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あるオレオレ詐欺師の受難

作者: でんでろ3

 俺は、適当にターゲットを選んで、ケータイのボタンを押した。今日は、

このジジイから、たっぷりふんだくってやるとするか…。



ぷるるるるるっ、ぷるるるるるっ、ぷるるるるるっ、ぷるる…。ガチャっ。

「はい、もしもし」

こいつは、幸先が良い。声の感じからして、いかにもカモといった感じだ。

「あー、オレオレ」

「おおっ、ヒロシか?」

「そうそう、ヒロシだよ」

「声の感じが違うな。エボラ出血熱にでもかかったか?」

「…い、いや、ただの風邪だよ。ただ、ちょっと喉に来ちゃってね」

「そうかぁ、気を付けろよ。しかし、『バカだから風邪を引かない』と、

 それだけが自慢だったのにな。このバカ」

「…あ、うん」

「しかし、ケータイの番号が違うな。変えたのか?」

「ああ、そうそう。ケータイ、水没させちゃってさ」

「…あれ?そういえば、関西弁使うの止めたのか?」

「…いや、そんな事ないがな。気のせいや、気のせい」

「…語尾に、『げにょ』って付けるのも、止めてしまったのか?」

「…そんな事あらへんがなげにょ。いつも通りでんがなげにょ」

「…時々、意味もなく『ぷっぷ、ぷ~ぅっ』て言う癖もないし」

「…あるあるっ、どうしてもその癖だけは抜けんで困っとんのやげにょ。

 …ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「…やたらと英単語を混ぜる事もしないし…」

「…それでやなぁ。ワイのミスで、コーポレーションが、ノット・クロス・

 オーバーを出しそうでんねんげにょ。…ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「ノット・クロス・オーバーって、なんだ?」

「ザッツ、不渡りでんがなげにょ。マイ・ダディげにょ。…ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「…突然、間に小咄を挿まないのは、どうしてだ?」

「『くそう、化け物めっ。これでもくらえ、細菌兵器だ』

 『はっはっはっ、そんなものは私には効かん』

 『なぜだ?なぜなんだ?』

 『最近、平気になりました』…ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「はっはっはっ、お前は相変わらずだなぁ」

「そ、そうでっしゃろげにょ。マイ・ダディげにょ。…ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「こうして、お前と話すのも、何年ぶりかなぁ?3年?5年?…10年?」

「そ、それでやなげにょ。マイ・ダディげにょ。急にマニーが必要に…」

「………っ!思い出したーっ!」

「ホワッツを思い出したげにょ。…ぷっぷ、ぷ~ぅっ」

「わしには、息子はおらん」

ガチャンっ。つーっ、つーっ、つーっ、つーっ、つーっ、つーっ、つーっ。



「…真面目に、働こうかなぁ?」



                              (おしまい)

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。 たまたま見つけたものですが、すごく面白かったです。 お腹抱えて笑っちゃいました。 いろんなジャンルを書かれているのですね。 私はホラーしか書けないので羨ましいです…。 今後…
2012/07/20 17:31 退会済み
管理
[良い点] 話がかわいい とにかく面白い
2011/07/21 14:31 退会済み
管理
[一言] すごく面白かったです。 僕自身もオレオレ詐欺にあったことがありましたが、さすがにあそこまではしなかったなぁ…… 架空の人物の名前を言うことはありましたが。
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