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LOVE奪取  作者: AuThor
17/20

別れ話

冷夏と陽太は電車で隣町に行き、一本道を歩いていた。


冷夏が足をくじいてしまったと言ったので、ゆっくりと2人で歩く。


すると、一人の若い男が2人の横を通り過ぎていき、石を大きな屋敷のような建物に投げる。


ガラスが割れ、若い男は全力で走っていく。


陽太は驚き、ただ茫然としている。


ガラスが割れた窓から男たち体を乗り出して外を見る。


「おい! そこ動くな!」

怒鳴り声が降ってくる。


堅気でないような風貌の男たちを見て、陽太は凍り付く。


「和村さん、逃げよう!」

必死な顔で陽太は言う。


「私は走れないわ。波木さんだけでも逃げて! あきらかに堅気じゃない人たちだわ!」


「置いていけないよ!・・・」

陽太は首を振る。


「波木さん・・・」

冷夏は陽太を見つめる。


そして、数人の強面の男たちが陽太たちの近くに来た。


「ちょっと、中で話を聞かせてもらおうか?」


「あの、俺たちじゃなくて、別の若い男性が石を投げこんで!」

陽太は必死な表情で弁解する。


「わかった、わかった。とりあえず、中で話を聞かせろ」

男たちは陽太と冷夏を屋敷の中に連れていく。


陽太は生きた心地がしなかった。


陽太と冷夏は屋敷の奥の一室に連れ込まれて、それぞれ体を2人の男に抑えられている。


そこには十数人の強面の男たちがいる。


「で? 何で石を投げこんだ?」

威圧するように男が聞く。


「いや、俺たちじゃなくて、別の若い男が投げ込んで」


「質問に答えろ。何で石を投げこんだ?」

男は陽太に近づいていく。


「・・・・・・」

陽太は何を言っても無駄だと感じ、無言になって固まる。


男は陽太の財布から保険証を抜き取り、読み上げる。


陽太は華と雛の姿が頭をよぎり、凍り付く。


「先に言っとくが、おまえはもう助からねえ。問題は家族の命をどうするかだな」


「・・・何でもします。家族には何もしないでください」

陽太は懇願する。


「家族の命もねえな、こりゃ」


「お願いします。それだけは」

陽太は涙目になる。


「問題は姉ちゃんだな。結構いい顔してやがる。俺の女になるなら命だけは勘弁してやるが?」

冷夏を見る男。


「私は、あなたの女になる気はありません。でも、彼と彼の家族の命を見逃してもられるというのなら、あなたの女になります」


「和村さん・・・」

陽太は冷夏を見る。


「ほう」


「俺は生意気な女は嫌いなんだよ」

冷夏に近づく。


「なら、あんたの命を差し出せば、その男と家族の命は勘弁してやるよ」

男は拳銃を取り出して、冷夏に向ける。


「・・・構いません。それで波木さんを見逃してもらえるなら」


「だめだ! 和村さん! お願いします、本当に何でもしますから!」

陽太は叫ぶ。


「じゃあな、姉ちゃん」

男は拳銃を冷夏の頭の近くにもっていく。


冷夏は顔をそらして、目を瞑る。


「やめてください!」

陽太は叫ぶ。


「ふっ・・・・」

男は少し笑う。


「俺は生意気な女は嫌いだが、肝っ玉のある女は大好きなんだよ」

男は拳銃をおろす。


「姉ちゃんに免じて、その男と家族の命だけは勘弁してやる。ただし、何事もなく帰してやるつもりもねえ」

男は陽太に近づく。


「姉ちゃんが自分より大切なものはこの男だろ? この男にとって自分より大切なものは家族だ。なら、それを失ってもらう」


「離婚しろ。そして今後、家族と一切関わるな。それで手を打ってやる」

男は陽太に向かって言う。


「・・・・・」

陽太は無言になる。


「嫌か? なら、みんな助からねえな」


「・・・わかりました」

陽太は苦渋の表情をする。


「なら、今から電話して不自然でないように離婚を切り出せ。もしばれたら全員どうなるかわかってるよな?」


「はい」

陽太は震えた声で返事する。


「理由はこうしよう。好きな女ができたから別れてくれ、離婚届は郵便で送る。養育費は支払うから安心してくれ、もう会うことはない」


「姉ちゃんはそっちのノートパソコン使って、その男が自然な感じで話せるように文章打ち込んでサポートしてやれよ。もし家族にばれたら、おまえたちの命はないからな」


冷夏はノートパソコンにメモ帳を開く。



陽太は華に電話をかける。


「もしもし?」

華は電話に出る。


「俺、陽太だけど」


「わかってるわよ。どうしたの?」


冷夏がパソコンを打ち込み始め、それを陽太が読み上げる。


「・・・ごめん・・・好きな人ができたんだ。離婚してくれないか?」

陽太は苦渋の表情で言う。


「え?・・・何?・・・冗談?」


「冗談でこんなこと言わないよ・・・本当にごめん。その人と結婚したいから別れたい。どんな顔して会えばいいかわからないし、離婚届は郵便で送る」

陽太は険しい表情で読み上げる。


「ちょっと待って! どうしたの?」

華は混乱した声を出す。


「その人と一緒に暮らすから仕事は辞めるけど養育費は毎月、振り込むから。本当にごめん」

陽太は拳を握りしめて読み上げる。


「ねえ、直接会って話そう。 意味わかんないよ」

華の震える声がする。


「ごめん。もう会いたくない。話すのもこれで最後にしたい。本当にごめん」

陽太は歯を食いしばりながら読み上げる。


冷夏が打ち込むメモ帳の指示通り、電話を切り、スマートフォンの電源をオフにする陽太。


「まあ、不自然じゃねえな。じゃあ、次は仕事場に退職の電話だ。家族とつながる可能性のあることは認めないからな」


陽太は勤務先に電話して、退職願を郵送で送ると言い、一方的に電話を切る。


「もし、今後家族とつながりをもつようなことをしたら、お前たちの名前もわかってるし、家族もわかってる。全員、命はないからな。警察に言っても、他のやつらが報復するから馬鹿なことはやめとけよ」


「家族の方にも定期的に見張りをつけるから、それが発覚した時は覚悟しろよ」

男は念を押すように言う。


「はい」

陽太は目を固く瞑る。


陽太と冷夏は屋敷から解放される。


その2人を遠くのビルから双眼鏡で見ていた仁は、冷夏からの着信音が鳴ったと同時に、別の携帯電話で電話をかける。


「東さん、今回もばっちりです。明日、お金を振り込んでおきます」

仁は笑顔で話す。


拠点に仁が帰って、数時間後、冷夏も帰ってくる。


「最終段階クリアだね」

仁は笑う。


「ええ。今日から陽太さんと一緒に暮らすから、もうここには来ないわ」


「今、夫はどこにいるの?」


「私の家の中」


「一人にして大丈夫なの? 華さんに連絡とかされない?」


「ばっちり対策済みよ」

冷夏は笑う。


「でも、夫の方は逃げなかったよね」

仁は思い出すように言う。


「ええ。ますます惚れちゃったわ」

冷夏はうれしそうだ。


「姉ちゃんのそんなうれしそうな顔を見たの、いつ以来だろう」


「あたりまえでしょ。本当に欲しい男が手に入ったんだから」

冷夏は微笑む。


「よかったね」


「ええ。あとは明後日に爆弾送れば、華さんとやらも落とせるでしょ」


「ああ」


「じゃあ、もう行くわ。私は依頼を完遂したから」


「あとで、成功報酬はメールで送っとく」


「わかったわ」

冷夏は玄関に向かっていたのだった。


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