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プロローグ
それは、涼しい夏の夜だった。
みな一家団欒で夜ご飯を過ごしている夜、友達と花火をして青春を過ごしている夜、仕事が終わり家に帰る習慣を過ごす夜、そんな当たり前の夜。
バイト終わりの体はとてもだるく、今すぐに帰りたい、そう思っていると、電柱の下に一人の女性が目に入る。
あの子を知っているからだろうか、そのまま、夜の闇に誘われるように僕は彼女に近づいた時こう思った。いつも太陽のように輝く彼女が、夜に潜む陰のようだと、そして直感する、この出会いは何かを変える気がすると…