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恋愛ロワイヤル~五人の恋する乙女は一人の男をかけて争う~  作者: 神村岳瑠
第一章・恋する乙女はゴールデンウィークで争う
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3Day:後ろの二人

「それで、さっきの話の続きだが。私はラブコメを読むぞ」


 瑞希に合わせるように隣を歩く悠斗。

 目的地を聞かされないまま、ただ迷うそぶりもなく進んでいく瑞希を見て、どこに連れてかれるんだろうという、ドキドキ感に胸を震えさせている悠斗に瑞希が会話を始める。


「へー。それは、なんというか、意外ですね」


「そうか?私は結構、オタク趣味を持っているタイプだからな。君はどうなんだ?」


「はは。俺は友達がいないんでね。自然と、休み時間の過ごし方が読書になるんですよ」


 がっくりといった感じで項垂れる悠斗。

 自虐的な発言だが、これは瑞希にとってはとても大きいことだった。

 趣味が同じ。これは、話が合うに違いない。

 今回のデートは、楽しくなりそうだと。余裕の笑みを浮かべながら瑞希は思う。


「うちの高校の図書館は、ライトノベルも取り揃えているからな」


「それ、先輩が図書館に置いたんでしょ?生徒会長って権限を使って」


「権限ってのは使える時に使わないと損だぞ?」


「まあ、そうかもしれませんけど。あんまり変なことしないでくださいよ?」


 悠斗が不安に思うのも仕方がない。普段から、何を考えているか想像がつかない瑞希。

 故に、何をしでかすかも分からないということ。リナリア高校は、生徒会の意見を尊重する傾向がある。言って仕舞えば、瑞希が提案したことは、100%と言っても良いほど、確実に採用される。

 なんだろうか。嫌な予感しかしない。


「私は生徒会長として、全生徒が有意義な青春を送れるように努力するだけさ」


 言って瑞希は、後ろを気にする悠斗に気づかれないように、不穏な表情を浮かべた。

 生徒会長という地位を持っている瑞希。今後が楽しみだ。


* * * * * *


 一方、そんな悠斗と瑞希の後ろを、こそこそと追っている者がいた。


「ちょ、二人くっつきすぎ!何よあれ、なんでうちの生徒会長と悠斗が」


「知らねーし。勝手に巻き込むなし、一人でやってろし」


「とか言って、ちゃっかり付いてきてるのはあんたじゃん」


「藍莉が誘ったんでしょ。というか、あの二人の後をつけてどうすんだよ」


「どうするっていうか、気になるから付いてるだけよ」


 そこにいたのは、神里藍莉と平沢涼香だった。

 どこからか、悠斗と瑞希がデートをするという情報を掴んだ藍莉が、平沢を誘って後を付けに来た。

 藍莉の格好は、まるで部屋着のような灰色のパーカーに、本人は変装のつもりなのかもしれないが、顔には伊達メガネをつけている。

 平沢は変装とかなんもしてないが、オシャレというものに全く興味がない故、真っ黒のパーカーに、頭にはそれっぽい帽子をかぶっている。

 

「あんた。もうちょっと女子高生っていう自覚を持ったらどう?」


「それ、藍莉に一番言われたくない。なんだよその格好。パジャマじゃん」


「私はね、これも含めて変装なの」


「変装ねぇ。多分、秀刀に見られたら一発でバレると思うぜ?」


「それはそれで、なんだか嬉しいからアリ」


 真顔でグッと親指を上げながら藍莉は言う。

 それを見て、友達には、素直になれるのかと平沢は思う。


「本当。めんどくさい性格してんな」


「あんたもね」


 二人は見つめ合った。互いに、その表情は穏やかな笑みで。

 周りの人からしたら、友達同士にしか見えない。

 実際、二人は友達だった。


「って!悠斗がいない!?ちょっとあんた、さっさと追いかけるよ!」


 慌てて叫んで、藍莉は平沢の手を掴んで走り出す。

 それはまるで、子供の頃にした探偵ごっこのようで。


「分かったから、引っ張んなって!」


 この二人が、一人の男を取り合う敵同士だって、誰が思うだろうか。

 少なくとも、今の感じは友達という関係を超越した、親友のように見える。

 どうやら昨日と一昨日で、二人の関係性に変化があったらしい。

 その時の出来事を語るのは、今ではないだろう。


 

 

 

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