1Day:先輩と後輩はカフェで待つ
一方その頃、ショッピングモールでは。
「それで、なんで貴方がいるんですか。黒綾先輩」
「それは、今私が飲んでいるコーヒーよりも大切なことか?」
そこは、ショッピングモールの中にある有名なカフェ。
黒綾瑞希と、愛倉悠輝は二人用テーブルに座りコーヒーを飲んでいた。
「大切ですよ!そもそも、なんで私と貴方が一緒に朝からコーヒーをすすっているんですか!」
「元より、私が一人でコーヒーを嗜んでいるところに、鬼のような形相でやってきたのは君だろ」
「そうですけど!そうじゃないんです!私、この前宣戦布告しましたよね?」
「そんな事もあった気がするな」
「なのに、なんで私たちはこんなにも距離が近いんですか!なんですか、ライバルと書いて友と呼ぶ的なあれですか!?」
「まあまあ少し黙りたまえ。コーヒーが冷めてしまうだろう」
「ってか、コーヒー飲み終わるのに時間かかりすぎでしょ!?先輩来ちゃいますよ!?」
「ふーん。なんで君は、ここに秀刀悠斗が来るっていうのを知っているんだ」
それは、一種の試練のようなもの。
瑞希はこの質問で、愛倉の考え方を知りたかったのだ。
「簡単な話ですよ。今日はゴールデンウィーク初日。誰も、先輩と事前にデートの約束をしてないのは知ってました。まあ、私も勇気がなくて誘えなかったんですけど……。だから、みんな今日先輩をデートに誘うしかないんですよ。それで黒綾先輩。先輩に、幼馴染がいるのは知ってます?」
「ああ、神里藍莉と言ったか。あれは、手強い相手になりそうだな」
「そう。その人は、聞いた話によると先輩と家がすごく近いらしいんですよ。だから、一番最初に誘えるのはその幼馴染さんなんです」
「でも、電話やメールで事前に誘うことはできたはずではないのか?」
「そんな勇気があったら、最初から誘えてますよ」
モジモジと頬を赤らめる愛倉を見て、瑞希はさらに疑問に思う。
「でも君は、普段から秀刀悠斗に頻繁に抱きついたり色仕掛けのようなことをしているではないか。あれだけの勇気があって、なぜデートに誘えない」
「あれは、その場のノリというか。結構、勢いでやっちゃってるので……実際、先輩と離れた後はいっつも恥ずかしくなって誰もいないところで蹲ってます」
照れ臭そうにいいながら、えへへ〜と笑う愛倉。
それを見た瑞希は、不思議と穏やかな笑みを浮かべていた。
「それで、さっきの話の続きを聞かせてくれ」
「さっきの……ああ、なんでここに先輩が来るのかってやつですか。後は簡単ですよ、この町で人気のデートスポットと言えばこのショッピングモールです。それに、あの幼馴染さんの性格から考えるに、あの人が事前にデートプランを考えてるとは思いませんし、何よりこの町にはこのショッピングモールしか遊べる場所ってのはないですからね」
「田舎だもんな。この町」
「ですね。私も先輩とデートする時のために、隠れデートスポットを探さないと行けません」
「ふふ。まあ、頑張りたまえよ」
「……って!なんで私は貴方にこんな話をしているんですか!」
「うわっ。なんだ、いきなりうるさい奴だな」
「うるさくもなりますよ!なんで私が、敵である貴方に……」
「そんなことより、あそこ」
言って、瑞希は見向きもせずに自分の後ろを指差した。
それは、愛倉にとっては正面で。その指の指す方には、今日、二人がこのショッピングモールに来た理由であり、目的。藍莉と悠斗の姿があった。
夜にも投稿します




