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恋愛ロワイヤル~五人の恋する乙女は一人の男をかけて争う~  作者: 神村岳瑠
第一章・恋する乙女はゴールデンウィークで争う
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1Day:刺客

「あんた強すぎ。ちょっとは、手加減してくれても良かったじゃん」


「いや、藍莉に手加減したら負けるから。というか、手加減しなくても負けるし」


 ゲームセンターを後にした二人は、先ほど熱戦を繰り広げたエアホッケーの感想を言い合っていた。

 結果は、会話から察する通り悠斗の勝ち。だが、スコアは十対十一と接戦で、白熱した勝負を行っていた。


「というか、あのゲームに制限時間とかあったんなんて知らなかったし。それ知ってたらもうちょっと意識してやってたのに」


「いや、制限時間なしだったら無限にやれちゃうじゃん」


「そこはさ。何点取ったら終わりとか、そんな感じのシステムがあると思ってたわけ私は」


「そうですか。じゃあ、また来た時に再戦と行こうぜ。今日はもういいだろ」


「……」


「どうした。なんだ、俺の顔になんかついてるか?」


 藍莉は驚いた顔で、悠斗の顔をじっと見つめる。


「い、いや、また一緒に来てくれるの?」


 照れ隠しをするように俯きながら、呟くように言った藍莉。

 珍しいと言っていいのか、ツンデレの性格が顔を出さなかった。

 本人は無意識だろうが。これは、大チャンスと言っても過言ではない。


「え、別に、藍莉が良いなら。俺は良いよ」


 特に恥じることもなく、淡々と悠斗はその言葉を口にする。

 鈍感と言うべきか……悠斗と藍莉の間にある、幼馴染という巨大な壁が邪魔をする。


「わ、私は、また悠斗ときたいな」


「い、いや、それは別に良いんだけどさ。もう既に次の話をしてるけど、まだ時間は一時とかだからね?これ、多分帰り際とかにする会話でしょ?」


「そ、そうね。あはは、なんだかお腹空いてきちゃった。昼ごはん食べに行こ」


 かれこれゲームセンターで三時間以上遊んでいた二人。

 時間忘れて遊んだその瞬間は、まるで小学生の頃に戻ったようで、二人はとても懐かしい気持ちになっていた。

 昼ごはんを食べに行こうと言った藍莉、先ほど貰ったこのモールの地図を見ながら頭をひねる。


「なに食べる?藍莉の好きなもので良いよ」


「それ。なに食べるの相談してる時の一番困る言葉、なんでも良いよ。とほぼ同じ意味だからね」


「いや、そういうつもりじゃなかったんだけど」


「それは分かってるんだけど。今日はあんたの好きなもので良いわよ。えっと、まあ、このぬいぐるみのお礼も兼ねて」


 言うと、藍莉は胸元でぬいぐるみを両手でギュッと抱きしめた。

 俯きながら、頬を赤らめる姿は恋する乙女のそれ。


「そう?じゃあ、遠慮なく。選ばせてもら……」


 地図を見ながら、鼻歌に乗せながら発したその言葉を。悠斗は最後まで言うことができなかった。

 気づくと、自分の体が二人の誰かに引っ張られてる感覚。

 片方の手を一人ずつに掴まれ、走ってどこかに連れてかれる。


「愛倉悠輝よ。もっと頭の良い作戦は思いつかなかったのか」


「こんな見た目の人が。頭良い作戦を考えられると思いますか?」


「確かに。君に期待した私が浅はかだったよ」


「へー。期待してくれてたんですか。それは、とても光栄ですねっと」


「いや、ちょっと待って。どういう状況なのこれ。俺は今どうなってるの!」


「先輩。なんだか久しぶりですね!」


 後ろを振り返り、あざとく挨拶する愛倉。


「は!?なんでお前が……」


「ほんと。私はあまり運動が得意ではないのだから。もっとペースってものを考えてはくれまいか」


「って!?黒綾瑞希先輩!?」


 疲れたと言わんばかりの表情を浮かべながら、悠斗の手を掴んで走る瑞希。

 ただ、悠斗の腕を掴む力はとても強く。悠斗が振り解こうとしても離れないほど。

 

「ほほう。君が私をフルネームで呼ぶとは。相当焦っているようだな」


「焦るも何も……どこまで走るんですかぁーーーーー」


 一方、悠斗を連れ去られ一人で置いてかれた藍莉は、未だその場から一歩も動けずにいた。

 すると、頭上にひらひらと紙切れが舞い落ちる。

 それを、両手で受け止めるように拾って、中身を見ると。


「あなたの好きな人は頂いた。byあなたの好きな人が好きな後輩」


 その紙を、一瞬で粉々に破ると。


「どういうことだあああああああ!!!!!!!」


 藍莉は、心の底から腹の奥から思いっきり叫んだ。

 人の目を気にすることもなく、ただただ湧いてくるは怒りのみ。

 そして藍莉は心に決める。


「必ず悠斗を取り戻す」

次で一日目は終わりです。明日公開します。

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