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LOVE奪取  作者: AuThor
10/20

衝撃

華は陽太の帰りをリビングで座って待っていた。


・・・酔っぱらって歩けなくなる女って、たぶん若い子よね。

華は机の携帯を見る。


遅いな・・・メールしてみようかな。いや、信用してないみたいで嫌だな。

華は首を振る。


しばらくして、ドアに鍵を差し込む音が聴こえ、華は玄関に顔を向ける。


陽太は女性を家まで送り届けてマンションから出た後、走って最寄り駅に行き、何とか終電に間に合い、華はすでに雛と一緒に眠っているだろうと思い、メールをしなかったのだ。


帰宅した陽太は家の中に明かりがついているのを見て驚き、リビングに行くと華がこちらを見て座って待っていた。


「おかえりなさい」

華は陽太を見つめて言う。


「ただいま。起きてたんだ」


「録画してたドラマ、観てたから」

とっさに嘘をつく。


「あ! 他の女の匂いがする」

華は冗談めかして笑いながら言う。


陽太は噴き出す。

「まあ、女性をおぶったからね」


・・・女性に迫られたなんて、わざわざ言わなくていいよな。結局何もなかったわけだし。


「でも、ご安心を! 華さんを悲しませることは何一つしてませんので」

冗談めかして陽太は言う。


「ふふっ・・・信用してるし」

華は笑顔で陽太を見る。


「電話してくれてありがと。安心した」


「相手が男だったら電話しなかったけど」

陽太は笑う。


「あはは、男だったらしなくていいよ」

華も笑う。


「ほら、お風呂入っちゃいなよ」

華は陽太の背中を押す。


本当に陽太のことは信頼できる。こんな人が夫なんて、私は幸せ者だなー。

華は微笑む。



翌日の午前10時。


拠点のマンションへ仁は入っていく。


昨日は用事があったため、拠点ではなくホテルに宿泊していた。


仁が玄関からリビングに歩いていくと、タブレットを操作している冷夏の姿があった。


仁は何気なしに冷夏の操作しているタブレットの画面を見て、動きを止める。


「・・・介護の資料?・・・直接、話しに行くの?」仁は冷夏を見る。


「働くから」

冷夏は短く言葉を発する。


「!?・・・老人ホームで働くの?・・・姉ちゃんが!?」

仁は驚きのあまり声がわずかに大きくなる。


「ええ」

冷夏はタブレットを見ながら笑みを浮かべる。


・・・情報屋がそんなに欲しいんだ。

仁は姉が予想以上に動いてくれることに対し、取引として情報屋をカードに出して良かったと思う。


「へえー。姉ちゃんがそこまでやるなんて、驚いたな」

キッチンへ向かって歩き始める仁。


「まあ、本気で好きになっちゃたしね」

冷夏はつぶやく。


「え!?」

仁は耳を疑う。


「・・・今、何て?」

仁は振り返り、衝撃が走ったかのような表情で冷夏を見る。


「恋しちゃったー」

冷夏はしおらしく仁に言ってみる。


仁は信じられないという表情で姉を見つめる。


「姉ちゃん・・・正気か?」

仁は目を見張る。


「何それ!?」

冷夏は笑ってタブレットに目を戻す。


「だって、今まで姉ちゃんの付き合ってきた男ってイケメン以外見たことないけど」


「お互い様じゃない。あんただって美人な子としか付き合ってるの見たことないけど」


冷夏は背伸びをする。

「それにイケメンだから付き合ってたわけじゃないわ。できる男は大抵、顔立ちもカッコいいものよ」


「ルックスが優れてる人と数多く付き合っちゃえば、見た目がいいことなんて、たいしてプラス材料に感じられなくなるでしょ。顔よりも別の魅力に惹かれていかない?」

冷夏は仁に問う。


「それは、そうだけど・・・。え? 華さんの夫を好きになったってことでいいの?」

仁は未だ信じられず確認する。


「そうだけど?」

冷夏はおどけて言う。


「・・・どこを好きになったの?」

仁は茫然としている。


「切り札の一つを使って仕掛けてみたんだけど・・・」


!・・・いつの間に動いたんだ・・・。

仁は驚く。


「仕掛けたって・・・何も聞いてないけど」


「切り札をさらしたくないもの」

冷夏は涼しい顔をする。


「ああ・・・そうか」

仁は目をそらす。


「で、その時に陽太さんのこと欲しいなって思っちゃった」


「陽太さん・・・」

仁は苦笑いを浮かべる。


「そう、陽太さん」

冷夏はくすくすと笑う。


・・・優しさに惹かれたのか?

仁は疑問に思う。


「でも、必要以上の優しさは無価値とか言ってなかったけ?」

仁は怪訝な顔をする。


「・・・ああは絶対になりたくないけど、でも・・・あんな人が自分の隣にいてくれたらいいなーって思っちゃったのよ」

冷夏は微笑む。


「・・・・・」

仁は驚きすぎて立ちつくす。


携帯の着信音が鳴り、冷夏は電話に出る。


・・・・こんなに驚いたのは、いつ以来だろう。

仁は冷夏が電話で話すのを見る。


電話を終えた冷夏はタブレットの電源を消し、バッグを持って外に出掛けようとする。


「!」

その瞬間、仁はある考えに思い至る。


「・・・姉ちゃん」

椅子から立ち上がって今にも外に出掛けようとする冷夏に仁は声をかける。


「何?」


「華さんに肉体的なダメージを与える計画は成功として認めないし、絶対に許さないから」

真剣なまなざしで仁は冷夏を見る。


仁と冷夏の視線がぶつかる。


冷夏は小さくため息をつき、冷ややかな目で仁を見る。


そして歩きはじめ、仁とすれ違う瞬間に言葉を発す。


「あんたは手段を選んでるから、甘いのよ」


冷夏が外に行き玄関のドアが閉まる音がしてから、仁は振り返って玄関を見つめる。


・・・姉ちゃんが本気になるのは百人力だけど、同時に華さんの身の危険も伴うな。


念のため、用心しておくか・・・。

仁は携帯を取り出し、番号を押す。


「あ、倉木さん? ちょっと依頼したいことがあるんですけど、今から会えます?」

仁は話しながら玄関に向かって歩いていった。


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