あなたの名前を呼びたかった
初めからやり直したい。
あなたに出会って、目が合ったあの日から。
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告白だって、本当は自分の口でちゃんと伝えたかった。
あなたの口から、答えが欲しかった。
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近くにいたはずなのに、私たちはいつもすれ違ってばかりだった。
あなたは、ずっと遠かった。
私はいつも、背中ばかり見ていた。
その背中に向かって、何度も心の中であなたの名前を呼んだ。
でも――
それじゃ駄目だった。
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もっと話したかった。
もっとあなたの声を聞きたかった。
もっと「ゆき」って呼んでほしかった。
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中学一年生の、たった一年の恋だったのに。
どうして何十年経った今でも、こんなに色褪せないのだろう。
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あの卒業式の日。
あなたが三階まで来てくれて、名前を呼んでくれたこと。
ホワイトデーのお返しと一緒に渡してくれた手紙。
私は今でも、ちゃんと覚えている。
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夢では、いつだって会えるのに。
それでも私は、夢の中でもあなたを探している。
近くにいたはずのあなたを。
また、どこかへ行ってしまわないように。
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あなたは今、どこで何をしているのだろう。
もう会うことはないのかもしれない。
そう思うたび、胸の奥が少し苦しくなる。
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幸せなら、それでいい。
それが一番いい。
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だけど。
もし、ほんの少しでも。
あなたが私を思い出す瞬間があるのなら。
私はきっと、それだけで嬉しい。
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もし、いつかどこかで会えたなら。
今度はちゃんと、あなたの顔を見て名前を呼びたい。
「さっちゃん」って。
だからその時は、
あの卒業式の日みたいに、もう一度「ゆき」って呼んでほしい。
あの頃ちゃんと言えなかった言葉を、今になって何度も思い返しています。
忘れられない人というより、忘れられない時間なのかもしれません。
読んでくださってありがとうございました。




