初めてされた告白
知り合いからの告白というのは、悠斗にとっては人生で初めてされたことで。
ましてや、例え頬であってもキスなんてものも当然初めてのことである。
だからこそ、その答えをすぐ出す事は出来なかった。
全く面識がない人から、いきなり告白をされると言う事はあったが。
関係性がないからこそ、断るときにはあまり躊躇いがなかった。
ただ、今回は違う。
幸い、授業開始を告げるチャイムが鳴った事で一旦保留にはなったのだが。
保留は保留でしかない。
いつかは、結論を出さなければならない。
悠斗は自分の心に問う。
黒綾瑞希のことが好きかどうか。
悠斗にとって、瑞希は大切な人だ。
ただ、それは恋愛感情ではない。友情だ。
例えば、藍莉と悠斗の間に、幼馴染という壁があるように。
悠斗も五人に対して何かしらの壁がある。
それを壊せるのは。壊して良いのは、一人だけ。
授業中も。休み時間も。
今日一日、悠斗は瑞希のことで頭がいっぱいだった。
まともにノートを取ることもできず、授業内容も全然頭に入っこない。
どうしたんだ俺と悠斗は頭をふるう。
そして昼休み。
完全に力が抜けている悠斗は、フラフラした足取りで学食へと向かっていく。
まさか、自分が黒綾瑞希に告白されるとか思ってもいなかったという動揺と。
返事はどうすればいいのかという戸惑いが同時に襲ってきている。
そんな時だった。
悠斗は後ろからぽんと誰かに肩を叩かれる。
それに体をビクンと震わせてから、ゆっくりと振り返るとそこには。
陽気な笑顔で「よっ」と言う涼香の姿があった。
そうだと悠斗は思いつく。
すると、悠斗は涼香の両肩をガシッと掴む。
「ひぇ!?」
見た目に合わない可愛らしい、高い声が涼香の口から出てくる。
「好き……」
「ひゃい!?」
まさかの告白に涼香の声はまた一段と乙女チックにものとなる。
「その、えっと、私も……」
と涼香が告白の返事をしようとした時だった。
「……ってどんな感情なんだ」
「は?」
「いやだから、好きってどんな感情なんだって」
聞こえなかったのか?と悠斗は涼香に言う。
それを聞いた涼香は、早とちりしてしまった自分と、そんな紛らわしい事を言ってきた悠斗に対する怒りが込み上げてくる。
「おい悠斗! 学食に行くぞ!」
「え、あ、ちょっと待ってよ」
言って涼香は、悠斗の手を引いて学食へと向かった。
遅くなってすいません




