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あなたの名前を呼びたかった

作者: さっちゃん
掲載日:2026/05/08

初めからやり直したい。


あなたに出会って、目が合ったあの日から。



告白だって、本当は自分の口でちゃんと伝えたかった。


あなたの口から、答えが欲しかった。



近くにいたはずなのに、私たちはいつもすれ違ってばかりだった。


あなたは、ずっと遠かった。


私はいつも、背中ばかり見ていた。


その背中に向かって、何度も心の中であなたの名前を呼んだ。


でも――


それじゃ駄目だった。



もっと話したかった。


もっとあなたの声を聞きたかった。


もっと「ゆき」って呼んでほしかった。



中学一年生の、たった一年の恋だったのに。


どうして何十年経った今でも、こんなに色褪せないのだろう。



あの卒業式の日。


あなたが三階まで来てくれて、名前を呼んでくれたこと。


ホワイトデーのお返しと一緒に渡してくれた手紙。


私は今でも、ちゃんと覚えている。



夢では、いつだって会えるのに。


それでも私は、夢の中でもあなたを探している。


近くにいたはずのあなたを。


また、どこかへ行ってしまわないように。



あなたは今、どこで何をしているのだろう。


もう会うことはないのかもしれない。


そう思うたび、胸の奥が少し苦しくなる。



幸せなら、それでいい。


それが一番いい。



だけど。


もし、ほんの少しでも。


あなたが私を思い出す瞬間があるのなら。


私はきっと、それだけで嬉しい。



もし、いつかどこかで会えたなら。


今度はちゃんと、あなたの顔を見て名前を呼びたい。


「さっちゃん」って。


だからその時は、


あの卒業式の日みたいに、もう一度「ゆき」って呼んでほしい。

あの頃ちゃんと言えなかった言葉を、今になって何度も思い返しています。


忘れられない人というより、忘れられない時間なのかもしれません。


読んでくださってありがとうございました。

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