表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

7

今回意識したい

・急展開


後で別作品を確認したい

・引きの導入、視点切り替え


6のあらすじ

指南役に実践訓練を勧められる→森へ行く

→警告の看板を無視して突き進む

7


 上機嫌で突き進んでいくと、何やら洞窟があったので、さらにその中を進むことにした。

 

 この時フィリスは、冒険気分で何の気なしに行動した。ここでフィリスの運命はまた180度変わることになる。

 


 ★


 

 洞窟はそんなに広くなく、すぐに行き止まりになった。そこにはほこらがあった。

 それだけと言えばそれだけなのだが、何やら良くない雰囲気を感じる…


「気のせいかな」


 私は少し怖くなったので、今日はもう帰ろうと思った。

 

 森に入ってから魔物に一度も会っていないのも気になる。

 指南役に事情を説明しないと。



――ふむ、上質な香りだ。


「えっ?」


――そなたのことだ。


「何?だれなの」


――誰でもよかろう。それにどうせ、そなたのような者に私は見えまい。


「何のこと?」


――そんなことより、そなた、時間を巻き戻したな?


 

『時間を巻き戻したな』『時間を巻き戻したな』『時間を巻き戻したな』『時間を巻き戻したな』『時間を巻き戻したな』


 瞬間、私の中で言葉が繰り返し再生される。壊れたレコーダーのように繰り返し。


 私の秘密。男装令嬢という表面の秘密ではなく、昔のあの痛くて辛い気持ちを抉り返す、絶対に触れられたくない秘密。


 なぜ?


 呑気に独り言を言う余裕は私にはない。なぜ声の人は私のことを知っているの? 


――その返答は、私が魔術師だからだよ。


 心を読まれた? 今は声に出していないのに。


――ふむ、先ほどと雰囲気が変わったな、がぜん良い香りになりおったわ。はっはっは。


――表面上では、明るく呑気に振舞って忘れようとしているのか? 何かおぞましい過去を?


――お前はただ見捨てられたのだよ。国にも親にも。


――誰も助けてはくれない。この世は壊れているんだ。


――人も何も腐っていて、自分が生き残るためならすぐ他者を売りに出す。


――親しかろうが関係ない。全ては虚像。嘘。滑稽だな。がはっははっ!!!!! はっはは「やめて!!!!」



「もうやめて」



――ハッ、見えるぞ。気持ちが強くさらに良くなってきたな。


――串刺しになって横たわっている。これは誰だろうな。


――苦しいだろう。辛いだろう。過去とは、身に刻み付けられた入れ墨のようなもの。


――決して消えることはない。


「…」


――だが、清算することはできるのだよ。



「どうするの? どうやって?」


 気付けば私は聞いていた。



――その過去を起こした全ての者に、復讐するのだよ。






 あれからしばらくして私は家に帰った。


 別にあの魔術師を名乗る声の言いなりになったわけじゃない。ただ一考の価値があると思った。

 

 そもそもあの魔術師は何だったのか。

 ゆっくり1つずつ教えてくれた。


 曰く、「魔術師の国」の宰相だった。

 曰く、あの頃は平和で、人々皆が生き生きと暮らしていた。

 曰く、宰相には妻がいた。

 曰く、気立てが良く、子供も2人いた。

 曰く、猫を飼っていて、週末の休みで家にいると、子供とじゃれて遊ぶのを見て幸せを感じていた。

 曰く、コーヒーは苦手だ。


 話しているうちに、私はその魔術師に情が湧いていった。

 少なくとも、最初に聞いた声と違って、確かにその声には優しさが宿っていた。

 ただ、話はそれで終わりではなかった。


 曰く、そんな平穏な日常は、壊されてしまった。

 曰く、とある革命家によって魔術師の国は滅んだのだと。

 曰く、そしてその革命家が武王を名乗り、武の国になったのだと。

 


 そこからはひどく冷淡で、鋭利なナイフのような声を、私に浴びせかけたのだ。


 私は知ってしまった。


 私自身が一度死んでしまったことだけじゃなかった。この国自体がおかしいかもしれないのだ。


 確かに、あの魔術師の声は、私の心の隙を付くようにわざとらしい誘導していた。

 もちろん、復讐なんてしたくない。


 最初はそう思った。


 なぜなら、強くなれば、剣技大会でも、それに失敗しても、悪いことにはならなそうだと感じていたから。


 だけど、あの魔術師の言葉が事実なら、私は今世でも死ぬ。

 死ぬエンドが前提のルートなのだと、知ってしまった。


――私は、この武の国で「3人の柱」の1柱であるというのだ。


 どういうことか魔術師は語る。


 曰く、武の国の王―武王―は武神との契約の下、即位時に「3人の柱」を生贄に捧げることで、強力なスキル【武の神髄】を得るのだそうだ。


 そして、「3人の柱」というのは、スキル【剣の神髄】、スキル【槍の神髄】、スキル【格闘の神髄】を持つ3人を指すという話だ。


 この神髄スキルは、世界に1人しか所持できないらしく、ただし過去の傾向から、誰に発現しそうかというのは大体わかるらしい。


 前世の私は「スキル:剣の神髄」を発現させていなかったから、死んでしまった後で他の者が生贄に捧げられたのだろう。


 ただ今世では、「スキル:剣の神髄」を発現している。

 良いことだと思ったのに、実は生贄にされるマーキングでしたなんて、冗談にもならない。


 侯爵家の「誰が」「どこまで」詳細な話を知って、私の経過観察をしているかはわからない。


 ただ、「スキル:剣の神髄」を所持していることだけは、何者かにもうバレていると考えた方が良いだろう。残念ながら。

 あぁ、瞬剣コンボで遊んでいた少し前の私を恨みたい。


 なので今後は、


・魔術師の話がそもそも本当なのか

・侯爵家の「誰が」「どこまで」詳細な話を知っていて、私を監視しているのか

・情報を集めて、具体的な回避プランをどうするか

 

 といった情報収集を影ながらしていこうと思う。もし魔術師の話が真相なら、敵に私が知っていると悟られないようにしなければ。

 


ワールドアナウンス:パッシブスキル【魔術の素質】を習得しました。







† ヒロインスキルの現在


パッシブスキル【剣の神髄】:

剣に関わるあらゆるスキルの習得が容易になる。また、これによって習得したスキルの熟練度も大幅に上昇しやすくなる。


パッシブスキル【正眼の構え】:

正眼の構えが崩されにくくなる。


パッシブスキル【コンティニュアススキル】:

スキル硬直及びそれ以外のいかなる要因も含め、スキル使用の連続性を高める。全アクティブスキル対象。


《NEW!》

パッシブスキル【魔術の素質】:

高位の魔術を受けると稀に発現する。魔術親和性が高まり、魔術を覚えやすくなる。


アクティブスキル【振り下ろし21/∞】:

振り下ろす速度上昇、威力上昇。振り下ろし後の硬直時間を短縮。


アクティブスキル【瞬剣 55/∞】:

四方へ瞬間的に移動する。移動後は硬直を挟まず、アクティブスキルを使用できる。(修正前「他のアクティブスキル」を修正後「アクティブスキル」に置き換え)


アクティブスキル【回転切り 30/∞】:

剣を振り回すだけでそれっぽく見える。


※1/∞は、1が現在の熟練度、∞が潜在的に到達可能な熟練度の最大値を表しています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ