1Day:これがいわゆる……
ちゃんとした格好に着替え、出かける準備を整えた悠斗。
上がって良いよとは言ったものの、申し訳ないから玄関で待つと言った藍莉を長く待たせる訳には行かず(色々と怒らせたら怖いので)。
若干の焦り気味で、悠斗は階段を降りていく。
念のためと、洗面所の鏡で自分の顔を確認しに行くと……。
上半身裸の菜乃葉がいた。
「に、に、に、に、に、に、に、に、に、に、に、に、兄さん!?」
「え、いや、ご、ごめんなさい!」
悠斗の脳に残るのは肌色だった。成長が遅めの見た目に合った、小さい胸。
横を向いてたため、詳しく目にすることはできなかったが。
そもそも、すぐ目を逸らした悠人には、そんな詳しく見る時間はなかった。
両手に服を持っていたので、着替え中だったのだろうか。
なんにしろ、不幸なことに変わりない。
いや、もしかしたら、菜乃葉にとっては不幸じゃなかったのかもしれない。
これは、自分を異性として意識させることができる布石。
何かのきっかけになりうる出来事。
まあ、今の菜乃葉は不幸だったとしか思って無さそうだけど。
「見られた。見られた。兄さんに私の体が見られた。最初に見せるのは、もっとボンキュッボンな感じになってからって決めてたのに!」
いわゆる、ラッキースケベというやつに、初めて遭遇した悠斗であった。
* * * * * *
「どうしたの悠斗。顔が赤いけど」
玄関へ行くと、待っていた藍莉が悠斗の顔を見て言う。
「家族と言えど、俺たちは義理だ。あんな状況で、冷静でいられるはずがない」
藍莉に聞こえるか聞こえないか微妙な声で、ボソボソと呟く悠斗。
案外、悠斗が菜乃葉を異性として意識するのは、簡単なのかもしれない。
まあ、どれもそれも菜乃葉自身が行動しないと意味がないのだが。
果たして、あのヘタレで卑屈な菜乃葉に自分から行動が出来るかどうか。
「何言ってるの悠斗。ほら、行くよ」
まあいっかと言わんばかりの、あっさりとした声で藍莉は悠斗の手を引く。
それは、まるで小学生や保育園の時に二人で遊んだあの頃のようで、悠斗はとても懐かしい気持ちになっていた。
「それで、どこに行くの?」
そう、悠斗が言った瞬間だった。
藍莉の足が、ピタッと止まる。それはつまり、手を引かれてる悠斗の足も止まるということ。
藍莉の焦ったような表情から、悠斗は今の状況を察する。
「え、もしかして、どこに行くかも決めてない?」
「わ、私だって、本当はちゃんとプランを決めようと思ったんだけど、昨日の夜に悠斗とデートに行くんだー!って思ったら、それで頭がいっぱいいっぱいになっちゃって……」
「いや、全然なんて言ってるか聞こえないんだけど」
やはりツンデレ。今のセリフが聞こえてたら、どれだけ悠斗を意識させることができたやら。
もし藍莉の性格が素直だったら、とうの昔に勝負は決まっていたと言っても過言ではない。
まあ、それも、こんな状況になってしまってるのも、藍莉の自業自得と言わざるを得ない。
彼女が素直になれる日が、来ることをただただ祈る。
「とりあえず!ショッピングモールに行くよ!」
「お、おお。まあ、あそこに行けば何でもあるしな」
こんな感じで、藍莉と悠斗はショッピングモールへと出かけることになった。
続きは明日投稿します




