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超能力者に愛を求めて  作者: 広野 氏子
第1章 LoreleiとSchrödinger
12/13

Chord11: 両親

「……説明してくれよ母さん。どういうことなんだよ一体!!」


ローレライを部屋に寝かしたまま、拓真とその母京子はリビングに場所を移し、テーブルを介して対面して座り、声を荒げていた。


「もう夜中なのよ。もう少し静かになさい、あの娘が起きてきちゃうじゃない。」


至って冷静に京子は拓真をなだめる。


「だって!!……母さん、説明してくれよ。」


京子はため息を付きながら、ゆっくりと口を開け、詳細を語り始めた。


「……はあ。そうね、わかったわ。もう見せてしまった以上隠すこともできないから、それに拓真、あなたも存在自体は知っているみたいだから、説明が省けて少し楽だわ。」


少し微笑を顔に浮かべながら、京子は続けた。


「超能力っていう、私がさっき使ったものは昔からあったらしくて、いろいろ種類があるみたいね。」

「ああ、どうやらオレにもその能力者としての素質みたいなものがあるらしい。」


京子は少し驚いたような表情を見せ、すぐにいつもの微笑に戻し、


「あら、やっぱりそうなのね。能力者同士の子なんだから、きっとあなたも何か持っていると思っていたのよ。なかなか発動しなかったみたいだけどね。」

「……え?じゃあ、まさか父さんも?」


拓真の疑問も当然のことである。


「そうよー。浩正さんはね、物の修繕に長けた能力を持っていたわ。素敵な能力なのに、いつも文句ばっかり言っていたわね。男なのにどうしてかっこいい攻撃能力はないんだーってずーっと言っていたわ。」


京子は懐かしそうに思い出を語りながら、まるで恋する乙女かのような可愛らしい笑みを浮かべている。


(……やれやれ。)


母京子と父浩正は中学校来の付き合いらしく、どうやらずっと一緒にいたらしい。浩正は密かにクラスの壊れた机や黒板消しなど、誰もいない教室で静かに修繕しているところを他の生徒に見られてしまい、気味悪がられていじめられていたらしい。同じクラスの京子がそれを見かねて助けに入り、二人は出会ったという。

_______________________________________


「……ありがとう。」

「いいのよ。あなたのその不思議な力、私はとっても素敵だと思うわよ。」


中学生の頃の京子は当時から今も変わらない天使のような笑顔だったという。


「でも、みんな僕のこの力を怖がって誰も僕に近寄ろうとしないんだ。だから君も僕とかかわらないほうがいいよ。」

「どうして?」

「いやだから、君も標的に」

「何もしていないのに、むしろいいことしかしてないのに、どうして逃げなきゃいけないの?どうして近寄っちゃいけないの?」


京子の顔は至って真面目だった。浩正は初めて出会うその女の子に心惹かれるのに時間はかからなかった。


「実はね、私も不思議な力があるのよ。」


そう言って京子は浩正の殴られて傷ついた頬に手を当てるとそこから緑色の光が出て、ゆっくりとその頬の傷を治した。


「あなたは物を直して、私は傷を治す。こんなに素敵な神様からの贈り物、無下にしちゃだめよ。しっかり感謝しなくちゃ。」

______________________________________

そして今に至るらしい。


「今は浩正さん、海外にいてなかなか帰ってきてくれないけど、それでも心ではしっかりつながっているんだから、彼はきっと大丈夫って信じれるのよ。」


途中からこの惚気話を聞いていなかった拓真は、ずっと自室のベッドで眠っている女の子の心配ばかりしていた。


(彼女は大丈夫なんだろうか……。)


「お母さんを信じなさい。あの娘は大丈夫、明日になったら目を覚ますわ。」


拓真の心中を察したのか、京子は優しく諭した。


「……ああ。ありがとう。」


今は考えても仕方ないと、拓真は京子の能力に改めて感謝した。


「それにしても、拓真も隅に置けなくなったわね。」

「なっ、どういうことだよ母さん。」


突然京子がからかってきたものだから、拓真は一瞬飛び上がった。


「あら、阿澄ちゃんの家に上がり込んだり、お母さんに内緒で家に女の子連れ込んだり、いつからあなたそんなにモテるようになったのかしらね。」

「そんなんじゃねえよ。」

「……はあ、これじゃ阿澄ちゃんもきっと苦労するわね。」

「どういうことだよ。」

大変お久しぶりです。めちゃくちゃ久しぶりに書いたもんですから、今まで自分が何を書いていたのかも忘れていて、読み返しながらうんうん唸って書きましたよ。

本当に久しぶりです。続きが書けてよかったと自分でも思っています。

いつも恒例のあの言葉を言って締めたいと思います。


読んでくださった方には無上の感謝を、喜んでくださった方には至上の喜びを。

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