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LOVE奪取  作者: AuThor
16/20

成功

「え?・・・」

陽太は困惑した表情になる。


「奥さんと別れてくださいなんて言いません。波木さんの幸せな家庭を壊したくないですから」


「言ってましたよね。波木さんの平日の休みは、奥さんはパート、娘さんは保育園って。だから明日以降はその時だけでいいので、愛人でいさせてください」


「半年間だけ、そうしていただければ、私はその思い出を胸に、この先も生きていけます」


「でも、それすら叶わないというのなら、私はここで死にます」

冷夏は一歩後ろに下がる。


そんな冷夏を見て焦る陽太。

「待ってくれ」


冷夏は切なそうな表情をする。

「半年だけでいいです・・・どうか・・・私を救うと思って」


陽太はどうしたらいいかわからず、混乱する。


「ここに長く立っていれば、誰かに通報されるかもしれないので、今すぐ答えをください」


「私を愛人にしてくれる場合は、わかった、と言ってください。それ以外の言葉を口にしたり、こちらに来たりすれば飛び降ります」


「どうか私を救ってください」

冷夏はにっこり儚げに笑う。


「・・・・・」

沈黙する2人。


「何も言ってくれないんですね」

冷夏は最後のスペースまで一歩下がる。


「わかった!」

陽太は飛び降りてしまうと思い、焦って言う。


「嘘じゃありませんよね? もし嘘だったら次は波木さんに何も伝えることなく命を絶ちます。波木さんに裏切られたと思いながら・・・」


「・・・・・・・」

陽太は無言だ。


「嘘ですか?」

冷夏は空を見上げる。


「嘘じゃない!」

陽太は慌てて言う。


「約束ですよ」

冷夏は微笑み、陽太のもとへ歩いてくる。


陽太はこのような状況にどう対処したらいいのか、まったくわからなかった。ただ自分のせいで人が死ぬことが恐ろしかったのだ。


「今、抱いてください」

冷夏は陽太を抱きしめる。


「今、ここで!?」

陽太は予想外の冷夏の言葉に驚きを隠せない。


「奥さんが仕事の間、愛人でいるというのは明日からの約束です。今日は違います」


そして、冷夏は混乱している陽太と唇を重ねる。


「あ、でもゴムとか持ってないし」

陽太は慌てて言う。


「大丈夫です。ゴム持ってます」

冷夏はポケットからゴムを取り出す。


陽太は混乱状態だったが、冷夏の美貌とテクニックにより、萎えることなく2人はビルの屋上で体を重ねたのだった。



拠点で仁は冷夏の帰りを待っていた。


仁は、冷夏が屋上で陽太と交渉をしている間、ビルの屋上のすぐ下の階で冷夏が万が一、強風などで落下しても大丈夫なように資材を整えて、人材派遣により来た人たちと共に待機していた。

冷夏は左手の形によるサインで、下の階の仁たちに資材を引っ込めるかどうかの指示を出していた。

冷夏の無事交渉がまとまったというサインを見て、仁はすぐに拠点にもどった。


玄関のドアが開き、冷夏がリビングに入ってくる。


「第一段階クリアできたね」

仁は冷夏を見る。


「ええ。成功したわ」


「ふっ・・・」

仁は少し笑い、コーヒーをすする。


「ゴムに穴が開いているのも確認させたし」


仁は冷夏の思わぬ言葉にコーヒーを吹き出しかけ、咳き込む。


「は!?」

仁は驚いた顔で冷夏を見る。


「もちろん、薬は飲んでるわよ。手札は多い方がいいでしょ」


「だよね・・・びっくりした」


「私が子供なんて作るわけないでしょ」

冷夏は冷笑する。


「旦那の方が望んだらどうするの?」


「子供なんか作らなくても、いくらでも世の中には面白いものがあるってことを教えてあげて思考を矯正するわ」


「矯正?・・・・洗脳って言葉の方が適当に思えるけど」

仁は苦笑いする。


「・・・・同じことでしょう?」


・・・こんな恐ろしい人に恋されるなんて、旦那の方は気の毒だな。



「だから、娘の方はあんたたちが育ててよね」

冷夏は仁を見る。


「もちろん、そのつもりだよ。雛ちゃん可愛いし」


「あっそ」

冷夏はどうでもよさそうな表情で椅子に座った。



陽太と冷夏が屋上で体を重ねた日から1ヵ月ほど過ぎようとしていた。


冷夏は陽太と愛人という関係なった翌日に老人ホームでの仕事を退職した。


冷夏が退職してからの1ヵ月間は、平日の華と雛が外にいる時間に、冷夏は陽太と体を重ね、さらに思い出作りという建前のもと外でデートするような過ごし方をした。


陽太は罪悪感に苛まれながらも、華に知らせてもどうにもならないことだと考えたので、半年間だけという思いで冷夏に付き合っていた。


華は陽太の不自然さに気付いていた。


家族3人で過ごしている時に、華は陽太にぎこちなさを感じ、心から楽しめていないように見え、何かあったのかと聞くが、陽太は仕事で疲れているだけだと答えた。


仁はその間も華に露骨に好意を匂わすような言葉を公園でかける。


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