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パオーンじゃないよ魔王だよ  作者: なんだかなぁ
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第一章 目覚め

話の流れは変えずに、フォーマット、文章の追加を行いました。

 目覚めそれは人にとって大きく左右するもの。

 例えば目覚めが良ければ今日はいい事あるんじゃないかと思ったり。

 何をするのもやる気が起こったり。

 

 逆に目覚めが悪ければ、ああ、今日何か悪い事起こるんじゃないのと思ったり。

 出かけるなら出かけるのも嫌になったり。

 ああ、もう出かけるのやめようかなと思ったり。

 気分がかなり変わってくる。

 

 だがその目覚めはごく普通のものだった。

 だから特に考える必要も、のはずなのだが。

 

 「なんじゃこりゃ。」


 どうなってるのかわからない。

 だが徐々にわかってくる。

 ああ、俺は死んだのだ。

 そうだ死んだ。

 だが。


 なんで死んだのかはどうでもよかった。

 問題はその後だ。

 なぜか次に気がついたらお城にいた。

 なぜか記憶があった。

 どうやら俺はこの城のあるじで魔王らしい。

 だがまわりに誰もいない。

 さっそく行動を起こす。

 やらないと。


 「どなたかいませんか。」


 われながら魔王らしくないセリフだ。

 しかたがないのだ。

 人ではなく魔王だがそんなに急には対応できないのだ。

 反応が無い。

 しかたない。

 再び言ってみる。


 「誰か、おらんのか。」


 少しは魔王らしくなっただろうかだが誰も出て来ない。

 しかたがない。

 又言ってみる。


 「魔王ですけどでてきてもらえませんか。」


 下手に出て見た。

 なんという弱さだ。

 もう挫折しかかってる。

 うー、魔王やめたい。

 しかし、誰もいないのか?

 こんなでっかそうな城に一人とかあるのか?

 そんなこと。

 お、誰か来たみたいだ。

 そう魔王の力でわかるのだ。

 こっちに来た。

 そいつは言った。


 「ちわ、勇者です。退治しにきました。」

 

 米屋のような勇者が来た。

 なんなんだこいつは。

 異世界ならこんなのもありなのか。

 自分が知ってる勇者っぽい恰好はしてるが。

 お金のかかってそうな装備はしてる。

 

 とにかくこんなの相手にしてる場合じゃない。

 こっちは今起きたばかり。

 しかも何が何だかわからないのだ。

 今言うべき事を言ってみた。


 「まにあってます。」


 これで帰ってくれたらいいのだが。

 異世界なのでよくわからない。

 案外軽いのでこれで帰ってくれるかも。

 あ、じゃあ、またきますんでとか言って。

 少し期待してみたが。

 勇者は言った。


 「遠慮しなくてもいいですよ。」


 どうもそうはいかないようだ。

 そして遠慮してるわけでもないのだ。

 しかたがない、戦うしかないみたいだ。

 んん、いきなり魔王と勇者が戦うのはどうかと思うが。

 誰もいないのだ。

 しかたない。

 とりあえず一度言ってみたかったセリフを言ってみることに。


 「かかってきなさい。」

 

 言っちゃった。

 言っちゃった。

 俺言っちゃったよ。

 どうしよう。

 

 「では遠慮なく。」


 結果は弱すぎるよ聞いてないよ。

 勇者の手加減パンチでやられてしまった。

 思ったのは、なんだ、このロースペックは。

 これはないでしょ。

 ない。ないわ。

 

 何もかもみななつかしい。

 いやいやいや死んでないけど。

 これから死ぬわけでもないけど。

 目覚めたばっかなんだけど。

 ここでの思い出もほとんどないんだけど。

 勇者は言った。


 「弱い、弱すぎる。おまえなんて魔王じゃない今日からおまえパオーンだ。」  

 

 かくして私は魔王でなくパオーンになった。

 パオーンなんだそれ。

 

 

 魔王となった男。だがいきなり勇者がやってきて倒されてしまう。

 これからいったいどうなってしまうのか。

 いきなりこんな展開があっていいのか。

 いやいいのだ。

 物語とは色々あるのだ。

 だからこれでいいのだ。

 次回パオーンじゃないよ魔王だよ。

 第二話「魔王の能力」。

 魔王の能力そんなものがこのポンコツ魔王にあるのかないのか。

 それはまだ誰にもわからない。

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