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恋愛ロワイヤル~五人の恋する乙女は一人の男をかけて争う~  作者: 神村岳瑠
第一章・恋する乙女はゴールデンウィークで争う
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3Day:恋バナは唐突に

「……あの、なんか場違いがすぎませんかね?」


「安心したまえ。このレストランは私の親の会社の系列だ。誰も文句は言えない」


「そういう問題じゃないと思いますけど……」


 明らかに高級な雰囲気が漂うレストランに、悠斗は身を震わせる。

 周りで食事をしている人たちも、どこか上品というか。なんだか只者ではない雰囲気を醸し出している。

 まあ、簡単に言えばお金持ちが集まるようなレストランなのだろう。

 メニューを見てみても、その値段は他とは比べものにならないほどお高く。

 設定金額を目指して注文したくなるような、そんな感じのレストラン。


「まあ、君は安心して好きなものを頼め。大丈夫だ、金ならある」


「いや、別にお金は自分で支払いますよ」


 気まずそうな顔をしながらも、当然のように悠斗は言ってきた。

 

「なんだ?君も私と同類か?」


「同類ではないですけど。まあ、やらしい話になりますけど、お金には余裕があるんですよ」


「お小遣いが多いのか?」


「多いと言えば、まあ、平均よりは高いかもしれませんけど。それ以上に物欲があまりないので、お金が貯まる一方なんですよ」


「そうなのか。でも、君は本が好きって言っただろ?本買うのにとか使わないのか?」


「まあ、本は好きですけど。ほら、ライトノベルはうちの学校図書館で読めるじゃないですか」


「そうだな。私が置いた」


「だから、買うのって漫画だけで、それに俺は集めてる漫画の種類も少ないですから」


「そうなのか。でも、今日は払わなくていい。なんせ、実質無料で食べれるからな」


「え、でも、良いんですか?」


「遠慮するな。社長令嬢をなめてもらっては困る」


「いや、別になめてないですけど」


「さあ、注文は決まったか?」


 メニューを見ながら、瑞希は悠斗に聞く。


「決まりましたせど……先輩、メニューが反対ですよ?」


「ん?ああ、言われてみればそうだな」


 まあ、この時の瑞希の心の中は言わずもがな。

 どうしたんだろうと、困惑の表情を浮かべながらも、悠斗はメニューを閉じて元の位置に戻す。

 これを見ると瑞希は手をあげ、店員を呼んだ。

 さすが、社長令嬢と言うべきか、既に店員にも黒綾瑞希の存在はバレているようで、一瞬で店員が注文をとりにきた。


「私はこの、オマールエビとイカのパエリアを頼む」


 パエリアなんて初めて聞いたと悠斗は驚いた。

 いや、別にパエリアは庶民も食べるような気がするけど。

 今度は、店員の視線が悠斗へと向けられる。

 

「じゃあ、俺はこの黒毛和牛のハンバーグをお願いします」


 流石に、遠慮よりも欲が勝ってしまった悠斗。ストップと書かれた手形をドンとテーブルに出したくなるのを我慢して注文を終わらせた。

 そして、このハンバーグが悠斗の今まで食べたもので美味しいランキングのトップ3に食い込んだとかなんだとか。


* * * * * *


 一方その頃、平沢藍莉ペアはと言うと。

 周りを見比べても、違った輝きを放つレストランの前でぼーっと突っ立っていた。


「なあ、あの二人。このレストランに入ったよな」


「そうね。入ったね」


「どうする?私たちも入る?」


「無理でしょ。現実的にも、服装的にも」


「ドレスコードとかあるのか」


「そりゃあるでしょ」


「でも、秀刀も生徒会長も普通の格好だったぜ?」


「あんた知らないの?黒綾財閥」


「知らん。なんだそれ」


「簡単に言えば、黒綾家はすごいお金持ちで、言っちゃえばこのレストランも黒綾家のものなの」


「やべーなそれ」


「軽いわね」


「いや、驚きすぎてあまり感情が乗らないパターンだ」


「そうは見えないけど」


「じゃあ、二人が出てくるまで待つか?」


「ま。そうなるわね」


 二人は深いため息をつくと、近くにあったベンチに腰をかける。


「あんたさ、なんで悠斗のこと好きなの?」


 急に始まった恋バナ。

 流石女子高生だ。恋バナを始めるまでの隙がない。


「は?なんで教えなきゃいけないんだよ」


「気になっただけよ。あいつ、あんまり良いとこないよ?」


「そうか?」


「そうよ。なんかクール気取ってるし、笑顔苦手だし、私のことなんか避けてくるし……」


「それは藍莉のせいじゃん」


「でもさ、やっぱり好きなんだよね。こちとら、保育園の頃から片思いしてるって言うのに」


「逆になんでそこまで告白しないで入れたの」


「何回か言おうとしたことあるけどさ、なんかダメだったんだよね。それに、あいつ女の友達とかいなかったから、ちょっと油断してたのかも」


 その表情は後悔だった。

 あの時に告白できていれば、もしかしたら違った未来があったのかもしれない。

 そんな、もしもの可能性をいつも夢に見る。

 それは、言ってしまえば悪夢だ。

 まるで違う自分が見せつけてくるように、悠斗との幸せを演じている。

 いつまでも素直になれない自分を、嘲笑うかのように。

 

 

 

 

続きは明日

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