美しい女がいた。
「セキ様!」
「オレルや……お主はもう下がっておれ。」
それにオレルは返事をすると部屋から出ていった。
アルトはセキを見据えると少し強い口調で問う。
「知っているのですか?その人間のことを。」
「お主は勘違いしておるようじゃが……此処に流れてきたのはそなた一人ぞ。」
その言葉を聞いてアルトは悲しげに目を伏せた。
咲はあの後どうなったのだろう。
無事だろうか。
そんなアルトの心情を知ってか、セキは語る。
「だが、安心するが良いぞ……そなたの愛しい姫は生きておる。」
その言葉に、アルトは顔を上げた。
「どうして、そんな事がわかるのですか。」
「そなたが首に付けている飾りの宝石から、姫の命の輝きが感じられるからの。そなたが首につけておる飾りの中央の紫の宝石の煌めき、それは姫の命の輝きじゃ。その宝石の色が黒く染まる時が、姫の死を意味する。だから、今は大丈夫だろうて。」
その言葉に驚きアルトはチョーカーについている宝石に触れた。
「そして、妾はその宝石からそなたらの記憶を見た。如何やら大変な状況になっておるようじゃの……」
セキと呼ばれるこの女は一体何者なんだろうか。
「その宝石は女神の涙……如何やら女神は深く悲しんでおるようじゃ。愛する者たちを虐げられ悲しませられ、深く悲しみ憤っておる。」
アルトの心に疑問が浮かぶ。
どうやって女神の心までセキは知ったのだろう。
「人間……愛しき姫を救いたいかの?」
その言葉にアルトは目を見開いたが、すぐに頷いた。
それを見るとセキは微笑んだ。
「なら、我がトゥレス王国の軍人の一人として、共にレイスティア王国に攻め込まぬか?」
その突然の申し出に、アルトは逡巡したが頷いた。
「あの人を救い出せるのなら……何だって構わないです。元より、愛国心なんてものはありません。大切なのは咲ただ一人だけですから。」
寧ろ、あんな腐った国滅べばいい。
そんなアルトの様子を見て、セキは微笑んだ。
「そなたの魔法には目を見張るものがある故、期待しておるぞ。」
そう言ってセキは部屋を出ていった。
暫し呆然としていたアルトだったが、咲とのキスを思い出して頬を染めた。
嗚呼、咲、早く貴方に会いたい。
貴方が、他の誰かの腕の中にいると考えるだけで嫉妬で狂ってしまいそうだ。
アルトはチョーカーに付いている宝石を愛おしげに撫でた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




