はしがき
「ジャーナリストってのは、自分の眼で見て、肌で感じて、耳で聞いて、一言一句偽ることなく時に自分の意見を交えて世に発信するのが仕事だ。軍の上層部や政府の頭でっかち共に媚びへつらい奴らのご機嫌取りの記事を書く奴らを、俺はジャーナリストとして認めねぇ」
これは、私がこの戦記を書こうと決意したある方の言葉だ。
この言葉に私は勇気をもらった。
私は最初、今回のことを評論という形で世に出すつもりだった。
しかし、どこで知ったのか、私がこのことを本に出すことを知った方々から「自分の体験を是非載せて欲しい」という手紙と共にその体験記が送られてきた。
私は迷った。どうすれば、彼らの思いを世に伝えることができるのか。
悩んだ挙句、私は私小説という未経験の書き方で彼らのことを書く事に決めた。
色々書きたいことが山ほどあるのだが、都合上割愛したい。
しかも私はジャーナリストの端くれで、表現とか、文章とか様々な点でまだまだ未熟な点があると思うがご了承願いたい。
又、この本は、章の合間合間に私のもとに送られてきた体験記を適宜挟み込んでいる。その方が皆様に彼らの言葉が届きやすいのではと考えそうした。体験記は、敵・味方、兵士・一般人といった国や身分関係なく載せている。
これは、公平中立な立場でこの戦争を振り返り、今後の教訓として後世に残したい私の望みを込めている。
最後に、この戦記を読んでくれる方々へ。
ここに書かれていることを多くの人に語ってもらいたい。この戦争は、多くの人を悲しみと憎しみの海に沈めた。
彼らの無念や、生き残った我々に託した思い。
よく考えて欲しい。戦争が何を生み出すのか。戦争の結果、何が残ったのか。
力とは何か? 正義とは何か?
この書を、私に託した大元帥閣下に捧ぐ―――