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メモ
・引きの導入、視点切り替え
7のあらすじ
森のほこらで怪しい魔術師に出会う→
武の国の暴露話(要裏取り)→
どこに潜んでいるかわからない敵に気取られないようにしないと
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生まれてこの方「見られている」を意識していた私は「見る」ことに慣れていない。
そう、今になって思えば、私は「人から自分がどう見えているか」を気にしすぎていたキライがある。
男装令嬢として、次期当主として凛々しくあらねばと奮起していたからだろう。
それはそうと、先の森での一件がある。
森で「魔術の国」の魔術師兼宰相(幽霊? 声しか聞こえない)と出会い、私のいる国「武の国」は「魔術の国」を乗っ取った説を聞いた。
まだ私の中では信憑性を疑っているので「説」として一歩引いて見ているが、確認もとい居るやもしれない敵の動向を探らねばならない。
それは、私の生死に直結するからだ。
私はっ、今度こそ生き延びて見せるのだ。そして幸せな家庭を持って、子供と戯れて、猫を飼うのだ!
……
…ごほん。
さて、そんな人生設計(私のひそかな野望)はともかく――
事実この侯爵家はおかしい
ということは前々から思っていたことだ。
少し他人事になってしまうが、私は親とあまり話したこともないし、顔を合わせることもほぼない。
それに使用人ですらどこか薄気味悪い時がある。
私の世界は、この「侯爵家の屋敷」が大半を占めているが、より正確に言うなら、「侯爵家で自分に近しい『側付きメイドのメアリー』と『指南役のレオル』」ぐらいのものだ。
この2人だけが、私が生きる世界に登場する、唯一見知った存在だ。
なのでまずはこの2人――メアリーとレオル――から観察して、敵か味方かを判断しよう。もしあの魔術師を信じるならだけど。
そういえば、今日はまだ剣の鍛錬をしていなかった。
ちょうどいいから、指南役のレオルを呼んで、剣を習いつつレオルを凝視してみようと思う。
★
「じーーーっ」
「……」
「じーーじーーっ」
「…」
「じろじろ、じろりん」
「」
「じ『怖いんだけど』」
…
「怖いんだけど」
なっ、私としたことが、観察対象になにやら声をかけられてしまった。
落ち着くんだフィリス! まだ慌てる時間じゃない。
「ハッ、ハッ、ハッ」
「実は最近、新技の練習をしていまして、指南役に見ていただきたかったのです」
「…」
「ハッ、ハッ、どうですこの剣裁きは、まだまだ未熟なので気を抜くと自分の手をスパッといってしまいそうです、真面目になって注意しないと」
「自然と真面目な顔になる私ですが、端から見ると、そう! 怖い顔になってしまっているかもしれませんね!」
「…」
なっなぜだ、指南役はなぜ何も言わないのだ。
それでは私が怪しいと言っているようなものではないか! 気まずい、気まずいぞ。
俄然、言い訳に使った新技(?)を真剣に披露せねば。
しかし、そうは上手くはいかなかった。
次の瞬間、私は、私の心臓が氷の塊になってしまったかのような冷たさと静止に見舞われた
――フィル様、あなたは、剣の神髄スキルをお持ちのようだ――
私が凝視していた指南役が、そう自分に呟きかけるように言っているのを見てしまったから。
空に目と口をそらしていたので、本当に正確な1字1句ではないかもしれない。
ただ、私はそう言っていたように思ったし、心なしか指南役の横顔が影って見えた。
ッカラン。
無意識に手から木刀が抜け落ちて、床に転がる音を聞いた。
ワールドアナウンス:アクティブスキル【無剣心剣 1/∞】を習得しました。
† ヒロインスキルの現在
パッシブスキル【剣の神髄】:
剣に関わるあらゆるスキルの習得が容易になる。また、これによって習得したスキルの熟練度も大幅に上昇しやすくなる。
パッシブスキル【正眼の構え】:
正眼の構えが崩されにくくなる。
パッシブスキル【コンティニュアススキル】:
スキル硬直及びそれ以外のいかなる要因も含め、スキル使用の連続性を高める。全アクティブスキル対象。
パッシブスキル【魔術の素質】:
高位の魔術を受けると稀に発現する。魔術親和性が高まり、魔術を覚えやすくなる。
アクティブスキル【振り下ろし21/∞】:
振り下ろす速度上昇、威力上昇。振り下ろし後の硬直時間を短縮。
アクティブスキル【瞬剣 55/∞】:
四方へ瞬間的に移動する。移動後は硬直を挟まず、アクティブスキルを使用できる。(修正前「他のアクティブスキル」を修正後「アクティブスキル」に置き換え)
アクティブスキル【回転切り 30/∞】:
剣を振り回すだけでそれっぽく見える。
《NEW!》
アクティブスキル【無剣心剣 1/∞】:
自身の意識を「心の世界」へ投射しつつ、並行して、現実世界で剣を手放すことで稀に発現する。剣を持たずとも相手を切れるようになる。
※1/∞は、1が現在の熟練度、∞が潜在的に到達可能な熟練度の最大値を表しています。
ポイント評価ありがとうございます!( ゜Д゜)
私は、今まで読み専で
「見てもらうorポイント評価が、執筆のモチベーションに繋がっています」という
あとがきをよく見かけていたのですが、これはホントだったんや
と実感しているなうです。
読んでいただいてありがとうございます。




