仕事風景とフラグ
あー!忙しい!忙しい!忙しい!あれもこれもいろんな書類が俺に回ってきやがった!くそ!自分で対処しろよ!
俺は会社の社長室で書類仕事をしていた。かなりの量だ。
「社長!社長!戦隊ヒーローが巨大ロボの使用許可を求めています!どうしますか!」
部下が慌ただしく社長室に駆け込む。
「あぁ!?敵のサイズは!!?それと数に特徴は!?」
「はい!35m級が十体と特徴はすべて獣タイプの近接型らしいです!」
「たった、そんだけの敵にロボ使うんじゃねえ!!それくらいの敵なら変身スーツの初期型で十分だと伝えろ!」
「はい!」
「待て!ヒーローに町は壊さず、住民も非難させろって言うのも伝えろ!」
「了解です!」
部下はまた慌ただしく去って行った。
プルルルル!!
今度は表の仕事用の電話が鳴った。一度だけ大きく深呼吸して受話器を取る。
「はい、もしもし。こちら『ハルカゼ』旅行会社です」
『ハルカゼ』とは、うちの社名である。社名に特に意味はない、はず・・・。(なぜこんな社名にしたか覚えてない)
『あー、もしもしハルカゼさん?吉野ですけど、この前の旅行プランすっごく良かったから、おばさんたちまた予約しちゃうわ!アハハハハハハハ!』
お客様はは、電話越しに大きな声で喋る。早く、早く話よ終われ!
『それでねぇ、息子がねぇ~』
「え!?あ、ははは・・・」
うおぉぉぉい!!話変わってんじゃねえか!
俺は右手で書類仕事しながら左手で受話器を握りながら話す。
『~~で隣の島田さんも大変よねえ。あ、特売始まっちゃうわ!それじゃあね!』
「はい、ありがとうございました」
やっと、終わった・・・。
俺はドサリと書類の山に突っ伏す。
「社長!」
「おう!今度は、なんだ!」
少し歳の社員がでっぷりとした腹を抱えながら入ってきた。
「え、えーっと!異世界の女神さんが勇者召喚の選別を任せると!」
「あー、それね!この子!この書類に書いている子頼む!その子なら書類審査も通ってるから!」
中年社員が外に出ると同時に茶髪の女性社員が入ってきた。
「しゃちょぉぉぉぉぉぉ!!」 「なんだぁぁっぁあぁぁっぁ!!!」
「3年くらい前に雪山で遭難した雪女さんが見つかりました!!」
えーっと・・・、雪女さん・・・、雪女さん・・・。
「あ!マジか!あの、のほほんとした美人さん!?」
「はい!あののほほんとした憎たらしい巨乳を持つ美人さんです!!」
「その人の対応はお前らがやって!」
「サー!イエス!サ―!」
女性社員は敬礼して駆けていく。
「木下君!!!」
今度は、ホストっぽいイケメンが入ってきた。
「お前は!・・・誰だっけ!」
「高校時代の同級生だよ!今度の同窓会の幹事お願い!」
「りょうk・・・、ちょっと待て!お前がやれ!つーか、勝手に俺の仕事場に来るな!どうやって知ったんだよ!」
「ちぇ!木下君のアホ!」
そういって、自称同期は帰って行った。
「はあ・・・、誰なんだよ・・・」
まあ、そんなことより仕事だ・・・。後、少しだ・・・。
★☆
「やっと・・・、終わった・・・」
俺は暗闇に覆われた道路を歩いていた。
仕事はすでに終わり、家に帰ろうとしていた。
「早く家に帰って息子の飯を食いたい・・・」
そんなことをつぶやいたとき、一瞬、空が赤く光り輝いた。
そして、光は一点に収束していきどこかに落ちた・・・。
「フラグ・・・、ですか・・・?」
とてつもなく、嫌な予感がする・・・。主に・・・、息子がもっと主人公っぽくなったり、俺の仕事が増える予感がする・・・。