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メモ

・自制


8のあらすじ

レオルが敵か探りを入れる→

フィル(ヒロイン)は探りを入れるのが下手→

結局レオルが敵かは、まだ謎だが、レオルはフィルの秘密(剣の神髄スキルを持っている)を知っていた


9


 結論から言うと、レオルは刺客(もしくは敵)ではなかった。

  

 つまり、レオルは「スキル:剣の神髄」の所持者が生贄にされることは知らないようなのだ。

 なので私を殺そうとはしてこない、はずだ。


 いざ自分が鈍感だと認めるとなると幾ばくか悲しいが、私は鈍感な方だ。

 いや、鈍感と言うより、対人関係の能力が欠如しているという方が正確だろうか。

 まぁ、何が言いたいかと言えば――


レオル自身からのカミングアウトがあった


ということなのだ。




 元々、指南役に身を置く前のレオルは、この侯爵家が宮廷で特殊な立ち位置にいることは察知していたそうだ。

 ただ、その具体的な内情までは知らないとのこと。


 曰く、「もう付き合ってられない」

 曰く、「お前チートすぎじゃね?」

 曰く、「つかお前、わかりやすいよな」

 曰く、「俺の何を探ろうとしてあんなにジロジロ見てきたんだ?」

 曰く、「吐け、吐けぇぇ~」


 淑女の首を締めながら、前後に揺さぶるのはやめていただきたい。

 あっ、今世ではまだ、私が女だとは知らないか。

 というかうっとうしいなこいつ。指南役の元々のあの凛々しさはどこへ消えてしまったのだ。


 そう思いながらも、私はどこかホッとしている。

 なんだかんだ言って、私は指南役が好きだったのかもしれない。

 ただもう威厳も何もないので、これからは「レオル」と名前を呼ぶことにしよう。


 私は無意識にレオルの手を握り、笑顔で名前を呼んだ。


「レオル」

 

――レオルが敵でなくて良かった。

――これからもよろしく!!


私は、ただ単純に嬉しかった。




レオル視点

 


 なぜ、この次期当主―フィル―はいきなり俺のことをジロジロ見始めたのだろうか。


 先日の模擬戦といい、フィルはいきなり強くなり始めた。

 というかもう俺のことなどいらないだろうに。

 指南役になってそこまで何か教えたというわけではない。

 なのになぜ。


 ぐるぐると思考して、絞りだした言葉が「フィル様、あなたは、剣の神髄スキルをお持ちのようだ」だった。

 剣士ならだれもが1度は焦がれる「スキル:剣の神髄」。

 もしかしたらとつぶやいてみれば、フィルの態度が激変した。


 というか斬りかかってきた。


「せい」


 この短い二文字に気合いを乗せて、フィルは木刀をこちらに振り切ってきた…きたよな?


「ぐっ」


 ほとんどカンだが、何とか受け止めた…受け止めたはずだが。

 

 そう感じていたが、よく見るとフィルは木刀を持っていなかった。

 持っていないのになぜ剣筋らしき一閃が見えたのだろうか。


……


フィルはじっとこちらをみている。



 こいつ、また何か俺の知らないスキルを使ったんじゃないだろうか。


 そうそう、例えば剣を持たなくとも威圧で斬るとか。俺見たことあるよ、劇で。


 ふんふん、そういうことか。

 ただのスキルだよな。ただの。


 ……


 な訳あるかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。


「もうなんなんお前、チートもたいがいにしとけよ。もてはやされてきた俺の過去を返せよ! スキル:真眼持ち様だぜ?? 最初からこのスキルが発現していたわけじゃねー。せっせと鍛錬を積んで『この武の国で成り上がってやる』と空を見上げたあの日よ! それがどういうわけだ、こんなガキにくそっ。ちょっと前までは、むしろかわいいなと思って和んでいた俺はなんだったんだ。急に鍛錬を増やしたと思ったらクソ強くなりやがって。『スキル剣の神髄を持っているぅ~?』冗談で言ったらいきなり斬りかかってきやがって、お前まさか本当に持ってるんじゃないだろうな。しかもさっきの技もなんだ。剣も持たずに人を斬ろうとするなゴミくずがああああああああああ」


 気付けば、俺は溜まっていたストレスをわかりやすくぶちまいていた。

 他にも、フィルと色々口論になったが、あまり覚えていない。

 最後の方では、フィルが生暖かくこちらを見ていたような気はした。


 そういえばフィルは「スキル:剣の神髄」を持っていることは黙ってくれと言っていた。

 言葉を濁してはいたが、何やらこのユークリッド侯爵家では、不穏なことが起こっている(もしくは、起ころうとしている)ようだ。


 確かに、この侯爵家はどこかおかしい。


 フィルは次期当主なのに、メアリーと俺以外にはあまり話さないようだし、使用人達の方もフィルとあまり関わらないようにしているように感じる。


 フィルは「メアリー」のことも調べると言っていたが、代わりに俺が調べると言っておいた。


 あんなにわかりやすくジロジロみるようなやり方では、本当の敵にはすぐに感づかれてしまうだろう。

 それに、そうなったら、俺まで危うくなることだってある。

 武の国は容赦がないことは過去に見てきた。


 それに――フィルのことはチートこそ羨ましいが、べ、別に嫌いじゃないしな。




† ヒロインスキルの現在


パッシブスキル【剣の神髄】:

剣に関わるあらゆるスキルの習得が容易になる。また、これによって習得したスキルの熟練度も大幅に上昇しやすくなる。


パッシブスキル【正眼の構え】:

正眼の構えが崩されにくくなる。


パッシブスキル【コンティニュアススキル】:

スキル硬直及びそれ以外のいかなる要因も含め、スキル使用の連続性を高める。全アクティブスキル対象。


パッシブスキル【魔術の素質】:

高位の魔術を受けると稀に発現する。魔術親和性が高まり、魔術を覚えやすくなる。


アクティブスキル【振り下ろし21/∞】:

振り下ろす速度上昇、威力上昇。振り下ろし後の硬直時間を短縮。


アクティブスキル【瞬剣 55/∞】:

四方へ瞬間的に移動する。移動後は硬直を挟まず、アクティブスキルを使用できる。(修正前「他のアクティブスキル」を修正後「アクティブスキル」に置き換え)


アクティブスキル【回転切り 30/∞】:

剣を振り回すだけでそれっぽく見える。


アクティブスキル【無剣心剣 5/∞】:

自身の意識を「心の世界」へ投射しつつ、並行して、現実世界で剣を手放すことで稀に発現する。剣を持たずとも相手を斬れるようになる。


※1/∞は、1が現在の熟練度、∞が潜在的に到達可能な熟練度の最大値を表しています。

今日も読んでいただき

ありがとうございます。


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