主人公の父
えー、本日は曇天なり、本日は曇天なり。ゴホン・・・、あれ?もうすでに始まってる感じ?
あー、どうも父です。へ?父だけじゃわかんねーよゴミクズが!だって?よーし。そこを動くな。今からそっちへ行ってやろう・・・!
まあ、そんなことは置いておいて・・・、どうも木坂隆二です。肩書は、ちょっとした旅行会社の社長です。はい。驚いた?驚いただろう。
あと、ハーレム系、バトル系、恋愛系、ラブコメ系をこなす主人公!・・・な息子の修二の父です。
つーか、そんな息子を補助しています。
そもそもうちの会社は、表向きが普通の旅行会社、だがその正体は世界中の不思議を補助しているのだー。だから息子も補助できる。
ちなみに息子は俺の補助に気づかない。あいつは爪から髪の毛までやることすべてが甘いんだよな。
とまあ、そんな甘い息子や世界のヒーロー、魔法少女、UMAなどなどを管理してる会社だ。
言っておくが俺の会社が無かったら世界中大混乱するからな。ヴァンパイアが昼に歩いたり、人魚に足が生えたり、魔法少女のエフェクトが消えて思いっきり裸になったり、ヒーローがスーツ無くしたり、大変なことになるぞー。
「親父!ねーちゃん!朝飯できたよー!」
一階から息子の声が聞こえる。息子が飯を作ってくれたようだ。
ん?息子に飯作らせていいのかって?いいんだよ。主人公って飯作るのが上手いやつ多いだろ?そんな感じだ。・・・おそらく。
★☆
「遅せーよ」
一階に降りると息子に声かけられる。どうやら俺が最後のようだ。
眩しい、朝からキラキラ光る息子の顔が眩しい。息子は自分が普通の顔だと思ってるらしいがあいつの顔はラノベの主人公と同じくらいイケメンだ。分かりにくいか?あれだよ、ハーレム系の「モテたいな~」とか言ってる主人公だよ。
「うん、ごめんねぇ」
はい、今の俺の喋り方がきもいっていったやつ挙手しろ。カモフラなんだよ、カモフラージュ。
カッコイイ感じの親父って立つだろ?死亡フラグがいっぱい。だからダルダルの服着て、ダサいメガネかけるのはあえて、あ・え・て!気弱そうなおっさんを演じてるんだ。本当はもっとかっこいいからな。
「まったく、チヨも来てんだからもっとしゃっきりしろよ」
俺の『演技』にも気づかない息子がそういうと、息子の隣に座った女の子がにっこりと笑う。
「ホントですよ。お義父様ったら」
やめろ、俺にお義父様何て言うな。俺はお前を息子の嫁とは絶対認めんぞ。
俺は知っているぞ。このニコニコ笑う息子の幼馴染が息子にべた惚れのことを。そしてこの子が息子のファンクラブの代表取締役をしていることも。そして、ファンクラブの抜け駆けした奴をいじめていることも。
さらに俺に気に入られると息子と仲良くなれると思ってご機嫌取りをしてくることも。
「はあ・・・、あんたらは父さんの魅力を知らないからそんなk「なあちゃん?」」父さんダサいよね!」
俺の言葉のプレッシャーで震えてるのは娘の菜穂。愛称なあちゃん。美少女です。ひょんなことから俺の仕事姿を見てしまい、そのあとからファザコンっぽくなってしまった。
他の子にばれたらまずいから俺のことは秘密にしてとお願い(・・・)をした。頭はいいからいろいろフォローはしてくれる。
「魅力?父さんにみry「しゅーくん、早く食べないとおくれるよ!」
俺は慌てて話の方向を変える。修二は無駄に鋭いからな。(恋愛は鈍感だが・・・)
「やばっ、もうこんな時間だ!チヨ!行こうぜ!」
息子は幼馴染の手を引く。
「う、うん!修二君、行こう!」
ラブコメってんじゃねーよ、猫かぶり。お前は主人公の物語のただのインクなんだよ。
「いってらっしゃ~い」
こうして、俺の日常は始まる。