絶望
拙い作品ですがご容赦を。
あれからどうやら寝てしまっていたらしい。
咲は体を起こすと窓の外を見た。
今はもう夜のようだ。
「アルトは今、何をしているのかな。」
寝ても覚めてもアルトのことばかり考えてしまう。
……アルトに会いたい。
そんな事を考えて暫しぼんやりしていた咲だったが、扉の外で物音がして、もしやまたシアが来たのかと身構えた。
だが、バンと突然ノックもなく開かれた扉の向こうから現れた人物を見て、咲は零れ落ちそうな程、目を見開いた。
「咲!」
そこには会いたくて堪らなかったアルトの姿があった。
「アルト!」
二人は引き寄せ合うように近付くと、互いに激しく抱きしめ合った。
咲は、どうやって城に忍び込んだのか、どうやってこの部屋に辿り着いたのか、そんな聞きたい事が沢山あったがその全てを差し置いて言いたいことあった。
「アルト……あなたを愛しているの。親愛ではなくて……女としてあなたを深く愛しているの。」
その言葉にアルトは抱きしめる腕に力を込めた。
「私も……ずっと前から咲、貴方だけを愛しています。深く深く愛しています。貴方は私の全てです……貴方が連行されていくのを見て、胸が張り裂ける思いがしました……でも、無事で良かった……」
どれくらいの時間そうしていただろう。
アルトが愛しげに咲の頬に触れると、咲とアルトは互いに見つめ合った。
「愛しているわ。」
「愛しています。」
二人は互いに愛を告げると唇を重ねた。
長い長いキスをした。
キスをし終えると何故か咲の首からチョーカーが勝手に取れた。
咲は不思議に思ったが再び自分の首に付け直そうとし、上手くいかない事に気付く
その為、咲はアルトの首にこのチョーカーを付けた。
すると、不思議な程簡単に付ける事ができた。
「アルトにあげる。」
そういうとアルトは困ったような、嬉しそうな顔をして、愛おしげにチョーカーに触れた。
アルトと咲は城の中から脱出しようと頑張っていた。
見張りは声も立てさせぬうちにアルトが倒して、二人でひっそりと城の中を進み、何とか出口を見つけようと必死だったのだが……
そう上手くはいかないものだ。
「待てー!」
現在咲とアルトは見つかって追われていた。
追いかけてくる兵士達が下から湧いて襲いかかってくるため、咲とアルトは階段を上に登っていくしか無かった。
そしてついに咲とアルトは城の天辺の時計塔にまで追い詰められた。
前方は兵士達、後方は闇が広がっていて、落ちれば海に真っ逆さまだ。
この高さから落ちれば命の保証は無い。
だが、咲は覚悟を決めた。
咲は何処までも愛おしげにアルトを見つめた。
「……アルト、一緒に死んでくれる?」
酷く残酷な言葉だ。
だが、アルトはそんな言葉も受け入れて、優しく微笑んでくれた。
「貴方と一緒に居られるのなら、天国でも地獄でも構いません。」
そうして引き寄せられるようにアルトの手を取り、時計塔から身を投げようとした瞬間
ーー鈍い音がした。
アルトの肩に弓が刺さったのだ。
ギリギリで咲の手がアルトの手を掴む前に、アルトは衝撃で塔から落ちていった。
咲は状況が掴めなかった。
「アルト!」
そして、咲も身を乗り出してアルトの後を追おうとしたその時、ガシッと腰を掴まれた。
忌々しげに其方を見るとシアがいた。
咲は暴れに暴れた。
「離せ!離せ!離せ!アルト……アルトー!」
だが幾ら暴れても、その腕から逃れる事は出来なかった。
深い絶望により咲の目から涙が止まらない。
アルト、待ってアルト
私を置いていかないで。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
暗闇に一人の女の絶叫が響いた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




