第19話
「さて、菅野下、この後はどこに行くんだ?」
ついに水曜日を迎え今は菅野下と出かけ中だ。
「極力千秋君に選んで欲しいけどな~、今日はテスト勉強会ありがとうの会だよ!」
「じゃあ映画見たい、この映画」
「この映画って」
そうこの映画は前天川さんと見たものと同じものだ、朝霧さんが言うにはまだ心のどこかで、本当にこんな演技でいいかと葛藤してるはずだ、それも一番最近の映画だから顕著はずだ。
♢♢♢
映画を見てるときは歯を食いしばりながら、自分の演技をまるで親敵を憎むようにして、終始映画を見ていた、僕ら素人目では別に悪くはないと思うのに本人は自分や周りの演技が気に食わないっていう思いが横からひしひし伝わってきた。
「映画どうだった?」
「うん、面白かったよ」
作り笑いをし、自らの感情を押し殺すような震えた声だ。
「うそだな、菅野下、お前はこう思ったはずだ、もっとうまくできたのにって」
「はっ!」
「違うか?」
「ちちち違うよ、私はみんなの演技に合わせて、それで、あれ?なんでなんで?目が潤んで何も見えないよぉぉぉぉぉ」
涙を流す姿はまるで親を見失った子供のようだった。
「ティッシュ使うか?」
「うん…」
♢♢♢
「落ち着いたか?とりあえずこれやるよ」
「ホットコーヒー?」
「こういうときは暖かいやつかなって思って」
「ありがと」
「じゃあそろそろ本音で語ってもいいんじゃねえの?あそこまで見られたわけだし」
「それもそうだね」
「私はね、昔から全部のことが一番じゃないと嫌な性格だったの、それでさ、芸能界はいってもさ、一番になるためにいろんなところにこだわるようになったの、そしたら演技も上達して、注目されるようにもなったの」
それがストイックさの要因か
「でもさ、最近いろんな現場でね、『菅野下さん、演技で目立つのもいいことだと思うけどさ、周りのレベルに合わせることもしようよ、そっちのほうがさ、みんなの強みも出てもっと良くなると思うし、正しいよ』っていろんな人に言われたの」
徐々に声が震えだす、徐々に悩んでることが出てきてる証拠だ。
「最初はさ数人だったし頻度も少なかったから気にしなかったよ、でもさ、徐々にいう人も増えて愚痴のように言う人もでてきてさ、まるで私が悪者みたいな空気になったの、そしたらさ、もう私が悪いの?周りに合わせるのが正しいの?正しいって何?って思うようになってさ」
*ズビー*
そう、正しさとはその空気間で大体決まってしまう、それがどんなに合理的じゃなくても、間違っていても
「正しさは変えられるぞ、やろうと思えばいくらでも」
「嘘だ!!嘘だよそんなこと、だってみんなの言うことは間違ってないと思うし」
「みんなの言うことは間違ってない、そう思ったら終わりだ、周りの空気に流され、間違いじゃないと信じてしまう、そうなってしまえばその場で正しくないことも正しいことに確定してしまう」
「じゃあどうすればいいの?」
「その答えを明日見せてやる」




