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恋愛ロワイヤル~五人の恋する乙女は一人の男をかけて争う~  作者: 神村岳瑠
第一章・恋する乙女はゴールデンウィークで争う
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3Day:待ち合わせ

 ねむってしまえば、次の日なんてあっという間に来てしまって。

 悠斗はソワソワしながら、駅前で瑞希を待っていた。

 悠斗にとっては、デートらしいデートは初めてで、どうすれば良いかとスマホでその手の記事を読んでいる。

 そこに書いてあるのは、とてもロマンチックなものばかりで、とても悠斗にはそんなことを実行する勇気がなく。

 あくまでも恋人のフリなわけなので、キスとかはしないし。

 やるとしても、手を繋ぐが精一杯だろう。

 それと、悠斗はもう一つ心配していることがあった。

 それは、誰か同じ学校の人に見られるという可能性だった。

 それもそうだ、悠斗は友達こそいないが、ある程度の女子には人気があるほどに容姿は優れている。

 それに、そのデートの相手があの美人な生徒会長だということ。

 一瞬で噂が広まるに違いない。

 そうなって仕舞えば、まあ、瑞希的には噂が広まった方がいいんだろうけど。

 悠斗は、より一層学校で注目される存在になるかもしれない。

 ただでさえ、他の人からはクールで近寄りがたい存在という印象が一人歩きしている状態。

 まあ、悠斗は同性の友達を作るのを、諦めてる部分はあるんだけど。

 そんなことを考えていると、悠斗の視界の奥に人一倍輝きを放つ一人の少女が歩いてくる。

 悠斗は、一瞬で黒綾瑞希だと分かった。オーラが違う。

 ふくそうは、お嬢様らしからぬ庶民的な格好ながら、やはり元が良すぎる故、そんな庶民的な服でさえも、どこかの高級ブランドの服に見えてしまう。

 姿勢を正し、余裕の笑みを浮かべながら悠斗に向けて歩くその姿は、本当にお嬢様のようで。

 今すぐ目の前に行って、ひざまづいてしまいそうになるほど。

 というか、ひざまづいていた。

 地に膝をつけて、悠斗は瑞希が来るのを待っていた。

 その姿は、本当にお嬢様とその執事のようで。ここに来て、悠斗の絶妙なイケメンさがいい味を出している。


「……君は、何をしているんだ」


 そんな悠斗を見て、瑞希は珍しく困惑の表情を浮かべて言う。


「あ。いや、違うんです。なんか、そんな雰囲気だったんで」


 瑞希に言われて、我に返った悠斗。

 まあ、瑞希が困惑するのも無理はない、待ち合わせ場所に行ったら、相手がひざまづいて待っていたんだ。本物のお嬢様でも困惑するだろう。

 いや、どうなんだろう。本物のお嬢様を知らないから詳しくは言えないけど。


「まあ、何はともあれ。待たせてすまなかった」


 長い黒髪をサラッとなびかせると、いつもの余裕の表情に瑞希は戻る。


「いや、先輩が謝ることないですよ。まだ待ち合わせ時間にもなってないですし。俺が早く来すぎただけです」


 それを聞くと、瑞希は少し不満そうな態度をとる。


「恋人ならそこは、今来たところって言うべきなんじゃないのか?」


「え、いや、確かに。あはは、嘘をつくのは良くないと思いまして」


 愛想笑いをしながら、誤魔化すように悠斗は言う。


「まあ、私はラブコメで読んだ知識しかないがな」


「先輩って、ラブコメ読むんですね」


「時間の無駄だ。その辺の話は、移動しながら行うとしよう」


 気がつくと、周りの視線は悠斗と瑞希に集まっていた。

 それも仕方がない。これだけの、美男美女のカップルだ。男子も女子も見惚れてしまうだろう。

 それを気にして、瑞希は移動しながら話すことにしたのかもしれない。

 ただ単に、言葉通りの時間の無駄を嫌う性格なだけって可能性もあるけれど。

 そんな感じで、悠斗と瑞希のデートは始まった。

 その後ろに、後をつけている者がいるとも知らずに。

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