推参、スターダスト
正太朗は目を覚ました。ひどい寝覚めだった。
それは夢のせいだった。宇宙人に出会い、とんでもない秘密を脳に植え付けられ、拷問されたあげく、撃たれて死ぬなどという荒唐無稽なものだ。悪夢と呼ぶにまさにふさわしい夢だった。
「映画とアニメの見すぎかな……」
大きく欠伸をした。スマホを探して枕元を探る。なかなか見つからない。しかたなく枕元に目を向けた。スマホは見当たらなかった。ベットの下に落ちたのかと思って見てみるがそこにもなかった。本格的に探し始めるとすぐに見つかった。ズボンのポケットに入れっぱなしにしていたのだ。
正太朗は首をかしげた。いつも寝るときにはスマホを枕元に置く。置き忘れることなどないはずだった。それに体に違和感がある。なんだろうと首をひねり、気がついた。服装だった。部屋着に着替えず寝ていたのだ。
着ている服自体にもしっくりと来なかった。この服を来て学校に行った憶えがないのだ。ただ、この服装自体には覚えがある。さきほどの悪夢で着ていたものだ。
いったいどうしてしまったのだろうか? どこかおかしい気がしてならない。それになにか視界にも違和感があった。
はてと思いながら正太朗はスマホに指を走らせる。あんな夢を見たせいか、無性にソーシャルゲームがやりたくなったのだ。スタミナの限界までダンジョンに挑んだ。
そういえばLINEをチェックしてないなと思い、立ち上げる。
零
それを聞いて安心した。野暮用があるから今日は連絡が取れなくなると思う 9:50
既読 9:50 あいよ
零
くれぐれも墜落現場には近づかないようにしてくれ 9:51
既読 12:25 すまん
零
行ってしまったのか。しかたがないやつだ 16:22
零
もう帰っているんだよな? 17:22
零
大丈夫なら返事をくれ 18:00
「え?」
夢で打ったはずのメールの続きが存在している。ありえないことだった。
「あれは夢じゃなかった?」
《そうさ。気がつくのが遅すぎなぐらいだね》
「そうか。あれは夢じゃなかったんだ……って誰!?」
相づちを打たれて思わず返答してしまった正太朗は声の主を探す。部屋の中には正太朗しかいなかった。
「どこだ!」
《ここさ》
いきなり目の前に巨大な矢印が現れた。
「うわっ!」
《おお! ナイスリアクション! うーん。たまらんっすねえ。人間と生でコミュニケーション取るっていうのは新鮮だね》
「な、なんなのこれ! 消えろ!」
《ほい》
矢印が消失した。どうやら声の主が矢印をコントロールしているらしい。
落ち着けと自分に言い聞かせる。まずは状況を確認しなければならない。昨日の件が現実だとしたら、どうして正太朗は生きている? 夢だと思って考えないようにしていたが、死に際の生々しい感触を正太朗は覚えている。死んだことがないから断言はできないが、間違いなく死んだという確信が正太朗にはあった。
「俺はなんで生きてるの?」
《その辺のことも含めて話してあげるからさ。ちょっとここをクリックしてみてよ》
再び矢印が出てくる。矢印は正太朗の視界の右隅を示していた。そこには無数の星が描かれた菱形のアイコンがあった。視界に感じた違和感の正体はこれだったのだ。
「クリックって……。どうやればいいんだよ……」
《視界の真ん中にカーソルがあるでしょ。それを動かしてクリックするんだよん》
声の主が答える。妙に高くかわいい声をしていた。どうやら声の主は女性らしい。声は耳から聞こえているのではなく頭の中で響いていた。ようやくそんなことを確認できる余裕が生まれていた。宇宙人に会い、あげくに殺されてみたりもしたのだ。適応力もつくというものだろう。
「動かすって念じればいいの?」
《そうそう。カーソルに集中してうりゃーって。ほらほら、レッツらトライ!》
いわれたとおりにカーソルに集中する。カーソルと自分が繋がったという感覚があった。これは動かせると瞬時に理解できた。試しに右に動かしてみる。実際に、視界の中でカーソルが右に動いた。もっと複雑な動きを試すと、思い通りに動かすことができた。……ちょっと楽しい。
《おお! うまいうまい! じゃ、レッツらクリック!》
カーソルをアイコンの上まで動かす。クリックのやり方が分からなかったが、とりあえずカーソルを奥へと押し込んでみた。アイコンを押したという感触がカーソル越しに伝わってくる。アイコンがくるくると回転を始めた。どうやらクリックに成功したようだった。
回転するアイコンは視界の中でジグザグに移動していく。中央にまでくるとぽんっと音を立ててはじけた。煙に覆われる。煙にスポットライトが当てられた。いつの間にか視界の上部に出現していたものだ。無駄に凝った演出だった。
《じゃっじゃーん! 星屑 麗奈ちゃん推参!》
煙の中から登場したのは女の子だった。見た目は高校生ぐらい。かなり赤みがかった茶髪を短いツーサイドアップにしている。服装はなぜか小学校のものと思われる制服。もちろんランドセルを背負っている。当然のように縦笛が突き出ていた。
《どうよ!》
「いや、無理があるとしか」
それ以外になにをいえというのだろうか。正直、見た目高校生だけに無理がある。無理がないのはその平らな胸だけだ。
《おかしいなあ。君の趣味に合わせたつもりだったのに》
「勝手に人を特殊な趣味の人にしないでくれないかな」
《まあ、いいや。着替えてくるからちょっと待ってて》
いつの間にか視界にドアができあがっていた。入ったと思ったら出てきて一言。
《のぞくなよ!》
「のぞかないよ」
見る価値のある胸に思えないという言葉は飲み込んでおいた。
再びドアの中に消え、半身だけ出てきた。
《のぞくにはクリックすればいいからな!》
「だからのぞかないって! 早く着替えてこいよ!」
《ほーい》
女の子……本人いわく星空 麗奈はようやくドアの中に消えた。
なんだか疲れるやつだというのが正太朗の正直な感想だった。どういう仕組みか、麗奈は部屋の中にいるとしか思えないクオリティーで視界の中に出てきた。麗奈が消えたドアというのも正太朗の部屋の壁に突如現れたものだ。見た目で判断する限りそこにあるとしか思えない。
ためしにドアノブに手を伸ばしてみた。手はドアノブを貫通していった。触れたという感触はない。やはり現実には存在していないらしい。
気がつけばドアが半開きになり、麗奈が顔を覗いていた。えらくニヤニヤしていた。
《やっぱりのぞきたかったんじゃん》
「違うからね」
《分かっていますって。いやー、正太朗も男の子ですなあ》
麗奈は全然分かっていない顔で口に片手だけを当て、にししししと笑って引っ込んでいった。
好奇心に負けなければよかったと正太朗は後悔しながらベットに腰を下ろす。さきほどドアノブを素通りした右手を見る。現実にあるとしか思えなかったが、実際には存在していなかった。おそらく視覚にだけ干渉しているのだろう。
「やっぱりオーパーツの力だよなあ……」
《そだよー》
ドアをばんと開いて元気よく麗奈が出てきた。なぜか下着姿だった。
「ちょっと! なんで出てきてるの!?」
《おお、めんごめんご。着替え中だって忘れてたよ》
あはっはっはっはと頭をかきながら麗奈はドアの中に戻っていった。見る気もなく見てしまったパンツにはかわいいクマの絵がプリントがされていた。
《ちなみに君の声は全部ちゃんと聞こえているから質問があれば聞くよ》
「だったらなんで出てきたの? もしかして痴女なの?」
《痴女とはひどいなあ。ちょっと大胆な乙女っていって欲しいね》
「あっそ。オーパーツの力ってことは君はもしかしてさくらのいっていた餞別なの?」
《さくら? ああ、『創出の魔女』のことか。あんな奴のオーパーツのはずないじゃん》
「だったら君はいったいなんなの?」
《君風にいえば星空 麗奈って答えるのがいいのかな?》
「なんでそれを知ってるの?」
《その辺も含めて順を追って説明したげる。よし、着替え完了》
ドアが歪んでいき、いきなり試着室に変化した。カーテンを開けて中から麗奈が出てくる。麗奈の格好は幼稚園児のものになっていた。
「退行してんじゃん」
思わずツッコむ。
《ダメ?》
「却下」
《これ以上いくと赤ちゃんになるよ? そういう趣味の人?》
「そのまま退行して受精卵にまで戻ればいいよ」
《それは斬新なプレイですなあ》
からからと笑いながら麗奈は試着室に戻っていく。正太朗は頭痛がしてきた。
頭痛薬を探していると、麗奈が出て来た。正太朗は思わず言葉を失ってしまう。
《にょほほほほほほ。見とれているではありませんか。あたし勝利ぃ!》
「いや、普通だなって」
麗奈の服装は拍子抜けするほど普通だった。トップスはキャミソールとカットソージレ。ボトムスはデニムのホットパンツ。背中のランドセルがなければ完璧だった。ランドセルが余分だが、その他は本当に似合っている。実は見とれていたりしたのだが、癪なので口が裂けてもいうつもりはなかった。
《これでもだめっすか。えーい、これならどうよ》
ぽんっという効果音とともに麗奈の服装がナース服に替わる。
「アウトだ」
《やっぱり赤ちゃんの方がよかった?》
「そういう問題じゃない」
《好みの難しい御仁ですなあ》
「ところでさ」
《なにさね》
「一瞬で服を変更できるならわざわざドアとか試着室とか必要なかったよね」
《当たり前じゃん。あたしは正太朗の脳に直接映してる映像に過ぎないし》
「なんで無駄なことしたの?」
《正太朗がのぞけるようにわざわざ配慮してあげたんじゃん》
「そんな配慮入らないから」
麗奈は胸を張ってそんなことをのたまった。本当に相手をしていると疲れる。ツッコミでも入れられればいいのだが、あいにく相手はただの映像らしい。
《なるほど、のぞかずに直接着替えが見たかったと。正太朗も好きものですなあ》
イラッときた。にしししし、と笑う麗奈の頭にポインターを合わせてクリックした。
《痛っ!》
思った通りツッコミができた。これは使える。
《その使い方に気づきますとはやりますなぁ。その機能を使えば嫌がるあたしの服を無理やり剥ぐことも……》
無言で頭をクリックする。
《むむむむ。正太朗の欲求不満を解消しようとせっかく実装してあげたのに》
「いいからさっきの服に戻して」
《ほーい》
「脱ごうとするな!」
《もう正太朗のいけず》
ぽんっという音ともに煙がでる。煙が晴れるとさきほどの普通の服を着た麗奈が立っていた。今度はランドセルもない。麗奈はなぜかニヤニヤしている。
「そのニヤニヤはなに?」
《いんや。この服なんだかんだで気に入ってもらえてたんだなって》
「似合ってなくはないよね」
《素直じゃないっすねえ。そこが萌えポイントだ!》
「さっさと事情を説明してくれないかな」
こんなくだらないやりとりを繰り返していたらあっという間に一日経ってしまう。それにいい加減自分が置かれた状況を理解したかった。
《もっと君とじゃれていたかったけど。まあ、いっか。どうせ、その時間はいっぱいあるだろうしね》
「それってどういう……」
《それも含めてちゃんと話すって。じゃあ、まずは自己紹介から》
改まったようすで麗奈は姿勢をただした。
《私はスターダスト・タイプ・ゼロ。『創出の魔女』を追ってきた宇宙人だよ》
「さっきは星屑 麗奈っていってなかった?」
《スターダスト・タイプ・ゼロなんてかわいくないじゃん。だから元の名前をベースにかってに改名したんだよ》
勝手に変えていいものだろうかと疑問に思わないでもなかったが、さくらだって正太朗につけてもらっていた。宇宙人にとって名前というのは勝手に変えてもよいものなのかも知れない。
「それで、なんで俺は生きてるの?」
《やっぱりそれが一番気になるよね。順を追って説明した方が分かりやすいんだけど……まあ、いっか。分かりやすくいえば、あたしが生き返らせたってところかな》
「死んだ人間を蘇生できるの!」
《いんや。星覇の技術をもってしても死んだ生命体を生き返らせることはできない》
「じゃあ、俺はどうして……」
《一言でいえば、今の正太朗はコピーだね》
「コピー?」
《そうそう。死ぬ前に君のコピーを造っておいたんだ》
「俺はクローン人間ってこと? それって俺は偽物ってことなんじゃ……」
《君たちの定義からいえばそうなるだろうね》
「そんな……」
《……ごめんね。オリジナルの君を助けらればよかったんだけど無理だったんだ》
「元の俺は死んだの?」
《うん……》
「そっか。ならコピーでもいいや」
《えっ?》
「オリジナルがいなくなったってことは匠 正太朗は今現在、俺だけなんでしょう。二人いるとその……好きな人とかさ、取り合ったりしなくちゃいけないから困るなあなんて思ったけど、死んじゃってるなら俺しかいないし問題ないかなあって……ってどうしたの?」
麗奈がなんともいえない微妙な顔をしていた。
《なんだが拍子抜けだなあと思って》
「俺、なんか変なこといった?」
《いいの? その……コピー人間で》
「記憶もあるし体もいっしょ……いや、違うのか? まあ、細かいことはいいや。とにかく前と変わらないし、別にコピーだろうと俺は気にしないよ。生きてるし」
《なんだかなあ……。本当に拍子抜けだよ。もっと気にすると思ってどうやって説得しようか君が寝ている間中延々と悩んでたのに……。あーあ、バカみたいだ》
「そんなに気にするものかな?」
《普通するっしょ。自分が造られた人間だっていわれてるんだよ。自分の存在意義ってなんなんだ! とか。友人との記憶も前の俺が経験したものであって、今の俺のじゃないんだ! とか。なんかもっと悩むよ、普通》
「存在意義とか普通考えないと思うよ。そんなの俺一度も考えたことないし。そんなの答えが出るわけないよ。友人との記憶だって俺はいっしょに遊んだこと覚えてるから問題ないと思うけどなあ。コピーかオリジナルかなんて些末な問題だと思うんだけど」
《些末な問題って……。ほんと、なんだかなあ……。あの魔女に気に入られるのも分かる気がするよ……》
麗奈は脱力したらしく座り込んだ。映像に過ぎないのに座る意味があるのかなぞだったが、気分的な問題なのだろう。
「ところで、なんで助けてくれたの?」
《そりゃ、君のことが好きだからだよ》
「えっ?」
正太朗が驚きのあまり固まった。麗奈もしまったという表情を浮かべていた。
「それってどういう……」
《動揺した? したよね? しちゃったよね? うぷぷぷぷぷぷ。いやあ、正太朗君はウブですなあ》
しまったという表情はどこへやら。麗奈は片手を口に当て笑いを漏らした。理解が追いつき正太朗は真っ赤になった。
「だ、騙したな!」
《ねえ、うれしかった? 告白されたと思っちゃった? 心臓がどきんってなっちゃった?ねえ、ねえ、どなのどなの? おしーえーてー、正太朗くーん》
「うるさい黙れ! 君のような映像に好きとかいわれても全然うれしくない!」
《そうか。そうか。うれしかったんだねえ。感無量だねえ》
「うるさいうるさい! 経緯を教えてくれるんでしょう! 早くいえよ!」
《そだねー。これ以上いじるのもかわいそうだしね-。なんせ告白なんてされたことないもんね》
「そ、そんなことない!」
《動揺してるよ?》
「し、してない! ちゃんと告白ぐらいされたことあるよ」
《そりゃ嘘だね》
「なんでそういい切れるのさ」
《だって複製したときに君の記憶は全部見てるもん、あたし》
「えっ!?」
《そりゃあ、もう色々知ってるでござんすよ。君の性癖とか性癖とか性癖とか》
「うっ!?」
《それを加味して最初の格好だったんだけど。いやー、それにしても君がロ……》
「ちっ、違うからね。たまたまそういうキーワードで検索してみたくなっただけだから!ほんと魔が差したというかなんというか。と、とにかく俺はそういう人じゃないから!」
《それにしては検索件数が多いような……》
「き、気のせいさ!」
《記憶全部見てるあたしにどれだけ取り繕ったって無意味だと思うんだけど……》
「お、男として引けない一線っていうのがあるんだ! お願いします。分かってください」
ついに正太朗は土下座した。目からは涙も流れている。相手は映像だけの宇宙人とはいえ女性だ。身近な女性にそういう人だと思われて生きていくのは辛すぎた。まさに人生をかけた必死の懇願だった。
《わ、分かったよ。正太朗には特殊な性癖なんてない。きっとあたしの気のせいだ》
必死すぎる正太朗の思いが通じたのか。はたまた憐れに思ったのか。麗奈はそう答えた。きっと後者が理由だ。麗奈が頬を引きつらせ、目に憐憫が浮かべていたのを正太朗は見逃しいていない。だが、そんなことはもう忘れた。覚えていたら立ち直れない。麗奈とは和解できた。それで充分じゃないか!
《それでロリ太朗》
「てめえ! ぶっ殺すぞ!」
《冗談、冗談。ちょっと口が滑っただけだよ。そんな恐い顔で見ないで。照れちゃうぞ?》
もういやだった。除霊で落とせないかなと正太朗は本気で考えた。
「そういえば、星屑ってどこにいるの? 目の前にいる君はただの映像だよね」
《やり直し!》
「いきなり何?」
《星屑って呼び方はありえないよ。クズついてんだよ、クズ。ちゃんと麗奈って呼んでよね。呼び方変えて、ワンモア!》
その星屑って名前は自分でつけたんじゃないか、という言葉を正太朗は飲み込んだ。
「……麗奈ってどこにいるの?」
《麗奈か……。うん、悪くないね。悪くないよ》
麗奈はなぜか満足げにうなずいた。
《あたしがどこにいるかって話だったね。本体は宇宙にあるよ。ちなみに正太朗が見てるあたしはコピーするときに勝手に脳の中に埋め込んだデバイスを本体と同期して作り出したものだから》
「さらっと今とんでもないこといったよね? 俺の頭の中には機械が埋め込まれてるの?」
《大丈夫大丈夫。有機素材使ってるもん》
「それって安心していい要素?」
《星覇の種族には安全だって保証されてるよ。地球人には試したことないから変な副作用があるかもしれないけど。今のところなんともなさそうだし大丈夫だよ、きっと》
「完全に実験台じゃん!?」
《『創出の魔女』だって散々君の脳をいじってるし危険はないんだと思うよ。彼女はれっきとした科学者だし》
「そりゃそうだよね」
《あの魔女の場合、科学者は科学者でもマッドサイエンティストなんだけどさ》
「全然ダメじゃん!? 本当に俺の頭大丈夫なの!?」
《手に痺れとか出たら早めにいってね》
「全然大丈夫じゃないってことだけはよく分かったよ」
この先ちゃんと生きていけるのだろうかという不安しかなかったが、命をつなげてもらっただけマシということだろう。
「そういえば、ちゃんとお礼をいってなかった。助けてくれてありがとう」
《そんなのいいさ。親友を助けるのは当たり前じゃん》
「親友? 俺、麗奈と会ったことあったっけ?」
《……いんや、ないよ。言葉のあやってやつだね。これからのパートナーを助けないはずないだろうってこと》
「パートナー?」
《そうだよ。だから連絡用にデバイス埋め込んでるんじゃん》
何を今更とでも麗奈はいいたげだった。
「どういうこと?」
《自己紹介の時にいったじゃん。『創出の魔女』を追って来たって。『創出の魔女』は君に大変興味を持っている。『創出の魔女』が君に再接触をはかる可能性は非常に高い。だから、君には私の手伝いをしてもらいたいんだ。『創出の魔女』を捕まえるために》




