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恋愛ロワイヤル~五人の恋する乙女は一人の男をかけて争う~  作者: 神村岳瑠
第一章・恋する乙女はゴールデンウィークで争う
15/34

1Day: finish

「見つけた」


 それは、三人がファミレスでご飯を食べた後、のんびりと座って雑談をしていた時。

 はあはあと、肩で息をしながらとても怖い顔を浮かべて走ってきたのは、神里藍莉だった。


「藍莉じゃん。帰ったんじゃないの?」


「は?私がいつ帰るって言ったのよ!!」


 藍莉の感情は怒りで埋め尽くされている。

 ただでさえ、目が合うだけでゾッとしてしまうのに、今の藍莉を前に、流石の愛倉と瑞希も動揺を隠し切れていない。


「ど、どうするんすか。来ちゃいましたよ幼馴染」


「そうだな。まあ、ここで私たちが取るべき行動は一択だろう」


「そうですね」


 二人が考えることは同じ。いや、誰がこの状況でも考えることは一つだろう。

 悠斗を連れて、


「「逃げる!!」」


 そう叫んで、悠斗を連れて走る二人。釣りは要らないとレジにいた店員に、瑞希が一万円札を渡していたのは褒めるべきなのか……。

 運動神経が特別高いわけではない藍莉は、女子高生の平均より少し上の体力しかないため、ショッピングモールをほぼ一周走り回った後に、逃げていく人を追いかける気力があるわけもなく。

 愛梨の思考は、次というものに変わっていた。


「あいつら。必ずやり返してやる」


 その瞳は燃えていた。そして誓う。必ず、悠斗を自分のものにして見せると。

 それを、バイト中の平沢は陰から見ていた。


* * * * * *


 次第に、息が切れてくる三人。

 ここまで来ればいいだろうと、瑞希が言った後三人は止まる。

 

「というか、藍莉帰ってないじゃないですか!」


 息を整えた後、悠斗は若干怒り気味で瑞希に対して言う。


「いや、まあ、そんなことより。君に言いたいことがある」


「言いたいこと?」


 あからさまに話を変えられたことを不満に思うも、瑞希の言いたいことというものが気になってしまい、悠斗はつい聞き返してしまう。


「いや、その前に」


 言って、瑞希は隣で喋れないほどに息を切らす愛倉の方に体を向ける。


「愛倉悠輝よ。君との共闘は、まあ、楽しかったと言っておこう。ただ私は、共闘するとは言ったが、その時間は指定していない。故に、ここで私はお前との共闘をやめる。約束は忘れないでくれよ」


「え、ちょ、何を言って……」


 愛倉の表情が、歪んでいく。この先に起きることを察したからだ。

 瑞希の、勝ったと言わんばかりの表情。それは、悠斗には見えないように愛倉だけが見ることができた。


「では、秀刀悠斗よ……」


「な、なんですか?」


 悠斗が感じるのは、ただならぬ雰囲気。オーラ。

 瑞希が纏うのは、闇そのもの。この一瞬、瑞希の本性が出たのかもしれない。

 彼女は、とんでもないほどに性格が悪く、腹黒い。

 それを、悠斗が知るのは、いつになるのだろうか。

 それとも、その天才的な演技で瑞希が隠しとうすことができるのか。

 それは、誰にも分からない。


 瑞希は、悠斗の腕をガッと掴むと、さっきまでとは非にならないほどの速さでショッピングモールを駆け抜けていく。

 愛倉悠輝を、その場に残したまま。


* * * * * *


「さて、ここまで来ればいいだろう」


「よ、良かったんですか?愛倉は」


「ああ。なんか、疲れたんで帰りますって言っていたような気がする」


「そ、そうなんですかね……」


 納得がいかなくても、納得するしかない。愛倉がいた場所から、とても離れた場所まで来てしまった。

 それに、瑞希のあのスピードで走りまわされたんだ。

 そんな体力が残っているわけがない。


「まあ、いいだろう。あいつは」


「先輩って、愛倉と知り合いでしたっけ?」


「知り合いと言えば、知り合いだな」


「そうですか。なら、仲良くしてあげてください。あいつ、友達作るのとかすごい苦手なんで」


 少し、照れくさそうに悠斗は言った。

 そのとき思い出したのは、愛倉と初めて会った時のことだった。

 それを語る時は、今ではないだろう。


「ふふ。実に、君らしい願い事だな。ま、多分。あの子とは、それなりの付き合いになりそうだよ」


「なら、良かったです。……それで、さっき先輩が言ってた言いたいことってなんですか?」


「ああ、そうだったな。前に、君にゴールデンウィークの予定を二日ほど開けといてくれと言ったのは覚えているか?」


「覚えてますけど」


「じゃあ、明日と明後日。私に時間をくれ」


「明日と明後日ですか。いいですよ!」


「そうか。じゃあ、詳細は追って連絡する」


「わかりました……って、もうこんな時間!?」


 悠斗の視界に入った時計の針は、17時を指し示していた。

 外は、すでにオレンジ色に染まり切っている。


「確かに。帰るにはいい時間だな。じゃあ、私はここらで失礼するよ」


「あ、はい!明日と明後日は楽しみにしてます!」


「ああ、私もだ」


 こんな感じで、悠斗のゴールデンウィークの一日目は幕を閉じた。

 でも、この時の悠斗は知らなかった。明日と明後日で、黒綾瑞希との関係が、劇的に変わるということを。






 



 

明日から二日目です。黒綾瑞希中心になります。

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